阪和線の沿線から

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鉄道ピクトリアル2024年8月号「【特集】近畿日本鉄道南大阪・吉野線」を読む

このブログでは気になる鉄道雑誌・書籍を管理人が実際に読んだ上で、感想などを書いています。
今回ご紹介する鉄道雑誌はこちらです。
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鉄道ピクトリアル 2024年 8月号 [雑誌]
鉄道ピクトリアル 2024年 8月号 [雑誌]



鉄道ピクトリアル2024年8月号。
特集は「近畿日本鉄道(近鉄)南大阪・吉野線」です。

鉄道ピクトリアルの近鉄特集としては、2018年12月臨時増刊号で「近畿日本鉄道」、2021年9月臨時増刊号で「近鉄特急」が発行されています。
(参考)



一方、民鉄全国一の路線規模を誇る近鉄では、これらの全社的な特集だけではどうしてもカバーしきれない部分がありますが、今回の特異臭では、そういった補完を含めて企画されたもの、とのことです。
その「補完」ともいうべき第一回目が、この「南大阪・吉野線」です。


既にご存じの方も多いように、近鉄南大阪・吉野線は、他の近鉄各線とは線路幅が異なることから、これらの2路線に道明寺線、御所線、長野線の5線を運営する組織として、「天王寺営業局」が長らく設けられていました(2023年6月まで)。

歴史的経緯についても、現在の大阪線及び橿原線とは異なり、現在のJR大和路線・柏原駅から河内長野までを結ぶことを目的に開業した「河陽鉄道」(のちの「河南鉄道」)、河南鉄道から東西に分かれて大阪阿部野橋〜橿原神宮前を結んだ「大阪鉄道」、吉野口でJR和歌山線と接続し吉野方面からの貨物輸送を目的に建設され、後に橿原神宮前まで延伸した「吉野鉄道」、そして大阪鉄道から分かれて御所へ、そしてその先五条までの延伸計画もあった「南和電気鉄道」の5社を源流としています。
(注:路線名及び駅名は現在のものを表記しています。)


運行的にも、そして歴史的にも、他の近鉄各線とは独立した存在であるこの「南大阪・吉野線」ですので、他の近鉄各線とは違った面が色々あり、それを網羅した一冊が今回の特集、といえるでしょう。


個人的に今回の特集を購入して良かったと感じたのは、「橿原神宮前」駅にまつわる歴史的経緯の整理です。
奈良県橿原市の橿原神宮は1890年(明治23年)に創建された神社で、その最寄り駅は当初畝傍駅(現在のJR桜井線)のみでしたが、その後現在の近鉄橿原線(当時は大阪電気軌道)、そして吉野線、南大阪線の順番に橿原神宮近辺まで路線網を延ばしてきました。

加えて、現在は廃止となりましたが、吉野線から桜井線へ接続する路線も建設され、またそこに軌間の違い(橿原線は標準軌、その他の各線は狭軌)や、1940(昭和15年)の橿原神宮拡張に伴う線路移設と橿原神宮総合駅(現在の橿原神宮前駅)の開業もあり、歴史的に複雑な経緯がありました。


今回の特集では、元近鉄社員の武部宏明氏の「大阪阿部野橋駅と橿原神宮前駅の変遷」の項で、この一連の橿原神宮前周辺の経緯が整理されており、意外と複雑な経緯をたどっていることなどが、分かりやすく解説されています。


近年は行けていないのですが、このブログでは毎年の撮り初めとして橿原神宮前駅周辺で近鉄南大阪線の列車を撮影してきています。
(参考)



それだけに、今回特集として「南大阪・吉野線」が単独で取り上げられていることに、嬉しく感じており、早速購入し、読破した次第です。

また特集記事内では、近鉄社員による「南大阪・吉野線の運転体系」と、本線区のダイヤの特徴、特に古市駅での連結・開放等についても、「中の人」による詳細も記されていますので、こちらも冒頭に記した別冊特集と同様、近鉄公式の記事として貴重なものといえます。

以上のように、近鉄南大阪・吉野線が詰まった一冊となった今回の鉄道ピクトリアル。
沿線ファンは勿論、近鉄自体に興味がある方も、狭軌の各線区の魅力を感じ取るという意味で、是非手元に置いておきたい一冊と感じました。


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▲南大阪線・橿原神宮西口〜橿原神宮前間で撮影した「ラビットカー」復刻塗装
(2016年1月2日撮影)
橿原神宮前近辺のお手軽撮影地でもあるこの場所で撮影した写真も、本特集に掲載されていました。
また南大阪・吉野線で撮影した様々な写真も掲載されているので、今後の記録撮影の際にも参考になると感じた特集でありました。

鉄道ピクトリアル2024年7月号「【特集】新快速」を読む

鉄道ジャーナル2024年7月号に関して、ちょっとエネルギーを使って書いてしまったこともあり、こちらの雑誌をご紹介するのがすっかり遅くなってしまいましたが、ご紹介しないわけにもいきません。

先月発売された鉄道雑誌のご紹介で、最後となるのは「鉄道ピクトリアル」。
特集は「新快速」でした。

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京阪神は言うに及ばず、姫路・網干といった兵庫県播磨地域や、滋賀県、そして福井県の敦賀にまでの広汎なエリアで走る「新快速」。

今でこそ京阪神は元より、播磨・近江地区にとっても無くてはならない列車種別であり、特に滋賀県内の琵琶湖線のここ数十年の発展は、「新快速」によってもたらされてきた、と言っても決して過言ではないでしょう。

今号では、その「新快速」について、国鉄時代を中心とした歴史を岩成正和氏が、国鉄時代・JR時代を通じた運転の変遷を寺本光照氏が、また国鉄末期からJR初期にかけて「新快速」に投入された、117系の車両解説を平石大貴氏が執筆した、まさに「新快速」の歴史と車両の詰まった一冊といえます。

特に、岩成正和氏の記事では、JR化後の躍進の影に隠れてあまり見向きがされていないよいうに感じる国鉄時代、そして「新快速」の運行開始までの設備の増強や、当時としては画期的な「ブルーライナー」153系・165系の投入、そして117系投入までといった歴史を丹念に記している点では、一読の価値があるものと感じました。
「どうしようもなかったあの頃、気の遠くなるような労使交渉と東京本社とのお役所交渉を黙々とやっていた誰かがいたはずだ。」(本誌P27)等、今の「新快速」の隆盛の礎を築いた名も無き国鉄社員の方々への敬意が感じられる、とても感銘を受けた記事でした。


折しも、大阪〜神戸間の鉄道開業150年ということから、この「新快速」の特集が組まれたのかも知れませんが、今や貴重な113系横須賀色の「新快速」、そして153系・165系「ブルーライナー」による「新快速」といった、貴重な写真も見ものといえる一冊と感じました。


発売から時間が経ってのご紹介となり恐縮ですが、興味あるかたは是非、入手してみてはいかがでしょうか。


鉄道ジャーナル2024年7月号を読む(下)根室線部分廃止の記事に抱いた様々な疑問…

こちらの記事で、鉄道ジャーナル2024年7月号について、特集「都市の直通運転」に関連する内容についてご紹介しましたが、この「下」では特集以外の記事のうち、「根室本線部分廃止によるネットワーク分断の問題点」(櫛田泉著、以下「本稿」。)を取り上げたいと思います。

本号の92ページから99ページまでの8ページを費やして記しているこの記事は、今年(2024年)3月31日をもって廃止となった、根室本線・富良野〜新得間(以下、「根室線廃止区間」。)について、廃止によるネットワーク機能の喪失による問題点を記した記事となっています。

しかし、読み進めるにつれて、何だか私のような素人であっても、色々を疑問を抱かずにはいられませんでした。
またこういった疑問だらけの記事を掲載した「鉄道ジャーナル」の意図にも疑問を感じましたので、以下で書き綴ってみたいと思います。
以下では、本稿の記事を「」内で引用し、()内に引用元であるページ及びブロック(左右)を記しています。なお引用元はいずれも鉄道ジャーナル2024年7月号となります。
また、必要に応じて当ブログの過去記事を引用していますが、これらの過去記事には各事業者の公式Webサイトの発表等へのリンクを記載していますので、公式発表を確認したい際には参考にしてください。

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▲根室本線・山部駅(2016年7月、管理人撮影)




【1】「ドライバー不足」に対する疑問
本稿では、「ドライバー不足」という語句が合計で8回(※)出てきます。
(※)P92左(2ヶ所)、P93左、P95右、P96左(2ヶ所)、P96右、P99右

趣旨としては、「ドライバー不足問題が深刻化している中での北海道での相次ぐ鉄道廃止は、北海道民の生活と経済を支える上で問題は無いのであろうか」(P92左)、「バスドライバー不足の問題からバスによる地域交通の持続可能性が不透明な状況」(P96 左)等の記述からあるように、ドライバー不足によりバス・トラックが代替輸送を担えず、それにより利用者や物流に影響を及ぼす、よって根室線廃止区間は廃止すべきではなかった、という趣旨のようです。

確かに、バス・トラックドライバーについては、今年4月より時間外労働の上限規制が施行され、それによりドライバーの従事時間を短縮せざるを得なくなるのは事実でありますし、現に運転士不足で減便等の措置を行っているバス事業者の事例も多数見られます。

阪和線の沿線から : 京阪バス・アルピコ交通で都市間高速バス廃止の動き…「直Q京都号(なんば・USJ〜京阪交野市)」「長野〜松本線」が相次いで廃止に
阪和線の沿線から : 【北陸鉄道・富山地鉄】高速バス「富山−金沢線」廃止(2024.3.15限り)運転士不足による都市間高速バスの廃止がまた明らかに。

ただ、もう少し視野を広げてみますと、残業規制に対応できない原因の根幹である「労働力不足」は、何もトラック・バス業界に限った話では無いと考えられます。

現に鉄道業界でも、地方鉄道の中には運転士不足による減便を余儀なくされている事業者の事例も出てきています。
阪和線の沿線から : 【島原鉄道】鉄道運転士の退職に伴い一部減便を実施(2023.10.16〜12.15の平日)

また、規模の大きなJRグループであってもその事情は共通で、JR西日本ではコロナ禍前の2019年より深夜時間帯の列車見直しを実施し、保守作業の働き手不足に対応しようとしています。
阪和線の沿線から : 【JR西日本】深夜帯ダイヤ見直し実施を発表(2021年春実施予定)近畿エリアで10分〜30分の終電繰り上げを実施

以上のように、「2024年問題」でドライバー不足が叫ばれていることから、今後のドライバー確保に懸念があるのは確かですが、一方鉄道事業者の側でも働き手の確保が課題であるのも、これまた確かだといえます。

しかし、本稿では、バス・トラックドライバー不足のみを取り上げており、仮に根室線廃止区間を存続させた場合の鉄道事業者の働き手の確保については、特に言及がないことから、将来的な鉄道要員の確保は問題が無いのか、無いのはどういった理由なのか、といった点が疑問として残っています。

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▲島原鉄道・島原外港(現・島原港)駅(2016年4月、管理人撮影)



【2】「公費負担」に対する疑問
本稿では、輸送密度が低くとも根室線廃止区間とは違って線区を維持している事例として「JR東日本只見線」(P95左)、「オーストリア」(P97左〜右)を挙げています。

まず、只見線については、以下のように記されています。
「しかし、災害運休でバス代行となり著しく利用者を落としていた路線であっても、鉄道復活とともに利用者をV字回復させた只見線などの事例もあり、プロモーション次第では根室本線を復旧させても十分に伸びしろがあったと言える。」(P94右〜P95左)

只見線の事例では、災害(2011年新潟・福島豪雨)で不通となり、その後復旧を果たした会津川口〜只見間は、民営化直後の1987年年度は184人、災害前直近の2007年度は63人と推移してきましたが、上述の豪雨災害で大幅に減少し、運休時の2022年度は12人を記録しました。
しかし復旧後の2022年度は79人と、確かに復旧前よりも大幅に回復していることが分かります。
(参考)
路線別ご利用状況(1987〜2022年度(5年毎))|JR東日本
路線別ご利用状況(2018〜2022年度)|JR東日本

一方で、輸送密度が上述のとおり非常に小さい只見線を復旧させるにあたっては、福島県が第三種鉄道事業者として鉄道施設の維持管理を行う仕組みで復旧されました。
つまり、沿線住民が(利用の少ない)鉄道路線を維持するために公費(税金)を投入することに合意したからこそ、輸送密度の少ない線区でも維持されている、という事実は現に存在しています。
(参考)
阪和線の沿線から : 【JR東日本】只見線(会津川口〜只見間)の鉄道復旧に関する基本合意書及び覚書を締結

次にオーストリアの事例については、以下のように記されています。
「オーストリアでは鉄道全線の維持が基本的な考え方だ。輸送密度が1500人であれば「極めて高い」、500人でも「中程度」と評価されている。さらに、輸送密度が500〜750人の路線に対してはさらなる潜在需要の獲得を促しており、500人を下回る路線であっても「不定期の利用、観光利用を確認する」という基準が設けられており、鉄道の価値を、潜在需要をどう獲得するのか、という視点で見ている点が特徴だ。」(P97左〜右)

輸送密度が500人を下回る路線でも、路線を維持することが基本的な考え方、と著者は記しているようですが(※)、このオーストリアについては、下記の宇都宮浄人氏による論文によりますと、やはり国や地方自治体による財政支援により成り立っていることが分かります。
「オーストリアにおける地域鉄道の財政支援構造」(交通学研究第62号・宇都宮浄人)
結局、輸送密度が低い鉄道を維持していくためには、当該路線の収入だけでは勿論運営費用を賄うことができず、国や地方自治体の公費(税金)を投じる必要があります。

一方、公費(税金)を投じることは即ち、沿線住民や国民の同意が必要であることは言うまでもありませんが、そういった公費負担に対する議論が本稿では全くなされないまま、利用者の少ない鉄道を維持するのが当然、という展開に、これまた私は疑問を感じました。
(※)輸送密度500人を下回る線区で、不定期の利用や観光利用を確認し、やはり潜在需要が乏しいと分析された場合はどうなるのか、という点も触れていない点も疑問として残ります。



【3】「代替ルート」に対する疑問
平時の利用者が少ないのにも関わらず、費用負担の議論なしに路線維持を前提に展開されている点で、上述【2】にも共通するのが、この「代替ルート」に関する論点です。

著者は根室線の部分廃止により、「災害普通時に貨物列車や旅客列車の代替ルートを確保できなくなること」(P96左)を根室線を一部廃止することの懸念点の一つとして記しています(P96左)。

具体的な記述は以下のとおりです。
「石勝線が何らかの原因により不通となった場合は、迂回できるルートがなくなってしまったことから、今後は物理的に貨物列車の運行ができなくなり農産物の出荷自体が困難となることも懸念される。」(P96左)

確かに、新得から札幌方面へ向かう際、これまで富良野経由と新夕張経由と2つのルートがありましたが、今後は新夕張経由のルートしか採ることができなくなりました。

ただ、災害による貨物列車の長期間運休はJR貨物自体も課題と考え、同社では他の事業者との連携による代替輸送体制の構築に力を入れています。

日本通運、JR貨物と「山陽線不通時のトラックによるバックアップ輸送スキーム」を構築 〜BCP対策として災害時の安定した物流サービスを提供〜 | NIPPON EXPRESSホールディングス
災害時の代行輸送力強化に向けた内航船の共同発注について|JR貨物

いくら災害時に鉄道での代替ルートが確保できるとはいっても、平時の利用者が僅少な路線を維持するくらいなら、他の事業者と災害時の代替輸送に関する協力体制を構築しておき、実際に災害による代替輸送が必要な際に協力を求める方が、コスト面はもとより、実現可能性の点でもずっと有利な方法のようにも思えるのですが、そうではなく、あくまで鉄道での迂回でなければならない論調に、疑問を感じたところです。

では仮に、鉄道による「災害不通時の代替ルートの確保」が石勝線・新得〜追分間程度の輸送量で求められるというのであれば、全国にはより輸送量が多い線区は数多く存在しており、それらの線区で全て「鉄道による迂回ルート」を確保しておかなければならない、ということにもなります。

典型的な例を一つ挙げるとなれば、青函トンネル(木古内〜奥津軽いまべつ)が考えられますが、著者の理論でいえば、それこそ「第2青函トンネル」を建設して代替ルートを用意する必要がある、ということにもなりかねませんが、このあたりを著者はどう考えているのか、疑問であります。

なお、著者は、以下の引用のように、北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線(北見〜池田)についても、迂回ルート確保の意見を述べていますが、こちらも同様に、平時はもはや鉄道として維持するだけの輸送量が残っていない路線を、迂回ルートとして維持するのであれば、その維持費用の問題は避けて通れないはずが、その点が全く触れられていないのは、やはり疑問であります。
「2006年までは北見〜池田間に北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線があった。この路線を経由すれば池田まで140.0kmの距離であったが、これが網走、釧路経由となると池田まで326.2kmと3倍近くに延び、車両の回送に大きなロスを生じさせてしまうこととなった。災害時のリスク分散の観点からふるさと銀河線を使える状態で整備しておけば、ザ・ロイヤルエクスプラスの乗客は迂回路線経由で鉄道旅を続けることが出来、貨物列車の運転も可能となっていた。」(P96右)

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▲北海道新幹線(津軽海峡線)・青函トンネル入口広場(奥津軽いまべつ〜木古内・2023年9月管理人撮影)



【4】「事業者の適切性」に対する疑問

著者は、本稿を通じて「JR北海道が北海道は鉄道運営を担う事業者として適切なのか」(P97右)を、根室線廃止区間の事例を元に、同社(JR北海道)は適切ではない、という意見を述べたいようであります。

ではどこか適切な事業者があるのか、という問いには、著者は「沿線の経営環境がJR北海道以上に恵まれているとは言い難い環境下で、堅調な経営を続けている地方の鉄道事業者」(P98右〜P99左)として「富士急行」(P99左)の名前を具体的に挙げています。

著者によれば、富士急行は「沿線人口は12万人程度であるにも関わらず鉄道ブランドも上手く活用し、株式を東証プライム市場に上場するなど富士急グループ全体で事業部横断的な経営計画を策定し、黒字経営を続けて」(P99左)いるとのことです。

ここで疑問なのが、「富士急行はJR北海道よりも本当に沿線の経営環境が恵まれていないのか?」という点です。

素人的にみても、厳しい気候の中で除雪等の費用も大きい一方、人口希薄な地域を多く抱えてもとより非効率な経営にならざるを得ない地理的構造を抱え、しかも都市間バスやマイカーとの競争に晒され続けているJR北海道よりも、首都圏にほど近い日本を代表する観光地を擁し、国内外からの観光客が潤沢に来訪する富士急行の方が、よっぽど環境が恵まれていると感じるところです。

となると、「沿線環境がJR北海道よりも恵まれていないとは言い難い」(恵まれている)と言えたとしても、「沿線環境がJR北海道よりも恵まれているとは言い難い」(恵まれていない)とは、とても言えないのではないか、と思うわけであります。

勿論、富士急でも観光客に満足して楽しんでもらえるよう、たゆまぬ経営努力を積み重ねていることは確かですし、富士急が豊富な観光資源の上にあぐらをかいているとも、勿論思っていません。

とはいえ、富士急行とJR北海道を比較するのは、上述のとおりあまりにも条件が違いすぎますし、比較の対象としてはもっと環境の近い事業者を挙げるべきなのかも知れませんが、そんな中で富士急行を比較対象として掲げた著者の意図は一体何なのか、これまた疑問に思うわけです。

そもそも、「広大な営業エリア」「厳しい気候」「札幌都市圏への人口集中と他の地域の人口減少」という「北海道」というエリアは、鉄道事業を行うのには厳しい環境ばかりで、たとえどんな事業者であっても相当の苦労が求められるものと、素人的には思うわけですが、そういった点で「適切な事業者」というのは、どういう事業者を想定しているのか、これまた疑問でもあるわけです。
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▲富士急行(現・富士山麓電気鉄道)河口湖駅(2018年1月、管理人により撮影)




【根本的な疑問…疑問の多い櫛田氏の記事を、なぜ鉄道ジャーナルは掲載したのか?】
以上、櫛田泉氏の記事に対する疑問を、大きく分けて4つの点から述べてみました。

私のような素人から考えても、本稿が色々疑問を突っ込みたい内容の記事であることは、これまで縷々述べてきたとおりです。
ただ、そんな疑問だらけの記事であっても、それを発信すること自体は、表現の自由として批判されることではないと思っています。

勿論、上述のような多くの疑問を抱かざるを得ない文章でありますので、その中身においては、とてもではないが有益な文章ということはできない、という判断を私としてはせざるを得ないわけですが、だからといって、著者の櫛田氏に「こんな文書を書くな」とは言うことはできませんし、言うわけにはいきません。

むしろ今回の疑問は、自身のWebサイトや単著本等、著者本人が全て自らの責任で発信しているわけでなく、「鉄道ジャーナル」という雑誌の一記事として掲載されたことに対してであります。
つまり、このような疑問の多い櫛田氏の記事を、「鉄道ジャーナル」の編集部はどのような意図をもって掲載したのか、というのが、今回のことを通じて私個人としては最も大きな疑問なのであります。


「鉄道ジャーナル」は、表紙に「鉄道の将来を考える専門情報誌」と記されていることから分かるように、鉄道の将来を、専門的に分析し、読者に有益な情報を提供する媒体として、様々なライターが各地の鉄道事情を取材し、分析し、記事化している雑誌であると、私自身は認識しています。

このブログでも、「鉄道ジャーナル」自体をこれまでこのブログで多数ご紹介しており、それぞれの特集記事についても、基本的に肯定的な感想を記してきました。

それはいずれも、編集部が、テーマに則したライターに記事執筆を依頼し、それを受けたライターが読者にとって有益となる質の記事を執筆する、いわば「編集部」と「ライター」の二人三脚で、「鉄道の将来を考える専門情報誌」としての看板を保ってきたからである、と理解しています。

それだけに、今回、このような疑問の多い櫛田氏の記事が掲載されたことに対して、「鉄道ジャーナル」編集部はどういった意図で櫛田氏の執筆依頼、記事掲載を決断したのか、というのが、今回の最も大きな疑問なのであります。


正直、これだけ素人目にも疑問が多い記事を記す櫛田氏を選ぶくらいなら、他にもっと適切なライターは沢山いるのではないか、と思うわけです。
さらに言えば、これだけ突っ込みどころの多い記事でも鉄道ジャーナルに掲載できるのであれば、「自分の記事でも十分掲載できる水準ではないのか?」と思われる方も出てくるのではないか、と思ったりするわけですが、果たして鉄道ジャーナルの編集部は掲載ライターの依頼について、どう考えているか、疑問であります。

この櫛田氏の記事に対しては、SNS上でも色々な意見が出ているようですが、当ブログでは、これまでも「鉄道ジャーナル」の記事をご紹介してきたこともあり、自分自身が感じた「記事」と「編集部」に対する疑問をまとめてみようと思い、今回この記事を記してみました。

長々とまとまりのない文章となりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。

これからも、引き続き「櫛田泉」氏の名前を「鉄道ジャーナル」上で見ることとなるのか、はたまたそうではないのか。
編集部にも寄せられたであろう意見も踏まえて、今後「鉄道ジャーナル」がどのように判断するのか、個人的に注目していきたいと思います。



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鉄道ジャーナル2024年7月号を読む(上)「【特集】都市の直通運転」

こちらの記事でもご紹介したように、この5月に発売された鉄道雑誌を3冊購入し、読み終わった順に当ブログでご紹介してます。

続いてご紹介するのは、鉄道ジャーナル2024年7月号 特集「都市の直通運転」です。
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今回取り上げられた「直通運転」は、大阪や東京で実施されている大手・準大手事業者どうしの直通運転をターゲットに、その歴史や現状が紹介されています。

関西地区の事例としては、
・北大阪急行 地元待望の箕面延伸開業(鶴通孝)
・近鉄特急、夢洲へ Osaka Metroへの乗り入れ構想(鶴通孝)
・15周年を迎えた阪神なんば線(伊原薫)
(カッコ内は著者名、敬称略。いずれも本号目次より引用)
が挙げられます。

また関東地区の事例としては、
・東急を中核とする首都圏の直通ネットワークの発展(土屋武之)
・相互直通運転 直通車両統一規格の実際(柴田東吾)
・執念の開業から空港アクセスの隆盛まで 浅草線の建設と運転(岩成正和)
(カッコ内は著者名、敬称略。いずれも本号目次より引用)
となっています。

個人的には、「阪神なんば線」(伊原薫氏)、「都営浅草線」(岩成正和氏)の特集記事が、その建設に至るまでの歴史を丹念に説明しているところが、大変参考になりました。

「阪神なんば線」は、かつての「伝法線」をはしりに「西大阪線」と後年改称されましたが、終点の西九条駅のターミナル機能の薄さもあり、長年阪神の支線としての認識が強いように感じていました。

しかしその位置づけを大いに変え、今や神戸と奈良を結ぶ大動脈となった「阪神なんば線」。
そのインパクトは、本稿でも「進学先の選択肢を増」やし、「人々の人生をも変えた」(いずれも本号P66より引用)と著者がまとめていることからも、私の持っている感覚と軌を一にしていると感じました。


そしてもう一つの「都営浅草線」は、著者自身が東京都職員であることもあり、東京都(市)の都市交通のはしりを、それこそ「都営地下鉄前史」(本号P68より引用)と、ページを割いて丹念に説明しているところが、大変参考になりました。

当ブログ記事を書くにあたり、改めてページ数を確認したところ、16ページ中着工までに費やしたページが7ページ半とほぼ半分を費やしているところから、「浅草線」のみならず、「東京都営地下鉄 着工までの歴史」というサブタイトルでも全く問題ないくらいに網羅網羅された内容となっていました。

関西地区で生まれ、育った私にとっては、東京に同じ地下鉄が「営団」と「都営」の両方が存在し、そして「都営」よりも「営団」の方がずっと規模が大きいことに、大いなる違和感を抱いていました。
こちら大阪では、大阪市営地下鉄が地下鉄路線を一手に掌握していたので、地下鉄=公営単独という前提から考えると、「どうして都営はこんなに少ないのか」と不思議にも思っていました。

大人になった今は、そのあたりの事情は粗方理解していた「つもり」でしたが、今回改めて岩成正和さんの記事を読むと、「どうして都営地下鉄がこんなに少ないのか」という理由が理解できたので、本当に有益に感じました。


「直通車両統一規格の実際」(柴田東吾氏)では、東京メトロ千代田線と、同線に相互直通運転を行う小田急電鉄及びJR東日本(←国鉄)の、直通車両を用意するに当たり、様々な実務面(覚書、保守、仕様etc)から、直通車両の「特別な」点を網羅している点でも、読みごたえのある内容でありました。

本稿では、千代田線を中心とした内容ではありますが、相互直通運転を実施している事業者では、多少の差はあれど、どれも相互直通運転を実施するための実務を、実際の車両設計に落とし込む点で各事業者が苦心しているのだな、とういことを改めて実感しました。


「北大阪急行 地元待望の箕面延伸開業」(鶴通孝氏)では、開業間もない北急・千里中央〜箕面萱野について、著者が実際に乗車して、延伸開業区間の街の特徴(元々市街地が形成されていた点、箕面市自体に高層建築が少ない点)や、延伸開業区間のスキーム(箕面市内が軌道法に準拠している)など、私自身も実際に乗車したとは言え、様々な点を見逃していたことを改めて痛感し、著者の洞察の深さを実感した次第でした。

以上、特集記事の概要をかいつまんでご紹介しましたが、いずれも読みごたえ、学びになる内容であると感じました。



…と、いつもの雑誌紹介ですと、これくらいの内容やタッチで終わるものなのですが、今回の「鉄道ジャーナル」では、いつもどおりのポジティブな評価がすんなりとはできない、それくらい目を覆いたくなる記事がありましたので、そちらにも触れないわけにはいきません。

こちらについては、改めてのブログ記事でご紹介したいと思いますので、ひとまず「特集」記事のご紹介は以上とし、続きは改めてブログにアップする「(下)」記事でご紹介したいと思います。




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鉄道ダイヤ情報2024年7月号【特集】南海電気鉄道を読む

今月21日に発売された鉄道雑誌では、関西地区の鉄道を取り上げた特集が多かったので、都合3種類(鉄道ダイヤ情報、鉄道ジャーナル、鉄道ピクトリアル)を購入しました。
これだけまとめて購入したのは、久々だったと思います。
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ボリュームも相当ありますので、読み終わった順にご紹介していきたいと思います。

まずは「鉄道ダイヤ情報」。
今月の特集は我が地元、「南海電気鉄道」です。
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鉄道ダイヤ情報は、「乗るたのしみ・撮るたのしみ応援マガジン」のキャッチフレーズ(同書表紙より引用)と、いわゆる「撮り鉄」向けの要素が強い雑誌で、一昔前までは車両メーカーから鉄道事業者へ新製車両を輸送する「甲種車両輸送」の予定を掲載していたのは、記憶に新しいところです。
(参考)



今回の南海電鉄の特集でも、撮影に役立つ情報として、同社の車両ダイジェストガイドで、泉北高速鉄道を含めた車両をカバーしていますが、それ以上に読み物としての中身も充実しているな、と感じたのが、今号特集を読み通して抱いた感想です。

伊原薫氏による南海線の概説と加太線の歴史の詳説、栗原景氏による高野線の概説と、同線を通しで運転する「大運転」急行列車の乗車記など、沿線ファンは勿論、日頃南海電鉄に馴染みのないファンにとっても、両線の魅力が分かる構成となっています。


そして、当ブログで特に推したいのが、土屋武之氏による「泉北高速鉄道とは、どんな鉄道か」
当ブログの読者にとっては、南海電鉄と泉北高速鉄道とのつながりは、十分理解いただけていると思うのですが、関西地区外のファンにとっては、金色の「泉北ライナー」では知ってはいるものの、それ以上に深く認知されているのか、とも言えないとも限らない「泉北高速鉄道」。

この特集記事では、わずか4ページではありますが、泉北高速鉄道の歴史や現行車両の紹介、そして現行ダイヤにおける種別の解説と、限られた紙幅で、泉北高速鉄道の概要をコンパクトにまとめられています。

下記記事でご紹介したように、この泉北高速鉄道は、2025年度の早期に南海電鉄との経営統合が予定されており、「泉北高速鉄道」としての社名は消滅することが予定されています。
(参考)


今回の特集は、もしかすると「泉北高速鉄道」という社名が特集のタイトルとして飾るのが最後かも知れません。
そういう意味でも、泉北高速鉄道ファンにとっても是非購入して残しておきたい一冊でありましょう。



冒頭に記したように、この「鉄道ダイヤ情報」は、いわゆる「撮り鉄」をメインターゲットとした雑誌といえますが、今回の特集で掲載されている写真も、ファンが難なく撮影できる場所から撮影したものを掲載しているのにも、気がつきました。

どんな場所から撮影しているかは、是非本書を手に取って確かめていただければと思うのですが、当ブログでも過去に紹介した撮影地の写真も少なからず見つけることができました。

「あ、ここで撮影したことあるわ!!」とページをめくりながら頷いたり、一方で「こんな所でもこんな構図で撮影できるんや!」と、今後のブログ素材の撮影でも活用できる、有意義な一冊であると感じました。

鉄道ダイヤ情報 2024年 07月号 [雑誌]
鉄道ダイヤ情報編集部
交通新聞社
2024-05-21



鉄道ダイヤ情報2024年7月号【南海電気鉄道】
鉄道ダイヤ情報2024年7月号【南海電気鉄道】



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「JTB私鉄時刻表 関西 東海2024」を購入する(2024.3.18)

「JTB時刻表」といえば、JRや民鉄だけでなく、バスや航空、船舶までもを網羅した、国内の公共交通機関を利用して旅行する上では欠かせない情報源の一つであります。

その「JTB時刻表」を発行する「JTBパブリッシング」では、この度関西・東海エリアの民鉄を網羅する「JTB私鉄時刻表 関西 東海2024」(以下、「JTB私鉄時刻表」といいます。)を発売しました。

20240318_201024




上述のX投稿のとおり、「JTB時刻表」のフォーマットで、東海3県(三重・愛知・岐阜)と関西2府4県の大手・中小各私鉄(民鉄)の時刻が、「JTB時刻表」と同じフォーマットで見られる時刻表となっています。

これだけでも、十分網羅性のある時刻表で、活用価値が高いものと感じますが、ページを開くと更に、その掲載情報の深さを感じることができましたので、注目点をご紹介したいと思います。



【大阪メトロ御堂筋線も「全列車掲載」】
img569
(JTB私鉄時刻表P458より引用)

上記引用画像は、Osaka Metro御堂筋線及び北大阪急行のページですが、ご覧のとおり「全列車掲載」となっています。

このJTB私鉄時刻表のスゴいところは、基本的に「全列車掲載」である点です。
大手民鉄は勿論、地下鉄(名古屋、京都、大阪、神戸)も全列車掲載です。
ですので、上記引用画像のとおり、ラッシュ時には2分間隔で運転している御堂筋線でも、当たり前のように全列車掲載となっています。
逆に全列車掲載ではない(日中は運転間隔のみ掲載)のは、豊橋鉄道東田本線と、阪堺電気鉄道上町線・阪堺線の、いずれも路面電車のみとなっています。

即ち、これら3線区以外は、全駅・全列車掲載となるわけですから、これだけでも、このJTB私鉄時刻表の情報量の多さを感じ取ることができるのではないのでしょうか。



【「ラピート」に「グリーン車」マーク?】
やはり地元が気になる、ということで、南海本線のページを開けてみます。
img570-2
(JTB私鉄時刻表P510より引用、赤枠は管理人による。)

上述のとおり全駅・全列車掲載であるのに加え、「列車番号」も掲載されているのは、ファンにとっても心強い情報です。
(列車番号については、上記Osaka Metro・北大阪急行のように、掲載の都合で省略されている場合もあります。)

そして気になるのが、上記引用画像中に赤枠で記した「グリーン車」のマーク。
勿論、「ラピート」にグリーン車が連結されているわけではありません。
JTB私鉄時刻表では、このグリーン車マークは、「特急料金などのほかに特別料金の必要な車両」と説明されています。
img572
(JTB私鉄時刻表巻頭P8より引用、赤枠は管理人による。)

なるほど、ラピートの「スーパーシート」には、特急料金の他に「特別車両料金」が必要なため、それを示す「グリーン車」マークが付けられている、というわけです。



【「ひのとり」「しまかぜ」にはグリーン車マークなし、「しまかぜ」には「ビュッフェ」マークが】
それならば、同様に「デラックスカー」「プレミアム車両」と、上級サービスも提供している近鉄特急でも、同様に「グリーン車」マークが見られるのではないか、と思いページをめくってみました。
img571-2
(JTB私鉄時刻表P248より引用)

こちらは逆に、「グリーン車」マークは無く、「全席指定」マークに「プレミアム車両・レギュラー車両連結」(ひのとり)、「展望車両・グループ席車両連結」(しまかぜ)と注釈が入っています。

この違いは果たして何なのか?気になるところですが、私自身の推測では、以下の経緯でこのような掲載方法になったのでは、と考えます。
・「ひのとり」の場合は「プレミアム車両」「レギュラー車両」ともに特別車両料金が必要。
・上記「特別料金の必要な車両」の定義からすれば、「ひのとり」充当列車は全席「グリーン車」マークが付くことになる。
・しかしそれだと、「ひのとり」と他の特急とで、座席設備に大幅な差が付くように見えてしまい、読者に誤解を生じさせる恐れがある。
・よって、近鉄のページでは、別途特別車両券が必要な列車であっても「グリーン車」マークは使わず、注釈等で、別途料金が必要な旨説明。
・その考え方を踏襲するため、「しまかぜ」も「グリーン車」マークではなく「全席指定」マークとなる。

南海・近鉄の両社の料金体系を考えるに、上述のような推理が成り立ちそうに感じましたが、どんなものでしょうか。


一方、「しまかぜ」には、コーヒーカップのマーク、即ち「ビュッフェ」のマークが付けられています。
これは、「しまかぜ」に連結されている「カフェ車両」のことを指しています。
車内で軽食を提供する車両として連結されている「カフェ車両」に、この「ビュッフェ」マークが付けられるのは、至極納得のいくところです。
一方で、同じく観光特急の「あをによし」「青の交響曲(シンフォニー)」にもカウンターでスイーツなどを提供していますが、ビュッフェマークは付いていません。
恐らく、これら2列車と「しまかぜ」とでは、提供される食事の違い(スイーツは軽食に入らない)で区分けされているのかな、とも感じました。



ともあれ、入手して一通りしか眺めていませんが、情報量の多さと表示のユニークさに、価値の高さと面白さを感じましたので、早速記事にしたためた次第です。

乗りつぶしや撮影、運用調査などなど、ファンにとって活用価値の高いこのJTB私鉄時刻表。
お値段は2,200円(税込)とやや張りますが、手元に置いておきたい一冊であると感じました。

JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK)
JTBパブリッシング
2024-03-18


JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK) [ JTB時刻表 編集部 ]
JTB私鉄時刻表 関西 東海2024 (JTBのMOOK) [ JTB時刻表 編集部 ]



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JTB時刻表2024年3月号を見る。北陸新幹線・金沢〜敦賀間開業や、京都丹後鉄道「KTR8500形」、JR北海道「快速エアポート」号数問題をみてみます

来る3月16日(土)にJRグループダイヤ改正が実施されます。
(参考)


このダイヤ改正内容を新幹線・特急列車だけでなく、快速・普通列車等まで掲載した時刻表が、先月下旬に発売されました。

私は、長年の習慣から毎回JTB時刻表を使用しており、今回も2024年3月号のJTB時刻表を購入しました。
20240225_143834


今回の改正内容は、既に当ブログでも紹介・解説していますが、時刻表として眺めてみて、改めて気になった点をご紹介したいと思います。



【北陸新幹線・サンダーバード・しらさぎ】
今回のダイヤ改正の一番の目玉である、北陸新幹線・金沢〜敦賀間の開業。
新幹線が延伸するだけでなく、大阪・名古屋〜金沢間の利用においても、「サンダーバード」「しらさぎ」と北陸新幹線との乗継が発生するため、これらを時刻表でどのように掲載していくのかが気になっていました。

実際どのように掲載されているのか。当該ページを引用してみます。
img561
(JTB時刻表2024年3月号より引用)

ご覧のとおり、東京〜敦賀の「北陸新幹線」、東京〜新潟の「上越新幹線」の下に、敦賀のりかえの特急列車として「サンダーバード」「しらさぎ」の時刻が掲載されています。
これにより、例えば大阪〜敦賀〜金沢・富山といった「つるぎ」乗継パターンだけでなく、大阪〜敦賀〜長野・東京方面の「かがやき」「はくたか」乗継パターンも一目で確認することができます。


【ハピラインふくい・IRいしかわ鉄道】
一方、北陸新幹線延伸に伴い、JR西日本・北陸本線が「IRいしかわ鉄道」「ハピラインふくい」に移管されます。
両社の時刻はこのように、敦賀〜福井〜金沢間で一体で掲載されています。
img562
(JTB時刻表2024年3月号より引用)

これにより、「IRいしかわ鉄道」の時刻表は、金沢を境に、この「ハピラインふくい」「あいの風とやま鉄道」「JR七尾線」の3箇所に分かれて掲載されることとなります。
(それぞれ、列車の行先が異なるので当然ではありますが。)



【京都丹後鉄道KTR8500形は「たんごリレー」で運用】
京都丹後鉄道がJR東海より昨年譲り受けた「キハ85系」。
京都丹後鉄道では、新たに「KTR8500形」という型式名称が付けられ、今後線内特急予備車として運用されることが発表されています。
(参考)


今後の運用開始が気になるところですが、JTB時刻表では特急列車の車両形式を掲載しており、京都丹後鉄道を運行する「はしだて」「たんごリレー」のページでも、車両形式が明記されていました。
img563
(JTB時刻表2024年3月号より引用)

右上を見ますと、「◎・・・京都丹後鉄道KTR8000系/KTR8500系」と表記されており、「◎」のついた列車(「たんごリレー」全列車)で、現在運用されているKTR8000形と共通で運用されることとなっています。

上述のとおり、KTR8500形はあくまで「特急予備車」として運用されるので、毎日見られるものではないことに注意が必要ですが、ともあれ3月16日ダイヤ改正以降にはKTR8500形が運行されることが確かであることは、大きな情報といえるでしょう。

(参考)
丹鉄「KTR8500形」の時刻表・運用まとめ|2024年3月改正版 - 鉄道プレス

(※)
ところで、JTB時刻表上では「KTR8500」となっていますが、京都丹後鉄道のWebサイト等では「KTR8500」と、表記にずれが見られます。
どちらが正しい表記なのかはさておき、本記事では車両そのものを指す場合は「形」、JTB時刻表記載内容に触れる場合は「系」と使い分けていますので、ご了承ください。




【JR北海道・快速「エアポート」号数問題はどう解決したか?】
札幌市内などからの新千歳空港アクセスとして運行されている、JR北海道の快速「エアポート」。
現在は1時間に5往復運転(日中時間帯等の最大本数)されていますが、今回の改正で一部時間帯のみの運行だった「特別快速」の運行時間帯拡大、また「区間快速」を新設(既存の普通列車からの置き換え)で1時間に6往復運転(同)することとなっています。

元よりJR北海道の儲け頭である「エアポート」、コロナ禍後回復しつづけるインバウンド需要に対応すべく、今回の増強となり、嬉しい限りであります。

ただ、この増発により、これまで発車時間帯と発車順により、規則的で分かりやすく表記されていた「エアポート」号数が、今回の増発により、その規則性が成立しなくなるという問題(ここでいう「号数問題」)が発生することになります。

具体的には、現在の「エアポート」の号数は、
・百の位、十の位:札幌駅及び新千歳空港の発車時間帯
・一の位:両駅発車する順番(新千歳空港発:1→3→5→7→9、札幌駅発:0→2→4→6→8の順番)
となっています。

ご覧のとおり、この表記ですと1時間に5本までしか対応できず、6本になった途端に破綻してしまうものであります。

昨年12月のダイヤ改正発表時でも、この「エアポート」の号数をどう記載するかは、特に言及が無かったことから、今回の時刻表発売まで明らかになっていませんでした。


そんなこともあり、今回JTB時刻表の当該ページを見てみることにしました。
img564
(JTB時刻表2024年3月号より引用)


ご覧のとおり、札幌→新千歳空港の初発は「10号」、次に何故か「14号」に飛んで、以降「16号」「18号」…と続きます。
新千歳空港→札幌についても、初発は「11号」、次は何故か「23号」に飛び、以降「25号」「27号」…と続きます。

ただ、この後も号数が飛んでいる時間帯もあるのが不思議なところです。

まとめますと、以下のとおりです。
【札幌→新千歳空港】
10号・(×12号)・14号〜98号・(×100号〜108号)・110号〜174号・(×176号)・178号・(×180号)・182号・(×184号)・186号

【新千歳空港→札幌】
11号・(×13号〜21号)・23号〜99号・(×101号〜109号)・111号〜195号

(注)「×」は欠番を指します。


こう眺めてみますと、10号台の一部と100号台、そして170〜180号台の偶数(札幌→新千歳空港)の一部でそれぞれ欠番が発生していることがわかります。

それぞれ欠番を設けている理由について、私なりに推測してみますと、
・10号台の欠番は、早朝時間帯の増発用に確保
(普通列車が多い時間帯ですが、今後「エアポート」を増発する際、後の列車の号数を変更しなくて済むための措置と思われます。)

・170〜180号台偶数の欠番は、深夜時間帯の新千歳空港方面への増発用に確保
(夜の空港方面の列車ですが、出発便の少ない時間帯のため「エアポート」の本数も少ないのですが、深夜出発の国際線等、今後深夜時間帯の空港アクセスが増加した際に対応するために確保しているものと思われます。)

・100号台の欠番は、理由不明
(更なる増発のために確保する空き号数なのかも知れません。)
といったことになるのではないか、と思われます。

ともあれ、今回のダイヤ改正で最後まで気になっていた、この快速「エアポート」号数問題。
蓋を開けてみれば、一部の欠番の理由が分からないところはあるものの、全体的に見ればオーソドックスかつ、今後の拡大にも備えた、現実的な対応ではないかと感じました。



ダイヤ改正実施まで、本日であと2週間となりました。
見られなくなる鉄道の風景を記録するのも大事ですが、改正後に見られる新しい鉄道の風景にワクワクできるのも、この時期の風物詩といえます。
改正ダイヤ実施までの間、更に時刻表を読み込み、新たな「楽しみ」が発見できればいいな、と思っています。



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【こみっくトレジャー43】戦利品紹介(8)「在りし日をたずねて〜ダイエー店舗の現在〜」阪神・摂津、兵庫県コンプリート編

先日(2024年1月14日)に開催された同人誌頒布イベント「こみっくトレジャー43」で入手した同人誌(戦利品)のご紹介ですが、ようやく今回の記事で最後となります。
長らくのおつきあい、ありがとうございました。

最後となる8本目の記事を飾るのは、サークル「不安定の安定」さんの、「ダイエー本」2冊です。
20240114_180820_R




今回購入したのは、阪神エリアと、その他兵庫県内の「ダイエー」店舗のあった(ある)場所の過去と現在を、対比させた記録が中心となっています。

掲載されている店舗の中には、既に閉鎖されて全く違う建物となっている店舗、ダイエー時代の建物はそのままでありながら、他のスーパーなどが入っている店舗、一方で現在も引き続き「ダイエー」「グルメシティ」など、引き続きダイエーとして営業している店舗など、現在の状況も様々、となっていました。

ただ、ダイエー閉店後の店舗でも、ほとんどがマンションや別の小売店など、何かしらの形で引き続き活用されているのは、やはり場所の良いところを選んで出店していたのだな、と感じた次第です。

また、ダイエー創業者の中内功CEOが設立した「流通科学大学」の中でも、中内CEOにまつわる展示館についての紹介もあり、何らかの形で「ダイエー」に関わった方にとっては、手にする価値のある同人誌に感じました。

このダイエーの店舗の過去と現在を取り上げたシリーズ、大阪府北部・兵庫県エリアを中心に発行されてきました。
個人的には、かつてアルバイトしていた店舗ある、大阪南部エリアの発行も期待したいところですので、今後発行されることを期待して、引き続き応援していきたいと思います。


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【こみっくトレジャー43】戦利品紹介(7)「薄いカードの薄い本」2022・2023夏増刊号

先日(2024年1月14日)に開催された同人誌頒布イベント「こみっくトレジャー43」で入手した同人誌(戦利品)のご紹介、この記事で7本目となります。

この記事でご紹介するのは、こちらの同人誌です。
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クレジットカード関連の同人誌を出されている「湊町メディアシステム」さんの本です。

今回入手した2冊は、「2022」(2022年12月)と「2023夏増刊号」(2023年8月)でした。

湊町メディアシステムさんの同人誌は、過去のこみトレ(2019年9月の「こみトレ34」)で入手して以来で、その後コロナ禍もあり、私のこみトレ参加時に入手することができず、今回久々に手にすることができました。

「2022」では、VISAなどのタッチ決済での乗車や、著者自身が遭遇した不正利用未遂事件について、紹介されています。
特に「タッチ決済での乗車サービス」は、このブログでもサービスの拡大等があれば随時ご紹介していますが、あくまで鉄道サービス側から見たご紹介でしたが、本書ではタッチ決済サービスでの乗車に利用履歴の反映タイミングなど、あくまで「クレジットカードの研究」とう視点からまとめられている点が、新鮮に感じました。

また「2023夏増刊号」では、ANAの「トクたびマイル」(通常より少ないマイル数でANA国内線得点航空券が利用可能なキャンペーン。対象路線は毎週変わる)で沖縄までの旅行記をまとめられています。
こちらもまた、ただの旅行記ではなく、「クレジットカード研究」という視点から、現地でのキャッシュレス決済や、「プライオリティ・パス」の利用などについて取り上げられています。

いずれも、クレジットカード研究、そして直近のクレジットカード界隈の情報を確かめるにはもってこいの内容となっていました。

当ブログで扱っている交通系でも、交通系ICカードや上述のタッチ決済サービスのように、クレジットカードなどとの連携が進んでいる事例が増えてきています。
このクレジットカード業界についても、状況がどんどん変化していますので、引き続き「湊町メディアシステム」さんの同人誌を入手して、最新の情報をアップデートしていきたいな、と感じています。



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【こみっくトレジャー43】戦利品紹介(6)「オーストリア昼行長距離列車図鑑2024」

先日(2024年1月14日)に開催された同人誌頒布イベント「こみっくトレジャー43」で入手した同人誌(戦利品)のご紹介ですが、この記事で6本目となります。

結構購入していたものですね…

今回ご紹介するのは、サークル「オーストリア鉄道ラボ」さんの「オーストリア昼行長距離列車図鑑2024」です。

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専ら国内の鉄道などの公共交通を中心とした話題に終始している当ブログ「阪和線の沿線から」。
管理人自身も、海外へ渡航したのは、大学卒業間際の卒業旅行だけで、その後は海外に一歩も出ていない、という人生を歩んでおります。

だからと言って海外に全く興味が無いのか、というとそういう訳でもなく、同人誌でも海外の鉄道を取り上げているものは入手してみたいな、とは以前から思っていました。

この日も鉄道系のサークルを覗いていたところ、この「オーストリア鉄道ラボ」というサークルに遭遇し、見本誌を見させていただいたところ、綺麗な写真と、オーストリアの列車を種別ごとに分かりやすく説明しているので、「これは是非入手しよう!」ということで、戦利品として購入することにしました。


取り上げているのは、タイトル通り「オーストリアの昼行長距離列車」ですが、隣国と地続きであるが故に、掲載されている列車もオーストリアで完結する系統は勿論、ドイツ、スイス、チェコ、ハンガリーなど、色々な国への国際列車も掲載されているのが、やはりヨーロッパの鉄道、ということに感心しました。

掲載されている種別も、最上位の「Railjet Xpress」(レールジェットエクスプレス)を筆頭に、国内線「Railjet」、ドイツから乗り入れの「ICE」、各国へ向かう「EC」等々、オーストリアを走り抜ける各種の列車が、それこそ図鑑として眺めることのできる本となっています。


実際にオーストリアを旅行する際に大いに役に立つのは勿論、その予定が無くとも、眺めているだけでもとても楽しい、そんな同人誌でありました。


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