高校生活を吹奏楽にかける青春を描いた「響け!ユーフォニアム」。
2015年4月のテレビアニメ放送開始時にこのブログでご紹介して以降、原作本やテレビアニメシリーズ、劇場版の上映など、そして当ブログ的に欠かせない鉄道事業者とのコラボ企画の情報を、折々にご紹介してきました。

そしてこの「響け!ユーフォニアム」のアニメ・劇場版の最後となるであろう、「最終楽章 響け!ユーフォニアム 後編」が、去る9月11日(金)より公開されました。

私自身も、公開3日目の9月13日(日)に、イオンシネマ和歌山で鑑賞してきました。

今回上映された「最終楽章 響け!ユーフォニアム」は、今年4月に上映された「前編」と合わせて、主役である黄前久美子(おうまえ くみこ)が3年生となった北宇治高校吹奏楽部を描いています。
黄前久美子の3年生のストーリーは、2024年4月〜6月に放送されたテレビアニメ第三期で放送されており、今回の劇場版はその再構成、そして完結、そして卒業という、最後の節目の作品となりました。


【注意】
以下の内容は、「最終楽章 響け!ユーフォニアム 後編」を含む「響け!ユーフォニアム」関連のネタバレを含む内容となっています。
同作品のネタバレを望まない方は、以下の内容を閲覧されないようご注意下さい。






ストーリーとしては、黄前久美子を部長とする北宇治高校吹奏楽部が、吹奏楽コンクール全国大会を目指す、と言う大きな流れのなか、3年生で転校してきた黒江真由(くろえ まゆ)と担当楽器のユーフォニアムのソロ演奏担当を巡るオーディションとその結果、そしてその後輩である久石奏(ひさいし かなで、ユーフォニアム担当)との関係をも織り交ぜた、濃密なものとなっています。
(参考)



上述のとおり既にテレビアニメ第三期で放送済みの内容であったことから、結末は既知のものである一方、「前編」では吹奏楽コンクール関西大会終了(全国大会代表獲得)まで進んでしまっていました。
これは、テレビアニメ13回のうち、10回分に相当する進捗で、残り3回分を、「後編」の尺でどのように描くのか、どこまで濃密に北宇治高校吹奏楽部とその人間関係を描くのか、ある意味怖く、ある意味楽しみにして、劇場版の鑑賞に向かいました。



【スポットライトは「黒江真由」と「久石奏」】
では、これだけ長い尺をどこに費やしたのでしょうか。

その答えは、同じユーフォニアム担当の黒江真由、そして久石奏に充てられた、と私は捉えました。
テレビアニメでは、主人公で部長、という黄前久美子視点のストーリーであった一方、その久美子と、同パートでともにして、そしてコンクール奏者・ソロ奏者の座を奪い合う立場ともなったこれら2人が久美子を、そして互いをどう捉えていて、それがどう変化したのかを、今回描ききった、といえました。

特に黒江真由については、幼少期から転校を続ける一方、その過程でユーフォニアムと出会い、ともに演奏を楽しむことを信条としてきた彼女が、高校三年生で、実力主義の北宇治高校吹奏楽部に転入してきたという背景を丹念に描き、そして何度も「ソロを辞退したい」と久美子に対して言ってきたにも関わらず、それが最後のオーディションまで決して手を抜かず、久美子と競い合う心情の変化を、これまでテレビアニメを見てきたファンにも共感できるように、丹念に描かれていたと感じました。

一方の久石奏についても、入学時から1年半以上、久美子とともに低音パートで、こちらも濃密な時間を過ごしてきた一人ですが、そこに割って入るように転校してきた黒江真由、そしてその真由の存在が故に、久美子に「こうなって欲しい」と願う久美子の結果が悉く覆されることに対する怒り、悲しみといった、どこにも行き場の無い心情と、それを久美子にぶつけ続ける姿には、奏が登場した当初に抱いていた「口達者な後輩」という印象はもはや大きく変えざるを得ないい、と感じた方も決して少なくなかったのではないか、と感じました。


そしてこれらの二人が、最後に奏から、これまでの「黒江先輩」から「真由先輩」という呼び方の変化に象徴されるよう打ち解ける様子に至るまで描くところを見ると、今回の「後編」に関しては、もはや主役は黄前久美子でもなければ高坂麗奈(こうさか れいな、トランペット)でもなく、この二人、黒江真由と久石奏ではないだろうか、と感じました。

個人的には、3年生から突然入ってきた黒江真由、というキャラクターがファンに最後まで受け入れられないのでは?とも思っていましたが、今回の劇場版後編では、そのファンが抱いていたであろうわだかまりに対する答えを示した、と感じました。



【久美子たちと、「響け!」の卒業】
今回の劇場版後編では、更に「卒業」のシーンも濃密に描かれました。
テレビアニメでは、「全国大会金賞受賞」⇒「久美子が北宇治高校吹奏楽部副顧問として着任」と、一気に時間軸が飛んでいましたが、その間の補完、特に彼女達の卒業をもしっかり描かれていました。
「卒業」のシーンは、原作本にも描かれていないわけでしたが、その卒業式のシーン、そして音楽準備室で奏と二人で「響け!ユーフォニアム」をアンサンブルする姿…

「響け!ユーフォニアム」の「卒業」を語るには、もはやこれ以上のシーンが描かれたであろうか、と感じました。

そしてその「響け!ユーフォニアム」の曲は、奏から同じユーフォニアム担当で、更に後輩の針谷佳穂(はりや かほ)に引き継がれ、そして佳穂が更にその後輩へ引き継いでいく、というシーンもまた、「卒業」と表裏一体の「継承」を象徴するものとして、感慨深く感じました。

その「継承」されたものが、今度は「副顧問」という立場で黄前久美子が北宇治高校吹奏楽部に戻ってくることにつながる、という、この時間の流れもまた、「卒業」の「その後」を象徴しているのではないか、と感じました。


「テレビアニメを見たから劇場版はいいや」とお思いの方がおられたならば、その思い込みは捨ててもらって構わない、「実質新作」と考えてもらっても間違いないでしょう。
まさに「響け!ユーフォニアム」の「卒業」にふさわしい作品、と感じました。



冒頭にも記したように、2015年4月〜6月にかけて放送されたのが、アニメ「響け!ユーフォニアム」のはじまりでした。
(参考:当ブログで初めて「響け!ユーフォニアム」に触れた記事)



その吹奏楽のサウンド、そして当ブログ的には舞台となる京都府宇治市等を走る京阪電鉄の車両や駅の描写のリアルさに、鉄道ファン兼吹奏楽経験者としては、一気に引き込まれることとなりました。

作中で描かれた京阪電鉄では、テレビアニメや劇場版の放送・公開等のタイミングで、宇治線や大津線(石山坂本線)でのコラボ企画を実施し、毎回の企画に多くの鉄道ファンやアニメファンが宇治や大津に集まるといった効果を生み出してきました。

作品の舞台である宇治市でも、「響け!ユーフォニアム」の舞台を散策する「舞台マップ」を作成し、作品のファンを受け入れる体制をしっかり構築してきたことも、忘れてはならないでしょう。

マップ、という意味では、もはや「久美子ベンチ」(※)はGoogleマップ上にもその名前が記されるほどとなっており、また作中で久美子が麗奈に「部長失格ね」と言い渡された場所となった橋(朝霧橋)も「部長失格橋」という名称がファンの間で認知されることとなり、もはや宇治市の観光名所を生み出するほどまでになった作品、という意味でも特筆すべきことでしょう。
(※)作中、黄前久美子が何か悩み事があると座って考えたり、楽器を吹いたりするベンチ。
宇治川沿いに実在しており、久美子がよく座ることから、いつしか「久美子ベンチ」と呼ばれるようになった、端から見れば何の変哲も無い2人掛けのベンチです。



ともあれ、最初のテレビアニメ放送から11年。
その間、この作品が途絶されるのではないか、とさえ思えた痛ましい事件も乗り越え、こうして最後の「卒業」まで描かれ、そしてその最後をこうして鑑賞することができたこと、そしてこのブログでその感想を記すことができたのも、京都アニメーションをはじめとした、この作品に携われた全ての皆様に感謝したいと思います。
ありがとうございます。

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「後編」パンフレットと入場者プレゼント。
入場者プレゼントは、「ゴールド箔押し!グラデュエーションカード」と称した、晴れ着姿の主要キャラクターが描かれたデザインとなっています。
枠の「ゴールド」は、全国大会「ゴールド金賞」をイメージしたものといえるでしょう。
第1週の配布キャラクターは、黄前久美子、加藤葉月(チューバ)、黒江真由、傘木希美(フルート)、中川夏紀(ユーフォニアム)、田中あすか(ユーフォニアム)でしたが、私がゲットしたのは、傘木希美となりました。
この「グラデュエーションカード」は、第2週目はキャラクターを変えて配布されますので、こちらも楽しみに繰り返し鑑賞してみてはいかがでしょうか。



これが最後のアニメ作品となるであろう「響け!ユーフォニアム」。
その最後の鑑賞の余韻に浸る間もなく、現在京阪電鉄とJR東海では、この「響け!ユーフォニアム」のコラボ企画が実施されていますので、そちらも最後にしっかり楽しんで、その様子をブログに記録しておきたいな、と思っています。
(参考)