JR九州では、他社からの譲受車両を改造した「307系」「501系」の導入をはじめとした安全で快適な輸送サービスの実施を発表していますが、この発表の中で同社の在来線特急列車についても、車両更新等の計画が発表されています。

【社長定例記者会見】“ず〜っと乗りたくなる列車”“ず〜っと使いたくなる駅”に!快適な列車・駅のご利用に向けた取り組みについて|JR九州

在来線特急列車に関するリニューアル内容は、以下のとおりです。
【特急「青いソニック」客室内リニューアル】
・対象車両:
883系
・リニューアル編成運行開始時期:
2027年春頃から順次
・リニューアル内容:
座席取替、床張替、客室内塗装ほか
・イメージ
2026062720-47-011
(上記発表資料(https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2026/06/25/20260625_01_Railway_update_1_Efforts_Toward_Comfortable_Train_and_Stati.pdf)より引用)

【特急列車の空調リニューアル】
・対象車両:
783系、883系、787系
・運行開始時期:
2026年7月頃から順次運行開始

【特急列車のトイレリニューアル】
・対象車両:
883系、885系、787系、783系
・運行開始時期:
2026年6月頃から順次運行開始

【特急列車の車いすスペース整備】
・対象車両:
883系、885系、6両編成の787系
・運行開始時期:
2026年秋頃から順次運行開始

【「トイレリニューアル」「車いすスペース整備」のイメージ】
2026062720-46-222
(上記発表資料(https://www.jrkyushu.co.jp/common/inc/news/newtopics/__icsFiles/afieldfile/2026/06/25/20260625_01_Railway_update_1_Efforts_Toward_Comfortable_Train_and_Stati.pdf)より引用)

詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



先日のJR九州の発表では、「307系」(元りんかい線70-000形)「501系」(元JR東日本E501系)の投入が大きな話題になりました。
(参考)


加えて、特急列車についても、883系については、座席取替等の大がかりな客室内リニューアルを、そして「空調装置」や「トイレ」のリニューアルも、783系や787系といった、JR九州発足間もない頃から走り続けている車両も対象に実施されることとなりました。

このうち、「トイレ」については利用者のニーズとしても常に高いことから、リニューアルを大々的に発表するのは理解できるのですが、もう一つの「空調装置」については、なぜこれが「トイレ」より先に記載されるのでありましょうか。


そこで想起したいのは、「夏になるとJR九州の車両はカーテンが閉まったままで走っている」点でしょうか。
これについては、当ブログでも下記記事で言及したとおり、「冷房負荷をを抑制するとともに、利用者に快適な車内温度を提供する」ため、と同社のWebサイトでも記載されています。
(参考)


九州地方は本土の西端にあることから日没時刻が遅く(東京都心と比べて30分程度)、それが故に冷房にかかる負荷も高くなることが考えられますので、空調装置の安定的な稼働は、当地では特にトイレと並んで重要な課題のようであります。

そういった、特に夏期における空調トラブルに対して、今回のリニューアルで一定の改善が見られるものと思われますが、もう一つ指摘しておきたいのは、この空調リニューアルの対象に「783系」「787系」といった、JR九州発足間もない頃から運用されている車両も含まれていることであります。

783系は、1988年に「ハイパーサルーン」の愛称でデビュー、そして787系は、1992年に博多〜西鹿児島(現・鹿児島中央)間の特急「つばめ」用車両としてデビューした車両で、どちらも登場から30年以上が経過しています。

同時期に新製車両として登場した、JR東日本651系、JR東海キハ85形(いずれも1989年運用開始)、JR四国2000系(試作編成は1989年、量産編成は1990年運用開始)、JR東日本253系(1991年運用開始)といった車両が軒並み第一線から退いているのに対し、JR九州の783系及び787系に関して言えば、783系に一部の廃車が発生しているものの、両系式とも、総じてまだ多くの列車に充当されており、「第一線での活躍」を続けているといって差し支えないでしょう。

また、客室リニューアルを実施する883系に関しても、1995年から運用開始され、30年を経過しているところで、二度目のリニューアルを実施することとなっていますので、総じて言えば、JR九州の在来線特急列車に関して言えば、現状の車両(783系・787系・883系・885系)のラインナップがまだまだ続く、逆に言えば「在来線特急列車の新型車両の投入は当分無い」ことが明らかになった、といえるでしょう。

何故ここまでこれらの車両を使い続けるのか、というのは同社から明確に言及がなされたことは無いと思われますが、一説にあるように、西九州新幹線の佐賀県内区間の動向が未だ不透明であることから、在来線特急列車に関しても新規の投資判断が難しいことがあるのかも知れません。

逆に言うと、佐賀県内の新幹線の問題が解決すれば、在来線特急列車に関しても早晩今後の方向性が見えてくるのかも知れませんが、現状を見ていると、そんな時期は早々到来するものでは無さそうです。


ファン的には、783系や787系といった、JR九州が当時、失地回復とばかりに矢継ぎ早に魅力的な車両を生み出してきた時期の車両が走り続けることに、満足感を抱く方もおられるかも知れません。上

しかし逆に、一般の利用者からすれば、現在のバリアフリー(例えば扉の開口幅)や車内の居住環境(例えば電源コンセント設置)のニーズに対応できていない古い車両、という評価を受けないとも限りませんし、それが原因で高速バス等、他の交通モードへの利用者の流出が更に続くことも十分想定されます。

だからと言って、上述の事情もあってか、在来線特急列車に対して積極的な投資ができる環境でもなく、ここ数年以上はこの状態を維持せざるを得ない状態に、もどかしさを感じているのは、決して私だけではないのだろうな、ということもふと思った、発表でありました。


20240728_123900
20240728_123928
20240728_114059
▲今回客室内のリニューアルが実施される883系「ソニック」。
座席(画像3枚目)についても、特徴的な耳付きのヘッドレストから、他形式でも採用されている一般的な形状に変更されます。

この883系も、登場30年を経過していますが、リニューアルを実施するということは、あと10年単位での使用が想定されます。
783系や787系といった、883系よりも更に古い車両も引き続き使用されることとなりますが、果たしてJR九州の新たな特急用車両はいつ投入されるのでありましょうか…




鉄道コム関連記事】




↓↓鉄道系ブログ・ニュースポータルサイト「鉄道コム」はこちらをクリック↓↓
鉄道コム