阪和線の沿線から

阪和線沿線在住の筆者が記している日記です。
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カテゴリ: 鉄道全般の話題

毎月発売される鉄道雑誌の中でも、個人的に気になる特集があれば、実際に購入して読むことにしています。
今月発売の中では、「鉄道ジャーナル」の特集を読んでみたいと思い、購入してみました。
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鉄道ジャーナル 2021年 01月号 [雑誌]
鉄道ジャーナル 2021年 01月号 [雑誌]

鉄道ジャーナル2021年1月号。
特集は「災害多発の深刻」です。

このブログでもご紹介したように、今年7月に発生した豪雨で、特にJR九州肥薩線、久大本線やくま川鉄道では、橋梁や路盤の流失等、甚大な被害を被りました。
【JR九州】令和2年7月豪雨による被災状況を発表。久大本線、肥薩線を中心に計345件の被害が判明 : 阪和線の沿線から

今回の特集記事での一番の記事は、その中でも特に被害の大きかった肥薩線・八代〜人吉間の被害の状況を、著者が実際に訪問し、記録した記事「土壇場の肥薩線」でありましょう。

被害の状況については、既にJR九州からの発表資料や、それをご紹介した上記ブログ記事でご紹介していますが、それからおよそ4ヶ月経ち、現場での復旧状況はどうか、また、長期間の不通に対する代替輸送の状況はどうなっているのか、といった点を総合的・俯瞰的に理解する上では、またとない記事になっていると感じました。

被害の状況は、被害の惨状を写した数多くの写真で一目瞭然であり、これを見るだけでも、今回号を購入する価値はあると思いますが、更に特集では、既存不適格だった橋梁の掛け替えの問題(古い基準で建設された橋梁を再建する際、新たな基準で建設する必要があり、勾配等の技術的な問題に加え、復旧費用の負担の問題も生じる)についての解説、更に肥薩線の不通区間を取り巻く利用者が非常に僅少な点に触れ、復旧費用の投資に値する路線なのか否か、という点にも触れています。

当ブログでも触れてきたように、今回の被害が甚大だった肥薩線・八代〜人吉間の利用状況(平均通過人数)は1987年の2,171人に対し、2018年度は455人とこの30年間の間に8割に減少しています。
【JR九州肥薩線・くま川鉄道】令和2年7月豪雨災害により橋梁流失等の被害 : 阪和線の沿線から

今回の特集記事でも、「肥薩線で八代へ向かう生徒はほぼバス1台分」「人吉方面にも5校の高校があり、肥薩線利用は21人」(いずれも本号P28より引用)という、厳しい状況が記されています。

特集記事では、地元の新聞記事での報道も紹介していますが、ここでも肥薩線に関する情報が少ない、という点も触れており、地方における鉄道の立場、そして人々の認識がそれくらい小さなものであるのではないか、としています。

本特集記事では、肥薩線被災区間の復旧に向けての意見については特に述べておらず、現状と課題に止めていますが、その「被害」と「課題」を突きつけられるだけでも、読者にとっては復旧が非常に厳しい状況であることが、客観的に理解できる、という良記事だと感じました。

その他、今年の水害で不通となっている久大本線、くま川鉄道に加え、2016年(平成28年)の熊本地震により一部区間不通となり、今年8月に復旧した豊肥本線の乗車レポート、そして同地震により同じく一部区間不通となっている南阿蘇鉄道の被害の状況と復旧に向けての状況を取材しています。

また近年の地震・水害の被害ということで、九州地方で甚大被害が続きましたが、それ以外にも2011年(平成23年)の水害で橋梁流失等の被害を受けたJR東日本・只見線の復旧工事の状況についても触れています。


総じて言えば、甚大な自然災害を受けた地方路線、特に、近年の災害で増えてきた、元より利用者が激減していて運営自体が厳しい線区で、かつ被害が甚大なために現状復旧に技術的な問題も重なる線区での復旧についての課題を理解する上では、よい特集になっていると感じました。

今回被災した肥薩線が、今後復旧できるのかどうかは、今後の地域と事業者との話し合いによるしかないと思われますが、その議論を見ていく中では、今回の特集記事が論じている問題点は外すことができないのかな、と感じ、そういう意味でも今回購入しておきたいところだ、と感じました。



地方路線の災害の状況について、かなり記してしまいましたが、それ以外にも海外記事では「懐かしき欧州食堂車の思い出」、「ICE(ドイツの高速列車)30周年」と、これまた読みごたえのある記事が見られました。
特に「ICE30周年」では、「白地に赤帯」というICE登場からのカラーリングが、2019年から先頭車を中心に、一部編成では全車両が「緑帯」に変更されている、ということを知り、驚いた次第です。
また、2017年に営業運転開始したICE4を今後継続して投入し、2030年までに合計300編成とする計画も記されています。

ICEについては、初期に投入されたICE1、ICE2は編成の前後配置した機関車が牽引するプッシュプル方式に対し、ICE3、そして現在増備が進むICE4では客室内に動力車を配置する動力分散方式を採用しています。
今後、ICE4の増備が更に続けば、ドイツの高速鉄道網の様子もかなり変わってくるのかな、とも感じ、いわゆる「コロナ後」に展開されるであろう、その様子を現地で見ることができればいいな、と思ったりさえしました。



以上、今月発売された鉄道雑誌の中でも、読みごたえのあった「鉄道ジャーナル」についてご紹介しましたが、来月の特集記事は「当節気がかりのニュース」と、これまた気がかりな特集が予定されています。
予告によると、「空港アクセス鉄道の体制と現状」をッまとめるほか、「相鉄・JR直通運転の近況」「北陸新幹線の開業延期」も取り上げるとのことで、今年後半に色々と気がかりとなったニュースについて、まとめられるものと考えられるだけに、次号も購入必須かな、と感じた次第でありました。




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毎月発行されている「鉄道ダイヤ情報」「鉄道ファン」「鉄道ジャーナル」といった雑誌ですが、興味ある特集記事があれば実際に購入して、その感想等を当ブログでご紹介しています。

今月(2020年10月)に発売された各鉄道雑誌の特集は、以下のようになっていました。

【鉄道ダイヤ情報】
特集:名古屋鉄道


【鉄道ファン】
特集:形式記号「ニ」


【鉄道ジャーナル】
特集:夜行列車ふたたび

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いずれも個人的に興味惹かれる特集であったため、久々に三誌を揃って購入し、読んでみることにしました。



【鉄道ダイヤ情報】
特集:名古屋鉄道

鉄道ダイヤ情報 2020年 11月号 [雑誌]
鉄道ダイヤ情報編集部
交通新聞社
2020-10-15



かつての名鉄では、「パノラマカー」や「北アルプス号」、「600V区間」といったように、車両や線区の種類が多彩であり、そのバリエーションは大手民鉄随一であったかと思われます。

流石に当時に比べると、車両も路線網も整理されてはきましたが、今でもなお名鉄名古屋駅を拠点した、方々に広がる路線網と、各方面へ広がる運転系統は、名鉄の変わらぬ魅力でありましょう。

特集記事では、空港特急「ミュースカイ」登場後も、前面展望が楽しめる車両として今なおフラッグシップとして君臨し続ける「パノラマsuper」1200系(1000系)に名鉄岐阜から豊橋までの乗車記からスタートします。

そして、名鉄の魅力の一つである名鉄名古屋駅での列車発着調査、また「同じ形式でもデザインが違う」「同じデザインでも形式が違う」6000系グループ(6000系・6500系・6800系)の解説記事などもあり、他地域のファンにとってはいまいち理解がしにくい名鉄の車両や運用について、少しでも興味が持てるような特集となっています。

個人的に重宝したのは、付録の「名鉄車両ハンドブック」でしょうか。
このハンドブックでは、現有の名鉄車両と車両編成表、路線図が記されており、これを眺めているだけでも名鉄の奥深い世界を実感できそうに感じましたので、オススメです。



【鉄道ファン】
特集:形式記号「ニ」

鉄道ファン 2020年 12月号 [雑誌]
鉄道ファン編集部
交友社
2020-10-21



特集の題名の形式記号「ニ」は、荷物車を表す形式記号のことです。

かつての国鉄では「荷物輸送」というものを行っていました。
荷物輸送のイメージとしては、現在の宅配便で輸送するような荷物を、国鉄の駅から駅へと配送するサービスのことでした。

1976年(昭和51年)にヤマト運輸が「宅急便」というサービスで荷物輸送に参入するまでは、実際のところ国鉄が唯一の荷物輸送サービスであったようでした。
そのため、その需要に対応するべく、様々な荷物車が投入されましたが、本特集ではそれらの車両を紹介するとともに、国鉄の荷物輸送の創業から終了までの歴史を併せて記している、記録として貴重な特集でありました。

この特集記事ですが、同じく鉄道ファン2020年3月号の特集「形式記号 ユ」(郵便車)に続くものです。
(参考)
鉄道ファン2020年3月号 特集:形式記号「ユ」 : 阪和線の沿線から

先の「ユ」で紹介された郵便荷物合造車(オハユニ、クモユニ、キユニ等)は省略されています。
とはいえ、「ニ」だけでも多数の形式が掲載されている点、当時の国鉄荷物輸送がいかに盛んであったかを物語るものであるといえるでしょうか。


特集記事以外にも、近鉄「楽」20000系リニューアル車や、JR九州787系「36ぷらす3」の車両記事、「WEST EXPRESS 銀河」の乗車レポートや、運行開始50周年を迎えた「新快速」の記録のまとめ記事など、関西地区のファンにとっても読みごたえのある特集であると感じました。




【鉄道ジャーナル】
特集:夜行列車ふたたび




既に当ブログでご紹介したように、去る9月11日にJR西日本の新しい長距離列車「WEST EXPRESS 銀河」の運行がスタートしました。
「銀河」自体は「夜行列車」に限定してはいないものの、最初の運行ルートである山陰ルートが夜行列車であったこともあり、俄然「庶民的な夜行列車の復活」という切り口で盛り上がりました。

今回の特集では、その「銀河」の乗車レポートとJR西日本の関係者インタビューから構成された特集記事に加え、近年夜行列車の復活が盛んなヨーロッパの事情を詳しく解説した特集記事「欧州の夜行列車」が記されています。

特にヨーロッパの事情に関しては、近年の経緯や、コロナ前の運行状況について、子細に記されている点が、容易に現地に行けない者にとっては貴重な情報でありました。
ヨーロッパでもご多分に漏れず、LCCや夜行路線バスの普及により、夜行列車次々の減少していきましたが、一方で新規参入による運行も開始される等、日本とはまた違う状況が展開されていたのは、当地の事情を知る上で、知っておきたい情報と感じた次第です。

ヨーロッパの夜行列車も、新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な制限(運休や販売制限等)が行われており、コロナ前のように気軽に利用できる状況ではまだないのが現状ですが、コロナ後の状況によっては、再び賑やかな夜行列車の風景に戻ることもあり得ますし、また、日本からもそういった夜行列車に乗りにいけるようになる日を迎えることができればいいな、とも感じました。



以上、個人的に注目した特集記事を中心に、今月発売の鉄道雑誌をご紹介しました。
すっかり秋めいてきて、まさに「読書の秋」のこの時期、これらの鉄道雑誌を揃えて、是非とも秋の夜長にしっかり読書してみてはいかがでしょうか。


秋の4連休も間もなく終わりとなりましたが、この連休は多くの人々が国内の様々な観光地に出向いていました。
高速道路の渋滞や、新幹線・特急列車の混雑等、新型コロナウイルス感染症前ならば大型連休中に普通に見られていた風景が展開されるのも、本当に久々に感じました。

今回の連休で新型コロナウイルス感染症の感染が広がらないか、一抹の不安はありますが、仮に感染が大きく広がらなければ、国内旅行者の回復に向けて、大きな前進といえるかも知れません。



さてかくいう私は、この4連休の間、家の用事などで遠出することもありませんでしたが、そのおかげで、溜まっていた鉄道関連書籍を読み終えることができました。
その結果は、このブログでもご紹介してきましたが、今回は、連休最後に読み終えた、下記の鉄道書籍についてご紹介したいと思います。

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「技あり!」の京阪電車 創意工夫のチャレンジ鉄道 (交通新聞社新書 129) [ 伊原薫 ]
「技あり!」の京阪電車 創意工夫のチャレンジ鉄道 (交通新聞社新書 129) [ 伊原薫 ]


「『技あり!』の京阪電車」という交通新聞社新書の書籍であります。

この本を読もうとしたきっかけは、下記記事でご紹介した「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」(伊原薫著・交通新聞社新書)の中で、現在の阪急京都線・千里線の歴史について、「詳細は拙著『「技あり!」の京阪電車』で紹介している」と記されていたからであります。

「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」では、阪急電車が別格であるエピソードを、微に入り細に入り拾い上げていたところもあり、誤解を恐れず言うと、「著者が持つ阪急リスペクト・阪急愛が紙幅の限り書き綴られた」一冊だと感じました。

これが、著者にとって阪急とは違い「それほど馴染みのない鉄道」であり、「生粋の・・・ファン、というわけではない」(いずれも「〜京阪電車」より引用)京阪に関する書籍だと、そういった書きぶりがどのように変化するのか、というのも気になり、上記の「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」を読了してから早速、この「『技あり!』の京阪電車」を読んでみることにしました。



本書では、まず第1章で京阪電鉄の設立から現在(2018年)に至るまでの歴史を振り返り、建設時の経緯からカーブが多くスピードが出せない路線状況と、それを克服するための様々な「日本発」の取り組みを紹介しています。
そして「関西人は〜」でも紹介された、新京阪電鉄の建設と、戦時体制における阪急電鉄(当時・阪神急行電鉄)との合併、戦後の分離の際に、京阪電鉄が建設した新京阪線の取り扱い(京阪側へは移らず、阪急京都線として存続)も、記されています。
また一方で、丹波橋で接続していた奈良電気鉄道を巡る近鉄と京阪との動きも紹介しており、このあたりのエピソードからも、京阪電鉄が他社に翻弄された苦難の歴史をたどってきたことが見て取れます。

第2章では、現在の京阪電鉄の車両を紹介しており、「プレミアムカー」を連結し、特急運用を担うフラッグシップトレインの8000系を筆頭に、800系や600形、700形といった大津線の特徴ある車両も漏れなく紹介しています。

第3章では、著者がピックアップする個性的な駅10線として、淀屋橋、京橋、三条、出町柳といった拠点駅のみならず、駅間距離が短い区間を見渡すことのできる土居駅や、大クスノキが見守る萱島駅、40パーミルの急勾配に設置されている大谷駅など、個性あふれる駅を紹介しています。

第4章では、観光開発、中之島線の将来構想など、京阪が取り組む沿線活性化のこれまでと、これからを取り上げ、京阪電鉄で長年実施してきた「菊人形展」をはじめ、グループで取り組んできた琵琶湖・比叡山・鞍馬エリアの観光開発、そして延伸構想やがなにわ筋線との接続が計画されている中之島線の将来について記しています。



本書では、上記でも記したように、著者が京阪について、阪急ほどの個人的な思い入れがある、ということがある意味幸いしてか、比較的客観的な記述にとどめ、著者の感想があまり入り込んでいないところが奏効したのか、個人的にすんなり読めたように感じました。

京阪電鉄の歴史を概観し、京阪電鉄の基本的な知識を習得したい向きには、入門的な一冊として読みやすい書籍ではないかと思います。
本書を足がかりとして、様々な書籍を手にすることで、様々な魅力を有する京阪電鉄の世界を楽しむ方が一人でも増えれば、本書を紹介した甲斐もあるのかな、と感じた次第です。



とはいえ、本書で若干気になる記述もあったのですが、それは2600系に関する記述であります。

この2600系は、最小単位が2両編成から組成することが可能となっていますが、それについて、本書ではその理由を叡山電鉄線(当時は京福電鉄線)への乗り入れに求めていました。
具体的な記述では、「出町柳から叡山線への乗り入れも視野に入れていた」として、その具体例として「2600系の初期車はこれを考慮して2両編成で運用できるように考えられていた」としています。
(いずれもカッコ部は本書P137より引用。)

確かに京阪電鉄と叡山線(京福電鉄→叡山電鉄の叡山本線及び鞍馬線に相当)は、線路幅も同一であることから、両線区の直通運転の構想も出てきそうな点は理解できます。
ただ、それを考慮して2600系が2両編成での運用が可能とされたというのは、個人的に初耳でありました。
ただ、これについては、手持ちの他の文献からは確認することはできませんでしたが、元々手持ちの資料が非常に少ないことから、単に私の資料不足とも考えることから、折をみて確認していくことができればいいな、と思っています。


ともあれ、上記で記したように、「京阪電鉄」の入門本としては、取っつきやすい新書であるかと思いますし、一日あれば読み通せる分量ですので、秋の夜長に、京阪電鉄を知るための一冊として、読書の秋のお供にしてみてはいかがでしょうか。




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今月発売の鉄道雑誌のご紹介ですが、この10月に京阪神地区の「新快速」が50周年を迎えるにあたり、京阪神地区の特集が目立ちます。
下記記事では、鉄道ダイヤ情報2020年10月号での京阪間の特集をご紹介しました。
鉄道ダイヤ情報2020年10月号「特集 京都−大阪 都市間輸送のこだわり」を読む : 阪和線の沿線から

次いでご紹介するのは、鉄道ジャーナル2020年11月号、特集は「関西の流儀」であります。

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鉄道ジャーナル 2020年 11月号 [雑誌]
鉄道ジャーナル 2020年 11月号 [雑誌]

冒頭では、まず「新快速50周年」として有料座席「Aシート」を連結したグラビア写真とともに、「新快速」50年のあゆみを文章で紹介しています。

続く特集記事では、「大阪・うめきた・新大阪」として、ここ10年ほどで大きな改良工事が実施された新大阪駅及び大阪駅、そして現在大阪駅の北側で開発が進められており、今後その姿が大きく変わることになる「うめきた」地区の様子を紹介しています。

そして「阪神電車は、いま」として、大阪・神戸間を結ぶ阪神電鉄にスポットを当て、近年の車両、ダイヤ、改良のの様子を紹介しており、本記事で阪神電鉄の近年の取り組みが把握できる記事となっています。

一方、「京都洛西鉄道めぐり」では、「歩くまち・京都レールきっぷ」などを用いて京都市内の鉄道路線(阪急嵐山線、嵯峨野観光鉄道、JR嵯峨野線、京都市営地下鉄、嵐電)に乗り、京都市内で特に観光客の利用が多い線区について、新型コロナウイルス感染症の影響の中、様々に乗り継いだ現地レポートを紹介しています。

最後に「関西大手私鉄 近年の動向」として、阪急、阪神、近鉄、京阪、南海の関西大手私鉄5社について、その近年の動向を直近の決算状況から振り返るとともに、その今後の課題についてまとめています。


以上が特集記事の概要ですが、「鉄道ダイヤ情報」では京阪間に絞った特集となっているのに対し、この「鉄道ジャーナル」ではそれよりも少し範囲を広げつつ、「新快速50周年」という折ではありますが、「新快速」をテーマにした都市間輸送に注視するのではなく、むしろ関西の鉄道輸送システム的にどうか、といった論点でまとめられているのかな、とも感じました。




「新快速50周年」繋がりの関西地区特集、として購入した本号ですが、注目したのは、むしろ下記2つのJR北海道関連の記事でありましょうか。
・THE ROYAL EXPRESS 北の大地を行く
・JR北海道の維持困難線区を維持するために


前者は、この夏に運行された、観光列車「THE ROYAL EXPRESS〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の記事で、新型コロナウイルス感染症の影響で当初5回の営業運転が3回に減らされた本列車の、運行開始初日の札幌駅出発セレモニーの様子、車両を含めた列車の概要、試運転の様子、そして今後の課題についてまとめられています。
【参考】
【東急】【JR北海道】「THE ROYAL EXPRESS〜HOKKAIDO CRUISE TRAIN〜」の旅行プランを発表。2020年8月〜9月に計5回運行 : 阪和線の沿線から

後者は、既に当ブログでも幾度にもわたりご紹介してきた、JR北海道の維持困難線区のあり方について、その現況と地方自治体に求められる支援策、そして維持困難線区を維持する最後の手段の提案について記されています。

本稿では、維持困難線区の維持に対して、特に道や沿線市町村の地方自治体に対し、より根本的な取り組み求める内容となっています。

具体的には、「北海道の自治体に財政的な余裕がないは周知である」ことから「金銭以外の面での支援策が必要」であり、それは「駅前に多くの人が集まる環境を作る」ことが地方自治体に求められている、としています。
そこで「こうした施策を何もしないままに国に対して支援を求めるのは、空気を運ぶ様な状態の鉄道路線に多額の税金を支出しろと要求するようなもので、認められるはずがない」と評しています。

しかし、「実際に各線区で検討されている利用促進策のほとんどは観光を中心とした、外部からの入り込みに期待する内容」とし、その答えを「『自分たちは使わないから』」とし、「自分たちでは使わないが廃止には賛成できない、そのため外部の、鉄道を使ってくれそうな人を招こうという論理」と評しています。

また、最後に、「JR北海道の維持困難線区は・・・全ての路線を残すことは不可能だろう」とした上で、「適切な利用促進策も打ち出さず金銭的な支援もせず、そのうえ利用が少なくバスで十分に代替可能な路線については、・・・運行を打ち切るべき」とし、「一方で、再生可能と判断される路線は極力維持する方向でタブー無く方策を検討するべき」としています。
(以上、カッコ部分は本誌P57〜P59より引用)


JR北海道の維持困難線区については、元々利用者数が少なく、かつての特定地方交通線の水準であった、輸送密度が4000人/日あるいは2000人/日を大きく下回る線区であり、こういった線区で多少の利用者が増えたとしても収益上好転することは望むべくもありません。

そうすると、実際の利用者を増やすこと、あるいは少なくとも現行の水準を維持することで、地域に必要な線区であることを実績の数値で示し、公的資金の支援を沿線内外に求めていくよりほかは無い、と考えるのは、私も同感であります。

ただ本稿では、その方法があくまで観光を中心とした、沿線外からの入り込みに頼ったものであることに警鐘を鳴らしています。
その理由を要約すれば、「自分たちは使わないが廃止は認めない」ための方策、としていますが、ここまで露骨でなくとも、沿線の利用促進策が外部頼み、というのはちょっとどうかな、という気も、私自身は感じたりはしていました。

これらの維持困難線区は、決して多くない本数しかなく、日常的な利用には利便性に難がある、というのは、私自身も承知してはいますが、それでも沿線住民自らが、その用務で利用するというライフスタイルを少しでも構築するために取り組みを実施しないと、これら維持困難線区の維持するための、現在の沿線の取り組みは早晩破綻してしまうのではないか、と危惧しています。

言わば、沿線住民が「我が事」として、これら維持困難線区の存廃をどこまで捉えている、その本気度がまだ足りないとしか思えない、と評している内容でありますし、私自身もそこは現状ではマズいよな、と思っているだけに、参考になった記事でありました。



特集記事に釣られて購入した鉄道雑誌が、それよりも、その他の記事の方に注目した、という事例はこれまでにもありました。
今回も同様のパターンで、むしろJR北海道の経営維持に関する記事が、今後のこれらの線区のあり方を、当ブログで記すのにも少しでも参考になりそうにも感じました

とはいえ、当ブログ記事の冒頭でもご紹介した、新快速50周年を契機に、特に大阪・新大阪駅とその周辺の動きをまとめた記事は、今後更なる変貌を見せるこれらの地域を振り返り、今後の動きを検討する、という意味でも貴重な記事だと思いましたので、関西地区在住の方々を中心に、購入して一読してみてはどうか、と感じた次第でありました。




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当ブログで色々とご紹介している鉄道関係の書籍紹介。
今回取り上げるのは、こちらの書籍であります。

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交通新聞社新書で8月に発売された「関西人はなぜ阪急を別格だと思うのか」(伊原 薫)という書籍です。

関西地方では他社とは別格のブランド力を有する「阪急電鉄」にフォーカスをあて、その創生期を中心とした歴史、そのブランド力を広く知らしめている象徴である「マルーン色」の「阪急電車」の車両、駅、ダイヤ、サービスに対するこだわり、そして、かつてのライバル「阪神電鉄」と2006年の経営統合に至るまでの両社との主に競争に関するエピソード、そして今後の阪急の展望としての将来的な計画路線(なにわ筋線、伊丹空港アクセス線)などに触れています。


著者は、関西地区在住で、関西地区を中心とした鉄道関係の記事の執筆やテレビ出演もこなすなど、精力的に活動されているとのことで、昨今の関西地区の鉄道を語るには外せないライターの一人になっている模様です。

それもあってか、最近の「鉄道ダイヤ情報」「鉄道ジャーナル」等で、この方の名前をよく目にするわけですが、そういう「生粋」の関西人鉄道ライターが記した阪急電鉄にまつわる歴史、エピソード、小ネタなどをふんだんに集めた新書、といえるでしょうか。

その中には、そういう施策を阪急電鉄が取るに至ったその背景の分析なども記されており、そういう過程を経て、いわゆる「阪急ブランド」が構築されてきたのかと、特に関西地区以外の方々が「阪急電車」を理解していくのには、取っつきやすい新書だと感じました。

この新書ですが、8月に発売された途端、結構な売れ行きがあったらしく、早速重版された、とのことでありました。




私が手にしたのも、重版である「第2刷」でして、しかもそれが、阪急沿線から結構離れているJR和歌山駅の駅ビル「和歌山MIO」の書店に平積みされていたことから、沿線外であっても「阪急ブランド」に対するあこがれといいましょうか、そういったものを知りたい、という関心は強いのだなあ、と感じた次第です。



さて、上記の通り、本書を一通りご紹介したわけで、「阪急電車」をはじめとした「阪急電鉄」に対する様々なネタが詰まっている本書は、多くの方に手にしていただければと思うのでありますが、そう思う一方で、関西人に高級と認知されている「阪急ブランド」とは、全く逆のイメージを持たれていて、しょっちゅうその比較対象とされている沿線に住んでいる人としては、若干複雑な感情を抱いたのも事実です。

確かに、「阪急ブランド」が、箕面有馬電気軌道の頃から構築してきたブランド力に、他の鉄道沿線が勝てないのも理解できるのであります。
しかし一方で、個々の施策をみると、必ずしも全てが全て、「阪急電車」が優れている、というわけでもない。それなのにそこまで過大評価されてしまうのは、ちょっと納得できない、といった感情も、また完全に否定できないのも事実であります。

勿論それは、そういった過大評価でさえも容認できるほどの力が、所謂「ブランド力」であり、それを様々な手段でどこまで構築していくことができるのかの違い、ということに落ち着くのかな、と思っていますし、それが阪急沿線にくらべて、私の住む沿線では足下にも及ばない、というのも十分理解しているつもりです。

とはいえ、本書で紹介されている、「阪急電車」の個々の施策のレベルまで具体的に落とし込んでみると、私の住む沿線の方でも決して劣っていない、とも気づいたこともあったことも、これまた事実でありますので、そんな事例を2つだけご紹介したいと思います。


・有料座席指定車:
「追加料金なし!破格の豪華列車」(P111〜P116)や、「"お客様に優劣をつけない"阪急のポリシーを強めた、ある事件」では、豪華列車「京とれいん」「雅洛」が別途料金を徴収しないことを、「お客様に優劣をつけない」ポリシーから、特別料金を取らない判断を「実にシンプルで、かつ粋な判断」(P116)とし、また「6300系の開発段階では特別料金を徴収する構想があったものの、このポリシーに反することから具体化することはなく、立ち消えになったそうである」(P116)としています。

確かに、阪急電鉄の特別料金を徴収しない姿勢は理解できますが、ここ近年では30分程度の所要時間でも、時と場所によっては特別料金を支払ってでも座りたい、というニーズを汲み取り、より付加価値の高い着席サービスを提供する、という動きもあります。

その具体的な例として、昭和末期から脈々と続いている南海電鉄「サザン」や、近年では泉北高速鉄道「泉北ライナー」、京阪特急「プレミアムカー」が挙げられるわけです。
これらの列車は、敢えて「お客様を区別する」施策を取るという、阪急電車とは真逆のポリシーを実現しているわけですが、特に通勤時間帯にはこのコロナ禍でも一定の利用が見られることから、実は乗客の意識も「区別されるのをよしとしない」から「区別できる選択肢が欲しい」というように、変わってきているのかも知れません。

そういった乗客の意識の変化があるとすれば、これまた過去からのポリシーで捨て去るのは、ちょっと勿体ない気もするのであります。
阪急電鉄でも、例えば能勢電鉄と相互直通運転している「日生エクスプレス」は、日生中央→大阪梅田間では、朝ラッシュ時に50分弱の運転時間を要することもあり、こういった座席指定のニーズは低くないような気もします。
それを、過去からのポリシーで検討すらできないようであれば、ちょっと惜しいよな、と思ったりしますし、それができない「ポリシー」があったとすれば、それを同じように「シンプルで、粋な判断」(P116)と評価するのであれは、ちょっと危険かもな、と思ったりしました。

・鎧戸:
阪急電車の車内で特徴的なものの一つに、「鎧戸」があります。
いわゆる「日除け」で、鉄道車両では窓の上から下へ降ろすロールカーテンが主流となっていますが、阪急電車では、逆に下から引き上げる鎧戸が採用され続けてきました。
本書ではこれを「"美学"が表れている」(P87)とし、「立ち客の視界を確保すると共に、駅に着いた際に駅名標が見えるようにという配慮の結果」(P87)としています。

ただこの鎧戸ですが、結構重量があるのと、窓上部でロックするのにちょっと力を入れる必要があるようで、下記記事のように「危ない」との指摘もありました。
阪急と北急の鎧戸は普通に危ない…変なところにこだわるの、やめません? | Osaka-Subway.com

私自身は、「危ない」というよりも、「そもそもロックの仕方が分からない」ので難儀した記憶がありましたし、同じように難儀する光景を見たことも少なくなかっただけに、日除けはやはり、南海電鉄・JR西日本などでも採用されているロールカーテンがいいよな、と思っていました。
勿論、様々な観点で鎧戸を採用し続けた姿勢は批判はしませんし、一定の理解は示しているつもりですが、それが「美学」(P87)とまで言うものなのか、というと、それもちょっと違うかな、とも感じたりしました。

もっとも本書でも、「近年のリニューアル車両では・・・ロールカーテンとなった」(P87)そうですし、近年の車両である「9000系や1000系は一般的な上から下げるタイプ」(P87〜P88)となっていると紹介されています。

そうなると、いずれこの「鎧戸」も過去の光景になるのでありましょうが・・・



上記のように、些細な点ではありますが、本書で示された阪急電車の取り組みであっても、決して阪急電車以外も負けているわけでもない事例も挙げてみました。

とはいえ、繰り返しになりますが、そういった点をカバーして余りあるほどの、ブランド力を有するまでに育ててきたのが、今の阪急沿線でありますが、それは鉄道事業のみというよりも、それ以外の小売・不動産・娯楽等の様々な事業の相乗効果、という意味では、鉄道以外の事業でどのようにブランド構築を進めてきたのか、というのを掘り下げてもよかったのかな、とも思いました。

もっとも、本書が「交通新聞社新書」であることを鑑みると、やはり取っつきやすい「鉄道」の分野を中心にまとめる、というのも一つの方法なのかな、とも感じた次第でありましたので、阪急沿線の方も沿線外の方も、本書を手に取って、阪急電車を中心とした阪急電鉄の、いわゆる「ブランド力」の構築事例を見てみて楽しんでみてはいかがでしょうか。



最後に個人的な興味をひとつだけ。
実は、個人的に本書でどう取り上げるのか、楽しみにしていたサービスとして「PiTaPa」がありました。

「PiTaPa」は、公共交通期間の乗車ICカードとしては、世界初の後払い方式を採用したカードでありますし、阪急電鉄は、能勢電鉄、京阪電鉄とともに、そのサービス開始時から全線でサービスを提供しています。

本書では「自動改札」(P158〜P161)、「共通カードシステム」(P162〜P166)、「プリペイド残高10円から乗車可能」(P167〜P169)と、改札や運賃収受に関する阪急電鉄の革新的な取り組みを紹介しています。
その文脈で見るならば、まさに「PiTaPa」はこれらに続くものであり、「手元にお金が無くとも乗車できる」という革新的な仕組みであったと思うのであります。

しかし、本書では「PiTaPa」には全く触れられていなのいは、残念であります。
これこそ、「残高を気にせず乗れる」という、お客様ファーストな施策であるのにも関わらず、であります。
阪急電鉄がサービス開始当初から導入しているということは、相応の主導権をもって導入してきたと考えられますが、それが全く触れられなかったのは、単に紙幅の関係か、それとも、何か別の理由があるのか、気になった次第でありました。




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毎月発売される鉄道雑誌で、個人的に興味ある特集があれば、実際に購入して、当ブログでもご紹介しています。
この10月には、京阪神地区の都市間輸送を担うJR西日本の「新快速」が、登場50周年を迎えるということもあり、それにちなみ、京阪神地区の特集が組まれている鉄道雑誌をご紹介したいと思います。

まず手にしたのは「鉄道ダイヤ情報」。
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鉄道ダイヤ情報 2020年 10月号 [雑誌]
鉄道ダイヤ情報 2020年 10月号 [雑誌]

特集は「京都−大阪 都市間輸送のこだわり」ということで、京阪間で激しく競争しているJR西日本・阪急・京阪の三社のそれぞれの様子を振り返る内容となっています。

JR・阪急・京阪それぞれの列車に実際に乗車し、GPSログで各々の優等列車のスピードを測定するという、この時代だからこそできる記事を冒頭に、これら三社の基礎知識としてのダイヤ・車両の紹介と続いています。

そして「京都−大阪間 鉄道の歴史と伝説」では、JR・京阪・阪急のそれぞれの歴史(主に昭和中期頃まで)を振り返り、このエリアにおける各社の黎明期から発展期にかけての、様々な歴史的なエピソードを紹介しています。
いずれも人口に膾炙されたエピソード、と思いきや、京阪電鉄がわずかな期間ではあるもの終夜運転をしていたり、新京阪鉄道P-6形が「燕」を果たして抜いたのかどうか、というところにも突っ込んでおり、既に知っているところであっても、読みごたえのある内容となっています。


京阪間を結ぶJR・阪急・京阪の各社ですが、皆さんそれぞれの「お気に入り」や「こだわり」というのがあるかと思われます。
「とにかく早く移動したい」からJR、「TPOに応じて様々な座席を選びたい」から京阪、「とにかくブランドが違う」から阪急、といったように、それぞれを選ぶ理由、というのがあると思うのですが、今回の特集で三「社」三様の特徴や取り組みを、少しでも理解することができれば、新快速50周年の節目に企画された本特集を読む価値はあるのかな、とも感じました。




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当ブログでは、鉄道やバスのみならず、フェリーの情報も色々とご紹介しています。

他の乗り物に比べるとスピードという面では劣るものの、それと引き換えに広い空間が得られることや、特に長距離航路となれば、それこそ様々な等級が用意されていたり、レストラン・食堂・風呂が完備されていて、まさしく「動くホテル」そのものの乗り物として、「旅情」あふれる旅行が楽しめる手段ではないか、と思っています。

また、フェリーと言えば「雑魚寝」のイメージがどうしてもつきまとうのですが、このブログでもご紹介しているように、近年の新造船では、いわゆる「雑魚寝」のスペースを減らし、その分を個室やパーティションで区切られた船室にあてがうことで、プライバシーの確保も進んでいるのが、昨今の状況であります。


そんな、フェリーの情報をまとめた書籍についても、これまで幾度かご紹介してきたと思いますが、今回は、近年の新造船をターゲットにしたムック本をご紹介したいと思います。

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にっぽん全国たのしい船旅(2020-2021) フェリー・旅客船の津々浦々紀行 阪九フェリー「せっつ」「やまと」 (イカロスMOOK)
にっぽん全国たのしい船旅(2020-2021) フェリー・旅客船の津々浦々紀行 阪九フェリー「せっつ」「やまと」 (イカロスMOOK)


「にっぽん全国たのしい船旅2020-2021」、イカロス出版の本です。

内容は、表紙にある阪九フェリー「やまと」を筆頭に、「北から南の新造船現地レポート」とあるように、昨年から今年にかけて就航した新造船を、それこそ北海道から沖縄まで駆けめぐり、可能な限り乗船し、その様子をレポートしたものとなっています。

勿論、当ブログでご紹介した南海フェリー「フェリーあい」、阪九フェリー「せっつ」「やまと」も漏れなく紹介されており、これら両船が取り上げられている、という理由で購入してみましたが、その情報量の多さに驚いた次第でありました。
【参考】
南海フェリー新造船「フェリーあい」に乗船する(2019.12.20) : 阪和線の沿線から
【阪九フェリー】新造船「せっつ」の就航日は3月10日(火)(予定)に。併せて第2船の名称を「やまと」と命名 : 阪和線の沿線から
【阪九フェリー】新造船「せっつ」の就航日は3月10日(火)(予定)に。併せて第2船の名称を「やまと」と命名 : 阪和線の沿線から


しかも、出版しているのが、航空雑誌のトップランナー「月刊エアライン」を刊行しているイカロス出版でありますので、「月刊エアライン」のような技術的な点や接客設備、そして実際の運航の様子が、フェリーの世界においてもリアルに記されており、これだけでも記録のみならず、今後の乗船に非常に役に立つ情報が満載の書誌だと感じました。


加えて、この本では、「堺泉北〜宮崎〜日向細島」という、聞き慣れない航路の紹介がありました。
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▲「堺泉北〜宮崎〜日向細島」HAKKOひなたの紹介
(本書P98より引用)


かつて貝塚〜宮崎へのフェリーが運航していたことはありましたが、現在は既に無く(現在は宮崎カーフェリーが神戸〜宮崎で運航)、これは一体何の航路なのか、気になって読んでみたところ、どうやら無人車航送のRORO船(※)に条件を満たせば一般客も乗船できる航路のようであります。
(※)RORO船:
貨物を積んだトラックやトレーラーをそのまま積み込む船。
トラック等が実走して乗船(ロールオン)・降船(ロールオフ)できる船であることから、この名称が付けられています。
(参考)
RORO船 | ロジスティクス用語集 | 日本通運



詳しくは本書を手に取って、その様子をご一読いただければと思いますが、あくまで「貨物船」であることから、接客設備とは無縁の船内であり、「優雅な船旅」とは全く違うものでありますが、それはそれで、日本の物流を支えるRORO船の様子を垣間見ることができる、という意味では、これまた「貴重な船旅」であるといえます。

しかもこのような、RORO船に乗船できる航路が、我が地元の堺泉北港(阪九フェリー泉大津港とほぼ同じ場所)から発着しているとは、私自身も本書を通じて初めて知ることができたという意味で、有益な書籍でありました。
様々な条件があり、簡単にはいかないことは承知の上ですが、機会があればこういった船旅もできればいいな、と思いました。


ともあれ、昨年から今年にかけて就航したピカピカの船舶を紹介したデータブック。
新型コロナウイルス感染症の影響で、様々な感染症対策が行われていると思われますし、しかも夜行フェリーについては「Go To トラベル」の対象にもなっていますので、本書を眺めながら、おトクに快適な船旅を探してみるのはいかがでしょうか。




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2020年9月6日(日)に開催された「超こみっくトレジャー2020」で入手本のご紹介ですが、これが最後となります。
最後を飾る同人誌はこちらです。

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「卵型研究会」さん執筆の、「京阪電車 卵型電車ガイドブック 第2版」であります。

まず「卵型電車」とは何か?ということですが、京阪電鉄の2000系・2200系・2400系・2600系の各系式を称して本書では指していますが、その由来は、嚆矢である2000系が登場した時の当時の文献に「卵型近似のものとした」(本書)とあるように、「卵のように丸い電車」ということから名付けられているものであります。

本書では、これら「卵型電車」について、その登場に至るまでの背景と増大する輸送量に応じた増備、昇圧による2000系廃車・2600系代替新造、そして現在に至るまでの動向を冒頭でまとめており、私のような素人であっても、今回取り上げている「卵型電車」の概要と経緯をしっかり把握することができます。

その後、【解説編】として、2200系・2400系・2600系の形式写真、車両解説、編成紹介となっており、現存する全編成の紹介は、これまた圧巻の内容となっています。
更に、【考察編】では、内装、台車、車内番号板、製造所銘板、標記銘板といった、卵型電車の部分部分に至るまでの、深い考察が詰まっています。

総計約160ページに渡るボリュームと、ページ数だけでは現しきれない内容の濃さが故に、読み通すのに時間がかかったがために、こみトレ開催から一週間を経てのご紹介となりましたが、それだけに質・量ともに充実している、という月並みな表現が陳腐に感じられるほどの出来映えでありました。

冒頭カラーグラビアでは、「卵型電車のアルバム」として、昭和・平成・令和と駆け抜けた卵型電車のカラー写真が10ページに渡り収録されており、これを眺めているだけでも本当に時間を忘れるほどであります。

本書は、下記BOOTHのサイトにて、通信頒布も実施しているとのことです。
京阪電車 卵型電車ガイドブック 第2版 - 卵型研究会 - BOOTH
興味ある方は、是非ともお手元に揃えていただければと思います。



ところでこの「卵型電車」ですが、過去のブログ記事をチェックしてみたら、京阪線の団体臨時列車で乗車したことがありました。
京阪電鉄団体臨時列車ツアー参加記(その1:駅撮影編) : 阪和線の沿線から
京阪電鉄団体臨時列車ツアー参加記(その2:動画編) : 阪和線の沿線から
京阪電鉄団体臨時列車ツアー参加記(その3:淀車庫撮影会編) : 阪和線の沿線から
京阪電鉄団体臨時列車ツアー参加記(その4:まとめとお礼) : 阪和線の沿線から
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▲淀車庫での撮影会

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▲団体臨時列車の全行程が終了した中書島駅での様子

この時に乗車した編成は、本書によりますと最後まで残った4両編成だったとのことですが、残念ながら2015年末に廃車となりました。
とはいえ、本書によりますと、「令和2(2020)年8月現在、卵型電車は273両のうち140両が現役」(本書より引用)とのことであります。
それに加えて、ホームドア設置等の関係から、5扉車の5000系が先に廃車されていくという事情も鑑みれば、しばらくはこれら「卵型電車」のグループを引き続き京阪線沿線で見ることができそうです。
まだまだ活躍を続けそうなこれら「卵型電車」をより広く、深く知るためには、絶好の一冊、といえるのかな、と思い、今回ご紹介しました。




以上で、今回の「超こみっくトレジャー2020」での入手本の紹介は終了となります。

新型コロナウイルス感染症の影響から、「コミックマーケット」をはじめとする同人誌即売会も軒並み中止されているなか、この「こみっくトレジャー」は、感染症対策を万全に実施した上での開催となりました。

そのため、前回のこみっくトレジャーに加えてサークル数が減っていることに加え、入場時の検温実施、入場認証システムへの登録、収容人数管理カードの配布等、様々な点でこれまでとは違う「こみっくトレジャー」となっていました。




勿論、サークル参加・一般参加のいずれの方々も、マスク着用・ソーシャルディスタンスの確保等、感染症対策に注意した上で参加されていたのは、言うまでもありません。


現在のところ、この「こみっくトレジャー」がクラスターとなり新型コロナウイルス感染症が広まっている、という情報は私の手元に入っていませんので、そういった意味で、困難な状況でありながら、このような同人誌頒布会を開催していただいたこみっくトレジャー主催者の方々には厚く御礼申し上げます。

まだ終了一週間なので、予断を許さないとはいえ、仮に二週間以上経過して、こみっくトレジャーを介した感染症拡散が確認できなければ、このような事例を一つとして、軒並み中止となっていたこういったイベントが、少しでも開催に向けて動き出せばいいな、と感じた次第でありました。

一方、このような感染症対策を実施した上での開催は、費用的にも重荷になっていることは否定できない事実でもあります。
そのため、こみっくトレジャーを運営する青ブーブー通信社では、終了後のガイドブックの残部を通信販売しているとのことです。
下記Twitter引用文中内のリンクから、ガイドブック入手が可能とのことですので、支援したい、という方は是非ともご検討いただければと存じます。



次回のこみっくトレジャーは2021年1月17日(日)に予定されています。
その頃には、もう少しこれまでの形に近い開催となるように願いつつ、日々の生活で感染症対策を心がけていきたいな、という思いを最後に、今回の入手本紹介を終了とさせていただきます。




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阪急・阪神・東急の各社では、9月8日(火)より「SDGsトレイン2020」と題したラッピング列車を運行し、SDGsの達成に向けた多様なメッセージを発信する取り組みを実施しています。

阪急×阪神×東急が協働 ラッピング列車「SDGs トレイン2020」を9月8日(火)より運行します!|阪急阪神ホールディングス
阪急×阪神×東急が協働 ラッピング列車「SDGs トレイン2020」を9月8日(火)より運行します!|東急グループ
本日9月8日(火)より、SDGsトレイン「美しい時代へ号」が運行を開始しました!|お知らせ|東急株式会社

運行期間は両社とも、2020年9月8日(火)から2021年9月上旬を予定しており、阪急阪神ホールディングスでは「SDGsトレイン『未来のゆめ・まち号』」として、阪急神戸線・宝塚線・京都線及び阪神本線・なんば線で、東急グループでは「SDGsトレイン『美しい時代へ号』」として、東急東横線・田園都市線・世田谷線(いずれも相互直通区間も含む)で運行されています。

また、SDGsという観点では、2020年7月23日に運行開始したJR西日本「パンダくろしお『サステナブルSmileトレイン』」でもテーマとして掲げられており、次の世代をサステナブルSmileを贈り継ぐ象徴としてのジャイアントパンダ親子が前面にデザインされているのに加え、SDGsのゴールのうち6つをテーマに動物と人間をデザインしたラッピングが施されています。




また阪急電鉄では、昨年も「SDGs」をテーマにラッピングした車両を運行しており、偶然ではありますが神戸線の当該車両を撮影することができました。

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▲ッ阪急神戸線で2019年に運行されたSDGsトレイン「未来のゆめ・まち号」
(2019.8.10撮影)


このように、鉄道事業者でも徐々にその取り組みがアピールされてきている「SDGs」。
日本語に訳すと「持続可能な開発目標」となっていますが、それは果たして何なのか。
また、力を入れているのは鉄道事業者だけなのか。

そんな、ここ最近世間でも聞かれ始めるようになった「SDGs」というものを、「パンダくろしお『サステナブルSmileトレイン』」がSDGsをテーマとしていることもあって、ちょっと勉強してみようと思って購入したのが、こちらの中公新書であります。

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SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書)
蟹江 憲史
中央公論新社
2020-08-20



SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書 2604) [ 蟹江 憲史 ]
SDGs(持続可能な開発目標) (中公新書 2604) [ 蟹江 憲史 ]

蟹江憲史著「SDGs」という本です。
SDGsは、全ての国連加盟国が賛同した大きな目標でありますが、それは即ち世界の進むべき方向性がここに集約されているもの、といえます。
SDGsは17の目標と、その具体的な到達点である169のターゲットで構成され、それらの目標・ターゲットは明記されているものの、そこへ至るプロセスは個人・団体・企業・自治体・政府等々の地球に住む全ての関係者が考え、行動するという概念であります。

2030年に向けての到達点であり、これを達成しないことには地球の将来的な持続が実現しないという意味では、いずれもを達成していかないといけないこのSDGsですが、本書ではそのSDGsの概念とその確立プロセス、17の目標の説明、企業・自治体・政府の取り組み方、そしてポスト・コロナ時代のSDGsにどう取り組むか、といったように、一冊読めきれば、SDGsについてしっかり理解できる本となっています。

鉄道事業者も、インフラ事業者の一つとして、持続的な運営が求められており、SDGsとは深い関わり合いがあります。
それ以前に、SDGsの169個あるターゲットの中にも、鉄道を含む公共交通機関に関するものがあるのは、重要な点であるのではないのでしょうか。

目標11. 都市や人間の居住地をだれも排除せず安全かつレジリエントで持続可能にする

11.2 2030年までに、弱い立場にある人々、女性、子ども、障害者、高齢者のニーズに特に配慮しながら、とりわけ公共交通機関の拡大によって交通の安全性を改善して、すべての人々が、安全で、手頃な価格の、使いやすく持続可能な輸送システムを利用できるようにする。

(本書P271より引用、下線は管理人による)


このようにSDGsのターゲットとして、10年後には持続可能な輸送システムを構築する目標があるわけですから、その当事者となる鉄道事業者は、否が応でもSDGsを意識しなければならない、というのは理解できるかと思われます。

本書を読めば分かりますが、SDGsには達成できなかったからと言って、罰則が設けられている訳ではありません。
しかし一方で、本書で記されているように、SDGsを意識した経営・運営が求められる状況も今後進んでいく動きもあることから、鉄道事業者自らは勿論、利用者を含む利害関係者にもSDGsに対する理解を広めて、一緒になり目標達成に取り組むのは、持続可能な事業者のあり方としてはあるべき姿なのではないか、とも思えます。


以上、SDGsをテーマにしたラッピング列車が相次いで登場したことを受けて、SDGsとその書籍についてご紹介しました。
このSDGsに限らず、鉄道という媒体を入口として、世間の様々な動きに関心を持つことで、知的好奇心を高めていくというのも、鉄道趣味の楽しみ方の一つではないか、と思い、今回のエントリーで記事にしてみました。

勿論、鉄道そのものを深く追求していく、というのも趣味の方向性の一つであることには賛同しますが、それだけでなく、鉄道が世の中とどういった点で結びついているのかに思いを馳せる、というのもなかなか面白いのじゃないかと思い、そういったことに気づいていただける方が少しでも増えればいいな、と感じた次第でありますし、本記事がそのきっかけになれば、嬉しい限りであります。




●関連ニュースサイト:
歴史的な縁がある東西大手私鉄 列車を連携運行 大正時代にさかのぼる阪急と東急の関係 | 乗りものニュース



●関連ニュースサイト:

昨日開催された「超こみっくトレジャー2020」での入手本、続いてご紹介するのはこちらです。

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サークル「狭軌の沙汰」さんによる「大阪高野ひとえきがたり」と、その別冊2冊です。

現在の南海高野線が、高野山まで一本の鉄道で結ばれたのが1930年で、今年は丁度90周年となります。
その節目の年を記念して作成されたのが、この同人誌であります。

内容は、南海高野線の全駅を写真入りで紹介しているもので、高野線の各駅について、その住所・開業日・乗降数及びコメントを、各駅1ページでまとめたものとなっています。

本編では、難波〜橋本間の各駅及び泉北高速鉄道各駅が掲載されていますが、別冊ではこれに加え、橋本〜高野山、汐見橋線(汐見橋〜岸里玉出)も掲載されており、これら3冊で高野線・泉北高速鉄道線の全駅の写真が揃うという、まさに高野線・泉北高速鉄道線各駅のデータベース的な本といえます。

加えて、本編では、各駅の写真には車両置き換えが進行中の6000系が入っている写真を選んで掲載されているのも、本書のポイントでして、近いうちに全ての編成が引退することが決定している6000系が走る、高野線・泉北高速鉄道の各駅の様子は、近い将来に必ず貴重な記録になるといえるでしょう。
それだけに、今回この本を入手できて個人的にも大きな満足を得られた次第です。

また別冊では、紀伊神谷駅や岸里玉出にまつわる謎も掲載されていたりと、高野線・泉北高速鉄道線沿線に住んでいたことがあったにも関わらず、新しい発見も得ることができた同人誌でありました。


高野線・泉北高速鉄道線の沿線に住んでいたこともある私としては、「高野線・泉北高速鉄道線の全駅が掲載されている」という、ただそれだけで衝動買いに近い買い方をしたわけですが、その期待どおりの内容であったと感じました。

こちらの3冊についても、「BOOTH」による通信販売を取り扱っているとのことです。
興味のある方は、下記リンク先から注文してみてはいかがでしょうか。
【新刊】大阪睫遒劼箸┐がたり - サークル狭軌の沙汰 - BOOTH
【新刊別冊】睫鄲膸佞劼箸┐がたり - サークル狭軌の沙汰 - BOOTH
【新刊別冊】汐見橋線ひとえきがたり - サークル狭軌の沙汰 - BOOTH


「超こみっくトレジャー2020」の入手本の紹介、本日はここまでで、明日以降続きをご紹介していきたいと思います。




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