JR北海道は、今年4月に公表した「黄線区」維持のために提示した「上下分離」について撤回するとともに、新たな協議の進め方として、国の主体的な関与のもとで、JRと地域が協議する新たな枠組みを設置することを発表しました。

【社長会見】黄8線区の協議について|JR北海道

概要は以下のとおりです。

【背景】
・今年4月に公表した「黄線区に関する考え方」につき、沿線市町村に多大な負担を前提とした「上下分離」を協議テーマとした結果、各方面から厳しい意見を受けたことに対しお詫びする。

・経営改善に向けて非鉄道事業の拡大や収益源の多様化が不十分との指摘を受け、有識者を交えた「稼ぐ力PT(プロジェクトチーム)」を立ち上げ、その提言がまとまったところであり、今後不退転の覚悟を持って次期中期経営計画に反映し、着実に実行に移して結果を出していく所存。

・他方、人口減少が見込まれる中、同社の鉄道事業と地域交通の持続可能性の確保は、地域にとっても重要な課題であり、黄線区の今後のあり方については、同社の地域の間で共通認識を形成することは急務。

・これまでの厳しい意見を踏まえ、監督命令の履行を確実にする観点から、国の主体的関与のもと新たな協議の枠組みを設けていただくこととし、協議テーマから上下分離を撤回する所存。

【新たな協議の進め方】
・監督命令の履行を確実にする観点から、国の関与のもと、同社と地域が協議する新たな枠組みを設置
(※)北海道にも、広域自治体として、協力を要請。

・関係自治体の理解・協力を得つつ、監督命令の期限である3月末を目途に、「抜本的な改善方策」の取りまとめに全力を尽くす。

【新たな枠組みの内容】
●進め方:
各線区共通の内容を扱う「全体会」と、8線区別の「WG」(ワーキンググループ)を設置。
各WGは年度末までに概ね3回程度開催し、具体的な方策を取りまとめ。

●構成員:
・国土交通省北海道運輸局
・北海道
・各線区沿線の市町村
・JR北海道
(国土交通省本省鉄道局、JR貨物もオブザーバー参加)

●協議の内容
・これまで地域と一体となって進めてきた利用促進・利便性向上の取組の成果・効果等をしっかり分析・評価し、更に深掘り
・線区ごとに、具体の対策と関係者の果たすべき役割を整理

jrhokkaido_20260916
(上記発表資料(https://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20260916_KO_discussion.pdf)より引用)

【参考】「黄線区」8線区の内訳
・釧網線(東釧路〜網走)
・花咲線(釧路〜根室)
・富良野線(旭川〜富良野)
・石北線(新旭川〜網走)
・宗谷線(名寄〜稚内)
・根室線(滝川〜富良野)
・室蘭線(沼ノ端〜岩見沢)
・日高線(苫小牧〜鵡川)



詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



今年4月にJR北海道から発表のあった「上下分離」導入に向けて沿線自治体との協議を始めたいとする提案がなされました。
(参考)


「上下分離」そのものが、沿線自治体が鉄道施設等を保有することとなり、多大な財政負担を行うこともある一方、財源が厳しいこれら沿線自治体からは大きな反発を受けることとなり、黄線区のあり方に関する協議はストップしたまま、半年を迎えてしまいました。

国の監督命令の期限があと半年となる中、これ以上の議論の膠着を避けなければならない中、議論を前に進めるべく、今回国の主体的な関与のもと、新たな枠組みによる協議会が設置されることとなりました。

国が主体となり、沿線市町村や北海道、JR北海道が参加し、利用促進・利便性向上の取組を分析するとともに、線区ごとの対策や関係者の役割を整理し、改善方策をまとめることとしています。

これまで各線区とJR北海道が協議していたところ、利用促進策の実施以上の議論が進まないなか、JR北海道としても、監督命令に記載された「令和8年度末までに、線区ごとに事業の抜本的な改善方策を確実に取りまとめる」とした期限が迫る中、もはや時間の猶予が無い中、国が主体的となり関係者の協議を取りまとめるに至った、といえるでしょう。
(参考)
報道発表資料:JR北海道の経営改善について - 国土交通省

この構図ですが、鉄道事業者と地域との協議がかみ合わないところに、国が主体となって設置される「再構築協議会」(JR西日本・芸備線)を想起した方ももしかしたらおられるかも知れません。

沿線地域にとっては、国が主体的に関与することで、鉄道インフラの維持に向けた展望が見えてくる、ということも考えられるでしょうが、逆にいえば、国が関与することは、より地域の実情よりも、鉄道という交通モードが果たして地域交通及び地域間交通として妥当なものであるのか、より厳しい視点で判断される、ということも忘れてはならないのではないか、と考えます。

そもそも、鉄道の費用負担を地域も負担することで、地域の交通インフラとして責任をもって維持するという「上下分離」という方策を放棄することとなった時点で、果たしてどのような鉄道維持方策が残っているのか、と個人的には疑問ではあります。

ともあれ、国が主体的に関与することにより、この半年で「黄線区」8線区の抜本的な改善方策がどのような形で決まるのか、引き続き注目していきたいと思います。

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▲JR根室線(花咲線)・根室駅に停車中のキハ54形気動車。
この根室線・釧路〜根室も「黄線区」の一つとして、その改善方策が国が主体となり協議することになります。
その方向性がどのようなものになるのか、引き続き注目してきたいと思います。




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