記者会見の内容は、和歌山県内の地域メディアを中心とした各社に取り上げられていますので、下記にてご紹介します。
JR西日本 特急くろしお増便実証実験“利用増につながらず” | NHKニュース
紀勢線 様々な利用促進策実施へ│WTVニュース│テレビ和歌山
JR西日本・紀勢線の白浜〜新宮間利用増厳しい状況「この夏が勝負」/和歌山 | WBS和歌山放送ニュース
利用促進「勝負の夏」 オーシャンアロー30周年で誘客、JR紀勢線:紀伊民報AGARA|和歌山県のニュースサイト
近畿最大の赤字路線で利用者増に向けた実証実験 特急「くろしお」増便は厳しい結果に…一日あたりの乗車人数目標を1000人あまりに設定も最多の月で平均約570人 JR西日本(MBSニュース) - Yahoo!ニュース
【速報】特急「くろしお」増便で利用者増を狙った実証実験「効果みられず」新宮―白浜間の輸送密度 1987年の4分の1まで落ち込む(関西テレビ) - Yahoo!ニュース
各社の報道から、富澤支社長の会見内容を要約すると、以下のとおりとなりそうです。
【特急「くろしお」増便実証実験の結果】
・2025年11月〜2026年4月の特急「くろしお」1日平均乗車人数は475人と、目標(1,040人)の半分以下。
・これまでで最も利用の多かった2026年4月でも、568人と、本数増加に見合う利用者増に結びついていない。
・増便実証実験は今年度(2026年度)が期限であるため、この夏が勝負の時で、夏のハイシーズンに向けて利用者数の増加に力を入れる。
・富澤支社長は、「実証実験の結果は危機的な状況と受け止めている」「我々(特急「くろしお」)が選ばれていないとの危機感がある」と、厳しい状況と受け止めている。
【利用促進策】
・この夏の利用促進策として、283系「オーシャンアロー」デビュー30周年を記念した誘客策などの利用促進策に取り組む。
・「オーシャンアロー」30周年以外にも、観光特急「WEST EXPRESS 銀河」紀南コースや、JAL(日本航空)との連携、特急「くろしお」乗り放題特急券の販売といった、様々な利用促進策を畳みかけるように取り組んでいく。
【上下分離について】
・JR北海道が採算性の低い路線の維持策として、沿線の自治体が線路や施設の維持管理を担う上下分離方式の導入を提案したが、富澤支社長は、「JR西日本としては今のところ何も考えていない。弊社だけで決められることではない」と述べた。
富澤支社長の会見の内容について、報道記事を元に、上記のとおりまとめてみました。
会見内容からは、一言で言えば、利用促進の目標に対して厳しい状況が続いている実態が続いている、その一点に尽きるでしょう。
この利用促進目標の数値の考え方については、輸送密度2,000人/日に近い、2007年度の数値を元に設定しているとのことです。
少なくともこの数値を維持できなければ、鉄道として同社単独での維持が困難という理由から設定された、といえるでしょう。
(参考)
(引用元:紀勢本線活性化促進協議会新宮白浜区間部会 プレスリリース(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250821_00_press_Kiline_riyousokushin.pdf))
そう考えると、現在の利用状況が続くのであれば、そもそもJR西日本単独で維持していくのが難しいので、他の方法(上下分離等)を取るか、あるいは鉄道からバス等への転換を選ぶことになるのか、ということにもなりそうです。
その上下分離に関しては、富澤支社長は「JR西日本としては何も考えていない」としており、即座に別の形を用意しているのでは無さそうです。
ただ、「弊社(JR西日本)だけで決められることではない」ともしていることから、沿線自治体等とで今後の新宮白浜間のあり方を考えていくことも考えられるかも知れません。
この新宮白浜間については、特急列車が5〜6往復運行されていることからも分かるように、沿線住民だけでなく観光客も一定の利用者が存在している線区であります。
そういう意味では、沿線住民の生活に加えて観光、しかもそれは各市町村の独立した観光スポットだけでなく、各スポットを結ぶ周遊観光の手段としても、この新宮白浜間を機能させる必要があるといえるでしょう。
そうなれば、単に地域の移動を支えるだけでなく、広域観光の誘客という観点から、市町村だけでなく県としても必要な交通手段として維持していくことが求められてくるのかな、と感じています。
実際、今回の増便実証実験を実施してる「紀勢本線活性化促進協議会 新宮白浜区間部会」には、沿線市町村だけでなく和歌山県も入っていて、増便以外にも様々な利用促進の取組を実施してきたことは、これまでも当ブログでご紹介してきたとおりです。
(参考)
そのような経緯や状況も鑑みれば、今年度で終わることが予定されている増便実証実験の後のあり方についても、市町村だけでなく県も交えた議論もあり得るのではないのかな、とも思ったりしました。
この夏には、上述のとおり「オーシャンアロー」30周年をはじめとした、これまでにない利用促進を、それこそ畳みかけるように実施していくこととしています。
(参考)
これらの利用促進でどの程度利用者が上積みされ、目標とする利用者数に対し、どの程度の結果を残せるか、そしてその結果、今後の新宮白浜間をどのようにしていくのか。
和歌山県内では、この紀勢本線・新宮白浜間だけでなく、「和歌山電鐵貴志川線」や「南海フェリー」、そして「紀州鉄道」と、いくつもの公共交通機関が存廃の岐路に向き合ってきました。
(参考)
貴志川線は完全上下分離に合意、南海フェリーは2年後の撤退、そして紀州鉄道は譲渡事業者の決定と、それぞれの方向性が見えてきたいま、残るはこのJR紀勢本線・新宮白浜間の行く末、となりそうです。
数年後、この線区の方向性がどのような姿となっているのか、引き続き注目しつつ、まずは今は、JR西日本が中心となって取り組んでいる利用促進策により、一人でも多くの方が特急「くろしお」を利用するようになってほしいな、と感じた会見でありました。
▲JR紀勢本線(きのくに線)日置川橋梁(周参見〜紀伊日置間)を通過する283系「オーシャンアロー」。
▲新宮駅に停車中の283系「オーシャンアロー」。
283系「オーシャンアロー」については、この7月31日でデビュー30周年を迎えます。
既に記念イベントの発表もありましたが、これらのイベントが利用者の獲得に結びつくことを願っています。
▲日置川橋梁を通過する287系「パンダくろしお」。
アドベンチャーワールド(白浜町)からはパンダはいなくなりましたが、「パンダくろしお」については、引き続き運行しています。
地元住民の利用だけでなく、観光客の利用も大きなウエイトを占めると考えられる、この新宮白浜間ですが、より一層の観光利用が求められるだけに、交通分野だけでなく観光振興の面でも利用促進に大いに取り組む必要があるのではないか、とも考えられます。




















































