現在、敦賀駅(福井県)が終点となっている北陸新幹線。

そこから先、大阪市内に向けてのルートについては、2016年度に一旦は「小浜・京都ルート」で決定したものの、その後ルートを再考すべし、といった政治的意見もあり、「米原ルート」も含む8つのルートをもう一度再検討した結果、先日「小浜・京都ルート」のうち、京都市内については、現在のJR京都線・桂川駅付近を経由する「小浜・京都ルート(桂川案)」とすることに与党で合意に達したとのことです。
「小浜・京都ルート(桂川案)」については、今国会にも最終決定が予定されているとのことです。
(参考)
北陸新幹線延伸、桂川案で決着へ。工期26年、「敦賀終着」長期化も | 旅行総合研究所タビリス

そもそも「米原ルート」については、下記資料でJRTT(独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構)がそもそも実現に向けて課題山積でメリット無い、と説明しているにも関わらず、何故か再検討の俎上に載ってきているわけで、今回の見直しで否定されたのは、決して小さくない成果、と言えるかも知れません。
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▲「いわゆる米原ルートについて」と題した、米原ルートについての課題を列挙した資料。
「東海道新幹線の容量問題」「運行システムの大規模な改修」「そもそも地元自治体やJRが米原ルートを否定」「環境影響評価手続きを改めて実施(要は着工までの時間がかかる)」と、どれもこれも少し考えれば明らかな内容を改めて説明せざるを得ない状況が分かる、といえる資料です。
(JRTTのWebサイト(https://www.jrtt.go.jp/project/tsuruhaninformationsession-kyoto.pdf)より引用)


上述のとおり、2016年には一度「小浜・京都ルート」でルート問題は解決したものの、その後着工に至らないうちに、建設費高騰等の課題が生じ、米原ルートを推す日本維新の会によりルート再考が提案されたものの、結局元の木阿弥で小浜・京都ルートで合意した…経緯を乱暴に書けばこんな感じでしょうか。
結局時間を費やしただけ、とも言えるかも知れません。

ただ今回、京都市内のルートが「桂川案」に決まったのは大きな前進、といえるでしょう。
「小浜・京都ルート」のうち、京都市内を通るルートは、今回決定した「桂川案」と、京都駅を南北に通過する「南北案」がありました。
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▲北陸新幹線「小浜・京都ルート」のうち、京都市内のルートについての説明資料。
「南北案」が京都駅付近を通過するのに対し、「桂川案」はJR桂川駅付近を通過します。
(JRTTのWebサイト(https://www.jrtt.go.jp/project/tsuruhaninformationsession-kyoto.pdf)より引用)


利用者の視点で言えば、既存の京都駅に接続する「南北案」が有利この上ない、と思えるのですが、通過する京都市では、地下水への影響等を懸念する声もあり、合意に到りづらいこともあってか、「桂川案」になった、ともいえるでしょう。

こう見ると、「妥協の産物」とも思えてしまう「桂川案」ですが、それでも最大8つもあったルートが、ようやく1本になって前に進めるようになったのは大きな収穫、ともいえるでしょう。

勿論、京都市内の中心部から7分程度移動しないといけなかったり、近鉄や京都市営地下鉄烏丸線、そして東海道新幹線とも接続せず、折角の北陸新幹線停車のメリットを広域に波及させることが難しい等々、「桂川案」のデメリットもまた、挙げればキリがないわけですが、それは十分承知の上でも、「桂川案」の他ではこれ以上建設を進めることができない、というのであれば、もはや致し方が無い、とは個人的に思います。

今回、敦賀・新大阪間ルートが合意に達したわけですが、これで即着工、というわけではなく、着工に向けて様々な課題をクリアしていかなければなりません。
その代表的なものが、いわゆる「着工5条件」と称されるもので、整備新幹線の着工に当たっては、
1:安定的な財源見通しの確保
2:収支採算性
3:投資効果
4:営業主体としてのJRの同意
5:並行在来線の経営分離についての沿線自治体の同意

があります。
このうち、「4」については、元々営業主体として想定されているJR西日本が小浜・京都ルートを推していることから特に問題無く、「3」の投資効果についても、与党プロジェクトチームに提示された投資対効果の推計でも便益が費用を若干上回る結果が示されており、条件自体はクリアした、と判断できるでしょう。

一方、課題として大きいのは、「1」の安定的な財源見通しの確保といえるでしょう。

整備新幹線の財源としては、営業主体たるJRの受益に応じて支払う「貸付料」の他は、国と地方で負担するのが、現行の財源スキームとなっています。
そのため、この条件をクリアするためには、沿線の自治体の財政負担に対する合意が必要ですが、特に京都市や京都府の合意がポイントとなりますが、両府・市は負担に慎重な姿勢を変えていません。
勿論そこには、福井県ほど大きなメリットを受けるわけではないにも関わらず、一定の建設費の負担が必要という、便益と負担のアンバランスの懸念があるのは、これまた理解できない訳ではありません。

ただ一方で、現在の小浜・京都ルート(桂川案)は、京田辺市(松井山手駅付近)にも駅を設置する想定となっており、桂川駅付近は言うまでもなく、松井山手駅付近の新駅を拠点に京都府南部の発展にも多いに寄与することでしょうから(北陸方面、という視点だけでなく、新大阪や桂川まで10分程度で行けることになる短縮効果)、そういったメリットも十分考慮の上、早急な合意に向かって欲しいな、というのは偽らざる気持ちです。

これについて、足かけ50年かかったルート決定について、ルート決定したとしてもどうせ着工に至らない、というプロのライターさんのご意見もあるようです。
ハードルは決して無くなった訳ではないのは承知の上ですが、著名なプロのライターさんが、「どうせ着工に至らない」と決めつけるのは、例えそれが冗談めかした発言だとしても、そんなこと言うのは何だかなあ…信頼を無くしたと感じた人も多いだろな、と思ったのは、果たして私だけでしょうか。
(それがご本人のスタイル、というのであれば、否定はしませんが…)


とはいえ、ルートがようやく合意に達したとしても、上述の「着工5条件」のクリアは必要ですし、更に着工に至ったとしても、それから25年程度は要する…
そうなれば、個人的な話で恐縮ですが、私はもう後期高齢者の域に達しているわけで、果たして今のように健康な状態で開業を迎えることができるのか、本当に気がかりであります。

このブログは、今年で開設22年ですが、それ以上の期間をかけて、ようやくこの敦賀・新大阪間が開業に至るわけですから、その先の遠さに唖然とする一方、じゃあ逆に何としても開業をこの目で見てやろう、とも思ったりするのも事実であります。

果たして、私の目が黒いうちに、そして外出に支障の無い状態で北陸新幹線・敦賀〜新大阪間の開業を迎えることができるのか。
そしてブログ(かもしかしたら別のWeb発信媒体か?)が続いていて、北陸新幹線・敦賀〜新大阪間の乗車レポートを無事お届けすることができるのか。
個人的には一刻も早く開業して欲しいですから、その動きを陰ながら応援していきたいな、と思っています。

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▲北陸新幹線W7系車両。
敦賀・新大阪間の工期が25年程度かかるとのことですので、同区間が開業したとしても、このW7系が新大阪駅にやって来る可能性は、車両の寿命から考えると低いかも知れません。
でも、W7系の後継車両が新大阪にやって来る日が訪れるよう、今後も引き続き応援していきたいと思います。




【関連ブログ】
北陸新幹線は小浜ルートの「桂川」経由で合意 | 鉄道プレス
列車番号T-TAKE(てぃーていく) : 北陸新幹線延伸ルートが決まる、が



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