福岡県の筑豊地方を走る第三セクター鉄道「平成筑豊鉄道」は、利用者の減少と、それに伴う収益悪化、そして自治体負担の増大を受けて、今年(2026年)3月に実施した「第11回平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会」(以下、「沿線協議会」といいます。)において、バス転換の方針が打ち出されました。
(参考報道記事)
経営難続く平成筑豊鉄道、廃止へ 知事がバス転換の方針伝える 福岡 [福岡県]:朝日新聞
このニュースは当時大きく報道され、平成筑豊鉄道も、下記のとおり「大きな方向性の決議(バス転換)について」と題して、その決議と今後の対応について発表しました。
(参考)
大きな方向性の決議(バス転換)について – へいちくネット(平成筑豊鉄道)
その「大きな方向性」が示されたことから、今後の焦点はバス転換時期になるかと考えられていました。
平成筑豊鉄道沿線のみならず、全国的にバス運行を担う人材の不足が問題となる中、沿線利用者、特に自家用車による移動が困難な高校生や高齢者等が鉄道廃止後も混乱なくスムーズに移動できるよう、バスへの転換には周到な準備が必要であり、そのために調整し、決定すべきことは数多あることは、想像に難しくありません。
ところがこの沿線協議会、3月以降開催されることなく、この9月にいきなり下記毎日新聞の記事で、2028年度末廃止のスケジュールが報道されるに至りました。
(参考報道記事)
三セク「平成筑豊鉄道」2028年度末に鉄路終了へ バスに転換 | 毎日新聞
そんな中、この9月8日に開催された第11回の沿線協議会では、やはり2028年度末のバス転換スケジュールが示されたものの、時間がなさすぎて困難であることから、廃止時期は見直すことが決定された、と報じられました。
(参考報道記事)
「バス切り替えの準備が間に合わない」運行終了時期を見直しへ 沿線自治体の反対を受け 平成筑豊鉄道(2026年9月8日掲載)|FBS NEWS NNN
福岡県:バス転換方針の平成筑豊鉄道、田川市長が鉄道存続へ意欲「国や県に支援を求め大きな見直しを求めていく」 : 読売新聞
果たして沿線協議会でどのような議論がなされたのか?
その内容が先日、福岡県庁のWebサイトに公開されましたので、見てみることにしました。
第11回平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会の議事概要等について - 福岡県庁ホームページ
平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会 - 福岡県庁ホームページ
第11回平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会(令和8年9月8日)議事概要|福岡県
2時間半に渡り、議事概要で24ページに至るこの会議では、福岡県庁(交通政策課)でが示したスケジュールに対し、沿線自治体や国(九州運輸局)が疑問を呈し続ける内容となっていました。
特に、田川伊田、田川後藤寺といった拠点駅を有し、田川伊田駅から直方・行橋方面と東西の交通を平成筑豊鉄道に依存している田川市からは、スケジュールに対する厳しい質問が幾度も投げかけられていました。
一方の福岡県では、スケジュールを所与のものとしながら、疑問を呈する田川市に対して協力的な姿勢なのかどうか、という本質とは異なる逆質問を投げかけたりする様子が、議事概要から読みとれました。
資料を含めた議事内容が、果たして沿線市町村にどこまで共有されていたのか、という点では福岡県側の調整不足の感が感じられたりするのですが、バス転換の方向性を出した後でこんなレベルの議論をしている現状、果たしてこんな進め方でバス転換ができるのか、素人的には疑問にも感じました。
結局鉄道廃止のスケジュールについては、鉄道運行終了時期は、バスの運行開始に向けたスケジュールを再確認した上で検討することになり、その旨資料についても上書きで修正する対応がなされました。
一方で、ここに至るまでのサウンディング調査では、転換後のバスの運行形態については、4条許可(一般乗合旅客自動車運送事業、緑ナンバー運行)と78条登録(自家用有償旅客運送事業、白ナンバー運行)とでは、78条登録のみでの運行でなら代替バスの運行が可能、ということが示されていました。
今回の沿線協議会では、この転換バスの運行形態についても協議が行われており、これについてはサウンディングの結果から、もはや4条許可による運行は担い手がいない、という地域の実情が明らかになっている、と事実は重いもの、といえるでしょう。
取り合えず、あと2年半での廃止の可能性は無くなった、という意味では廃止に向けてのカウントダウンが止まった状態となった平成筑豊鉄道。
しかし、鉄道としての運営が利用者数として厳しいこと、そしてその間にも沿線自治体の財政負担は重くのしかかること、加えて転換後のバス運行を担う人材不足は更に悪化することはあり得ても、好転する要素が見あたらないこと。
そういったことを考えると、廃止が延びたから大英断、とはとてもじゃないけど読み取れないな、と感じたりしました。
福岡県の行政に関しては、先日から報道されている議会との関係などもあり、厳しい目が向けられている中で、今回の平成筑豊鉄道の問題もクローズアップされたことから、殊更鉄道廃止に突っ切ろうとする県の姿勢に対する批判が、SNS上でも見受けられました。
ただ実体としては、鉄道が厳しいけど、バスも担うには厳しい現状の中、関係者が一致団結して地域の公共交通の再構築が待った無しの状況であることには違いなく、それは上述の福岡県政の批判とは別に、福岡県が関係者としっかり調整して進めていかないといけないのにな、と感じました。
個人的には、この平成筑豊鉄道は、1996年2月に乗車したのが最後です。
当時は、転換直後ほどでは無いとはいえ、まだ経営的にも安定していた時期だったかと思います。
かつての石炭輸送の名残の複線区間も、通学輸送に活用していたダイヤ等もあり、筑豊地域を東西に結ぶ主要交通として機能している、と感じていました。
あれから30年も経過しており、沿線の利用状況も大きく変化しているものと思われます。
機会があれば、再度平成筑豊鉄道線に乗車し、実状を見ておきたいな、と感じています。
丁度、廃止時期が見直しとなったことから、チャンスが延びた、というのはある意味私自身にとっては幸運ではあるのですが…
今回の平成筑豊鉄道のバス転換問題については、これまでの議論の経過も含めて、「タビリス」でまとめられていましたので、リンク先をご紹介します。
こちらも併せてお読みいただければと思います。
(参考)
平成筑豊鉄道、バス転換は本当にできるのか。紛糾の協議会、議事録を読み解く | 旅行総合研究所タビリス
(参考報道記事)
経営難続く平成筑豊鉄道、廃止へ 知事がバス転換の方針伝える 福岡 [福岡県]:朝日新聞
このニュースは当時大きく報道され、平成筑豊鉄道も、下記のとおり「大きな方向性の決議(バス転換)について」と題して、その決議と今後の対応について発表しました。
(参考)
大きな方向性の決議(バス転換)について – へいちくネット(平成筑豊鉄道)
その「大きな方向性」が示されたことから、今後の焦点はバス転換時期になるかと考えられていました。
平成筑豊鉄道沿線のみならず、全国的にバス運行を担う人材の不足が問題となる中、沿線利用者、特に自家用車による移動が困難な高校生や高齢者等が鉄道廃止後も混乱なくスムーズに移動できるよう、バスへの転換には周到な準備が必要であり、そのために調整し、決定すべきことは数多あることは、想像に難しくありません。
ところがこの沿線協議会、3月以降開催されることなく、この9月にいきなり下記毎日新聞の記事で、2028年度末廃止のスケジュールが報道されるに至りました。
(参考報道記事)
三セク「平成筑豊鉄道」2028年度末に鉄路終了へ バスに転換 | 毎日新聞
そんな中、この9月8日に開催された第11回の沿線協議会では、やはり2028年度末のバス転換スケジュールが示されたものの、時間がなさすぎて困難であることから、廃止時期は見直すことが決定された、と報じられました。
(参考報道記事)
「バス切り替えの準備が間に合わない」運行終了時期を見直しへ 沿線自治体の反対を受け 平成筑豊鉄道(2026年9月8日掲載)|FBS NEWS NNN
福岡県:バス転換方針の平成筑豊鉄道、田川市長が鉄道存続へ意欲「国や県に支援を求め大きな見直しを求めていく」 : 読売新聞
果たして沿線協議会でどのような議論がなされたのか?
その内容が先日、福岡県庁のWebサイトに公開されましたので、見てみることにしました。
第11回平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会の議事概要等について - 福岡県庁ホームページ
平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会 - 福岡県庁ホームページ
第11回平成筑豊鉄道沿線地域公共交通協議会(令和8年9月8日)議事概要|福岡県
2時間半に渡り、議事概要で24ページに至るこの会議では、福岡県庁(交通政策課)でが示したスケジュールに対し、沿線自治体や国(九州運輸局)が疑問を呈し続ける内容となっていました。
特に、田川伊田、田川後藤寺といった拠点駅を有し、田川伊田駅から直方・行橋方面と東西の交通を平成筑豊鉄道に依存している田川市からは、スケジュールに対する厳しい質問が幾度も投げかけられていました。
一方の福岡県では、スケジュールを所与のものとしながら、疑問を呈する田川市に対して協力的な姿勢なのかどうか、という本質とは異なる逆質問を投げかけたりする様子が、議事概要から読みとれました。
資料を含めた議事内容が、果たして沿線市町村にどこまで共有されていたのか、という点では福岡県側の調整不足の感が感じられたりするのですが、バス転換の方向性を出した後でこんなレベルの議論をしている現状、果たしてこんな進め方でバス転換ができるのか、素人的には疑問にも感じました。
結局鉄道廃止のスケジュールについては、鉄道運行終了時期は、バスの運行開始に向けたスケジュールを再確認した上で検討することになり、その旨資料についても上書きで修正する対応がなされました。
▲沿線協議会第11回資料の今後のスケジュールに関する記載。
当初の資料では「令和10(2028)年度末 鉄道運行終了」と記されていましたが、会議での議論を踏まえ、廃止時期は再検討となりました。
一方で、ここに至るまでのサウンディング調査では、転換後のバスの運行形態については、4条許可(一般乗合旅客自動車運送事業、緑ナンバー運行)と78条登録(自家用有償旅客運送事業、白ナンバー運行)とでは、78条登録のみでの運行でなら代替バスの運行が可能、ということが示されていました。
▲第11回沿線協議会で示されたバスの運行形態についての資料
(https://www.pref.fukuoka.lg.jp/uploaded/attachment/298490.pdfより引用)
今回の沿線協議会では、この転換バスの運行形態についても協議が行われており、これについてはサウンディングの結果から、もはや4条許可による運行は担い手がいない、という地域の実情が明らかになっている、と事実は重いもの、といえるでしょう。
取り合えず、あと2年半での廃止の可能性は無くなった、という意味では廃止に向けてのカウントダウンが止まった状態となった平成筑豊鉄道。
しかし、鉄道としての運営が利用者数として厳しいこと、そしてその間にも沿線自治体の財政負担は重くのしかかること、加えて転換後のバス運行を担う人材不足は更に悪化することはあり得ても、好転する要素が見あたらないこと。
そういったことを考えると、廃止が延びたから大英断、とはとてもじゃないけど読み取れないな、と感じたりしました。
福岡県の行政に関しては、先日から報道されている議会との関係などもあり、厳しい目が向けられている中で、今回の平成筑豊鉄道の問題もクローズアップされたことから、殊更鉄道廃止に突っ切ろうとする県の姿勢に対する批判が、SNS上でも見受けられました。
ただ実体としては、鉄道が厳しいけど、バスも担うには厳しい現状の中、関係者が一致団結して地域の公共交通の再構築が待った無しの状況であることには違いなく、それは上述の福岡県政の批判とは別に、福岡県が関係者としっかり調整して進めていかないといけないのにな、と感じました。
個人的には、この平成筑豊鉄道は、1996年2月に乗車したのが最後です。
当時は、転換直後ほどでは無いとはいえ、まだ経営的にも安定していた時期だったかと思います。
かつての石炭輸送の名残の複線区間も、通学輸送に活用していたダイヤ等もあり、筑豊地域を東西に結ぶ主要交通として機能している、と感じていました。
あれから30年も経過しており、沿線の利用状況も大きく変化しているものと思われます。
機会があれば、再度平成筑豊鉄道線に乗車し、実状を見ておきたいな、と感じています。
丁度、廃止時期が見直しとなったことから、チャンスが延びた、というのはある意味私自身にとっては幸運ではあるのですが…
今回の平成筑豊鉄道のバス転換問題については、これまでの議論の経過も含めて、「タビリス」でまとめられていましたので、リンク先をご紹介します。
こちらも併せてお読みいただければと思います。
(参考)
平成筑豊鉄道、バス転換は本当にできるのか。紛糾の協議会、議事録を読み解く | 旅行総合研究所タビリス










