阪和線の沿線から

阪和線沿線に住まう管理人による、鉄道やバスなどのブログ。

鉄道(関西地区事業者)

【JR西日本グループ】串本町から小型ロケットを発射する「スペースワン」と資本業務提携を締結。紀勢線・新宮〜白浜間の活性化にも期待

JR西日本のグループ会社である「株式会社JR西日本イノベーションズ」は、小型人工衛星打上げに特化した宇宙輸送サービスの実現に取り組む「スペースワン株式会社」に出資し、資本業務提携を行ったことを発表しました。

スペースワン株式会社との資本業務提携について 宇宙輸送サービスを通じた、JR西日本グループとの新たな価値創造を目指します :JR西日本

概要は以下のとおりです。

【背景】
・JR西日本グループは、「私たちの志」と「長期ビジョン 2032」を掲げ、その実現に向けて、様々なパートナーと共に新たな挑戦を続け、イノベーションを推進している。
・また、スペースワンは、和歌山県串本町に位置する専用のロケット打上げ射場「スペースポート紀伊」から、2020年代中に年間20機、2030年代に30機の小型ロケット「カイロス」を打上げる宇宙輸送サービスの実現を目指している

【効果】
・今回の提携では、宇宙輸送サービスが地域の内外にもたらす価値を創出・共有し、地域課題の解決に貢献するとともに、JR 西日本グループの多様な事業との協業を推進し、新たな価値創造を目指す。


詳細は、上記発表資料をご覧ください。



和歌山県串本町では、「スペースワン」社がロケット発射場を建設し、小型ロケットの打ち上げに取り組んでいます。

これまで二機のロケットを発射しましたが、一機目は打ち上げ直後に自立破壊による爆発で失敗、二度目は最初の打ち上げは順調に進んだものの、その後のミッション達成困難と判断されたことから、こちらも失敗となりました。


同社では今後、原因を究明し三度目の発射に挑戦しているところで、今度は無事に成功を願いたいところですが、一方でこの小型ロケットについては需要も大きく、打ち上げ成功による今後の産業の発展に期待も寄せられています。

一方、発射場のある串本町には、JR西日本・紀勢本線(きのくに線)が走っており、発射場への見学客輸送において、臨時列車を運行するなどの協力体制が構築されているのは、このブログでも打ち上げの度にご紹介してきたところです。
(参考)


JR西日本にとってしても、今後のきのくに線の利用促進にも繋がるこのスペースワン社のロケットですが、今回JR西日本のグループ会社とスペースワン社が資本業務提携を行うこととなり、その繋がりはより強固なものになることが期待できます。

当座は、ロケットの着実な打ち上げをサポートする資金面の支援が中心となりそうですが、順調に打ち上げが進めば、人口減少が進む和歌山県南部・紀南地方の地域活性化、そして利用者の減少に苦しむJR紀勢本線・新宮〜白浜間の利用促進にもつながっていくのではないかと思います。

下記の紀伊民報の記事によりますと、地元・和歌山県の岸本知事は、小型ロケットの打ち上げについて、「2030年代に年間30回打ち上げられることを念頭に、紀南に組立工場を誘致したい」とした一方、「人材確保に課題があるとして『紀南に工業高校をつくる。1学年40人くらいからスタートし、全寮制にして全国から呼ぶ』という構想」を示しています。
(カッコ内は下記記事より引用)
(参考)
紀南に全寮制工業高校を 宇宙産業の人材を育成、和歌山県知事:紀伊民報AGARA|和歌山県のニュースサイト

今後、ロケット関連産業の集積が進めば、人口減少に苦しむ紀南地方の自治体にとっては、一筋では済まないくらいの明るさの光明となることから、是非とも産業や住民の集積に期待したいところであります。
加えて、その集積により紀勢本線・新宮〜白浜間の利用が増えることで、本線区が持続していくことになれば、鉄道ファンにとっても喜ばしいことといえます。

今回の資本業務提携が、その第一歩となることに期待し、今後も引き続き注目していきたいと思ったニュースでありました。

20240409_184858 (2)_R
▲特急「くろしお」カイロス号。
289系「くろしお」の先頭車に、発射場地元の串本町及び那智勝浦町の「カイロス」のロゴがラッピングされています。
今回の資本業務提携により、JR西日本グループとスペースワンとの連携がより強固になることが見込まれ、その連携が紀勢線・新宮〜白浜間の利用促進に繋がることが期待できます。

【JR西日本】奈良線・京都〜奈良間に特急「いにしへ」運行を発表。「まほろば」は1往復増発

JR西日本では本日、今年春の臨時列車運行概要を発表しました。
2025年【 春 】の臨時列車の運転について 【 2025年3月1日(土)〜 2025年6月30日(月):122日間 】 :JR西日本

この中で、奈良方面への観光客向けの臨時列車として、特急「いにしへ」(京都〜奈良)及び「まほろば91号・92号」(大阪・新大阪〜奈良)を運行することを発表しました。

概要は以下の通りです。

【特急「いにしへ」】
・運転時刻:
京都9:41発⇒宇治9:57着⇒奈良10:36着
奈良16:14発⇒宇治16:45着⇒京都17:03着


・運転日:
4月19日(土)、4月20日(日)、5月17日(土)、5月18日(日)

・使用車両:
289系3両編成(全車指定席)

・その他
運行当日は、車内での記念乗車証配布をはじめとしたおもてなしを実施

【特急「まほろば」】
・運転時刻:
(大阪→奈良方面)
<まほろば>大阪9:58発⇒新大阪10:04⇒奈良10:57着
<まほろば92号>大阪14:15発⇒新大阪14:21⇒奈良15:12着(※臨時列車)
(奈良→大阪方面)
<まほろば91号>奈良12:21発⇒新大阪13:10着⇒大阪13:15着(※臨時列車)
<まほろば>奈良16:21発⇒新大阪17:10着⇒大阪17:15着

・臨時列車「まほろば91号・92号」運転日:
3月15日(土)〜10月13日(月・祝)の土休日

・使用車両:
3月30日まで・・・287系3両編成
4月5日以降・・・683系3両 リニューアル車両

詳細は、上記発表資料をご覧ください。




冒頭で述べたように、本日JR西日本をはじめとしたJRグループの春の臨時列車が発表されました。
この中で特に目を惹くのは、奈良方面への特急列車の充実ぶりでしょうか。

既に下記参考記事でご紹介したように、特急「まほろば」についてはリニューアルした専用車両が投入されることが発表されています。
(参考)


今回の臨時列車発表では、「まほろば」を1往復追加運転することに加え、新たに奈良線(京都〜奈良)に特急「いにしへ」を運行することが発表されました。

JR奈良線に特急列車が運行されるのは、かつて京都〜奈良〜(阪和貨物線)〜和歌山〜白浜を結んだ臨時特急列車「ふれ愛紀州路」「しらはま」以来、実に35年ぶりで、発表直後から早速大きな話題となっています。

今回の発表では、4月・5月の計4日間のみの運転となりますが、訪日外国人旅行者や大阪・関西万博のついでに関西旅行を楽しまれる方にとっては、新たな着席サービスでもあることから、どの程度の利用が付くか楽しみとも思えます。


一方、大阪・新大阪〜奈良の「まほろば」についても、先の発表で定期化されたのみならず、今回の発表では1往復臨時列車として増発されることとなりました。
長らく大阪・新大阪発が午前、奈良発が夕方の1往復、という運行体系が維持されてきましたが、今回初めて増発されることとなりました。
それほどまでに「まほろば」が定着してきたのか、と思うと感慨深いものがありますし、同時に専用車両が投入されるのも納得にも感じました。


先月発表された今年3月のダイヤ改正では、奈良線の快速列車全列車に「うれしート」が設定されることとなっています。
(参考)


かように、この春は奈良に向かう特急・快速列車の有料着席サービスの話題で持ちきりですので、実際にこれらの列車に乗車してみて、その様子をご紹介できればいいな、と感じたニュースでありました。

DSC03694-2_R
▲特急「くろしお」で多客期の増結に使用される289系3両編成(先頭からの3両)
今回、奈良線の特急「いにしへ」に充当されることとなりました。




【関連ブログ】
奈良線に35年ぶりの特急「いにしへ」爆誕 | 鉄道プレス

【JR西日本】「WEST EXPRESS 銀河」今年の「紀南コース」は8月〜10月で運行

JR西日本では、2025年大阪・関西万博の開催で、万博訪問をきっかけに万博エリア外への周遊もプラスするための「プラスワントリップ」の専用サイトを開設するとともに、観光列車「はなあかり」「WEST EXPRESS 銀河」の運行予定を発表しました。

せっかく万博に行くなら万博に「+1(ワン)」を添えてみませんか!? 〜 プラスワントリップ専用サイトを開設します! 〜 :JR西日本

概要は以下のとおりです。

【特急・観光列車の運行予定】
●「はなあかり」
2025年4月〜6月:
大阪〜倉敷・福山・尾道

2025年7月〜9月:
大阪〜敦賀

●「WEST EXPRESS 銀河」
2025年3月〜5月:
山陰コース(京都〜出雲市)

2025年6月〜8月:
山陽コース(京都〜下関)

2025年8月〜10月:
紀南コース(京都〜新宮)


【イメージ】
2025011621-23-552
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250115_00_press_plusonetrip_1.pdf)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



2021年7月から、毎シーズン運転されてきた「WEST EXPRESS 銀河」紀南コース。

すっかりお馴染みとなったこの紀南コース、今年の運行予定が気になるところですが、大阪・関西万博が開催される2025年は、より多くの方々が大阪に来られることから、これら来場者の周遊促進という観点で、今回秋頃までの運転計画が一気に発表されました。

「紀南コース」の運行予定は8月から10月と、万博開催機関の終盤となっています。
万博の来場者数の動向として、後半になればなるほど来場者が増えるようですので、そういった多くの方々が、紀南方面へ少しでも多く、特急「くろしお」を含むJRきのくに線を利用して訪問していただければ、嬉しい限りです。


一方、「はなあかり」については、4月〜6月は尾道へ、7月〜9月は敦賀へ運行されます。
特に「敦賀」は、「はなあかり」デビュー時以来の設定となりますが、今回は逆に敦賀が目的地となることから、万博来場と北陸新幹線、そして「はなあかり」をセットとして、首都圏からの誘客を目指しているようにも感じました。

「はなあかり」については、キハ189系気動車であることから、非電化区間でも運行できる機動性が強みと思われます。
今後、これまでに無いルートの開拓もあり得ることから、今後も興味を持って情報をご紹介できればと思っています。

20231122_183414
▲和歌山駅に停車中の「WEST EXPRESS 銀河」。
今年の紀南コースは、8月〜10月に運行されることが発表されました。

【京阪電鉄】2025年3月22日(土)京阪線ダイヤ改正。12分間隔に増発の他、万博期間中には中之島線直通の「特急」等を増発

京阪電鉄では、2025年3月22日(土)に京阪線のダイヤ改正を実施することを発表しました。

2025年3月22日(土)初発から京阪線のダイヤを変更します|京阪電鉄

概要は以下のとおりです。

【概要】
・昼間時間帯の運転パターンを15分間隔⇒約12分間隔に変更
・淀屋橋・中之島〜萱島間の「普通」や朝夕ラッシュ時の「区間急行」を4両編成で運転
・京都方面での大学生の通学時間帯における混雑緩和を目的に、出町柳発着の列車を増発
大阪・関西万博期間中に中之島駅発着の「特急」「快速急行」を設定

【変更日】
土休日ダイヤ:2025年3月22日(土)初発から
平日ダイヤ:2025年3月24日(月)初発から

【変更内容詳細】
●平日ダイヤ:
・昼間時間帯:
10〜14時台の運転パターンを約12分間隔の運転

・朝ラッシュ時間帯:
7〜8時台下り(大阪方面行き)の「区間急行」「普通」を5本増発
守口市駅(淀屋橋・中之島方面)の急行・準急の停車時間帯を拡大
京都方面での大学生の通学時間帯における混雑緩和のため、8時台に淀屋橋発出町柳行き「快速急行」と樟葉発出町柳行き「普通」を各1本増発

・夕ラッシュ時間帯:
17時〜18時台の上りで「区間急行」「普通」計5本増発
京都方面での大学生の帰宅時間帯における「特急」混雑緩和のため、出町柳発「快速急行」1本増発、出町柳発「急行」の運転区間延長(淀行き→淀屋橋行き)、枚方市発16時〜17時台「準急」3本を「快速急行」に変更

・大阪・関西万博対応:
中之島駅発着の「特急」「快速急行」計7本を臨時運転

●土休日ダイヤ
平日ダイヤに準じて、昼間時間帯の運転パターンを約12分間隔に増発

大阪・関西万博の利便性向上のため、中之島駅発着(一部淀屋橋駅発)の「特急」「快速急行」を計12本臨時運転


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



京阪電鉄では、2021年9月に列車の大幅な削減を含むダイヤ改正を実施しました。
(参考)


それまで1時間当たり6本の運転だった各種別の列車本数が、この時のダイヤ改正で4本(15分間隔)に削減されました。
コロナ禍の最中ではあったものの、それ以前にも続いていた利用者の長期的な減少もあいまって、このような減量ダイヤ改正が実施されたと思われます。

これだけの減便となりましたので、需要が縮減したコロナ禍ではそれなりに輸送力の適正化が達成できたのかも知れませんが、コロナ禍後、利用者が回復基調になる中では、逆に混雑が激しくなり、SNS上でも利用者から混雑緩和を唱える声が聞こえるようになりました。

一方で京阪電鉄では、2025年10月に運賃改定(値上げ)を実施するべく申請を行っています。
(参考)

値上げの理由として、「輸送人員の減少」「自然災害、カーボンニュートラル等の社会課題への対応」「物価高騰の経費増加、人材確保に向けた待遇・職場会前への対応」へ対応するためとしていますが、一方で上述の減便により露呈してきた混雑への対応も、一定程度行わないと利用者の納得を得るのは難しいのではないか、という旨の意見も、当ブログ述べたところです。

コロナ禍後の利用者の回復により、京阪本線では混雑が表面化しているケースもあることから、これらへの対応も一定程度行われることも、値上げによる利用者の納得感を得るためには、必要な取り組みになってくるかも知れません。
(上記記事(上記発表資料(https://hanwa0724.livedoor.blog/archives/52305477.html)より引用)


そんな中、今後の京阪電鉄のダイヤ改正がいつ、どのような内容で実施されるのかを、運賃値上げと相まって注目していたところですが、意外に早く、来年3月22日(土)に開成が実施されることとなりました。

改正のポイントとしては、日中時間帯の列車間隔の短縮(15分⇒約12分)による増発が主体となっています。
一方で、「快速急行」を「特急」に統合するなど、全体の本数は大きく増加するわけでもなく、このあたりはシビアな計算が行われるとも感じました。


加えて、淀屋橋・中之島〜萱島の昼間の列車を中心に4両編成を主体とした運転とし、ラッシュ時間帯にもこの4両編成の列車が運行されることとなっています。

現在、京阪電鉄で4両編成が可能な車両は10000系と13000系ですが、上記の運賃値上げの記事でも、「13000系の追加投入」「京阪本線・中之島線一部区間でのワンマン運転実施」が述べられていることから考えると、今秋に予定されているワンマン運転に向けた準備も同時に実施する改正、といえるかも知れません。

以前の当ブログ記事では、「運賃改定を予定している2025年秋に、同時にダイヤ改正が実施される」のではないか、と予想していましたが、どうやらこの3月の改正でワンマン運転に対応したダイヤとした上で、今秋までにワンマン運転に向けた設備の準備や習熟等の準備をしていく流れになるのではないか、ともいえます。

ともあれ、全体的な需要が減る一方、部分的には輸送力の拡充が必要なこともあり、なかなか理想型のダイヤが組めずに模索している様子が見えなくもない京阪のダイヤ改正ですが、今回の改正で、コロナ禍後から課題となっている混雑の緩和が解消されるようになればいいな、と感じたニュースでありました。

DSC09032-2_R
▲京阪本線の3000系快速急行。
現在日中時間帯に1時間当たり2本設定されている「快速急行」ですが、今回のダイヤ改正で特急に統合され、同時間帯の運転は取り止めとなります。
一方で、大学生の通学時間帯における混雑緩和のため、朝及び夕方に「快速急行」が増発されます。


【JR西日本】名古屋〜伊賀上野間で実証列車運行(2025.2.16・22)JR東海キハ75形が19年ぶりに伊賀上野へ

関西本線の亀山〜加茂間の活性化利用促進に取り組んでいる「関西本線活性化利用促進三重県会議」では、同線沿線地域外からの観光を目的とした移動の潜在需要の取り組みに関する検証を行うため、名古屋と伊賀上野を乗り換えなしで結ぶ「実証列車」の運行を決定したことを発表しました。

大都市と沿線地域(名古屋駅−伊賀上野駅間)を結ぶ実証列車を運行します:JR西日本

概要は以下のとおりです。

【運転日】
2025年2月16日(日)、22日(土)
両日ともに1往復運行

【ダイヤ】
名古屋8:51発⇒関10:09着⇒伊賀上野10:45着
伊賀上野15:34発⇒関16:18発⇒名古屋17:44着

【使用車両】
キハ75形 2両編成(JR東海所属)

【旅行商品】
・A.フリープラン:
名古屋〜伊賀上野:7,900円、名古屋〜関:7,600円
・B.ガイドが案内する関宿歴史刊行プラン:
8,400円
・C.伊賀牛グルメ満喫プラン:
19,800円
・D.伊賀鉄道車庫見学プラン:
13,800円

【旅行商品の販売期間】
第1次(抽選):
1月10日(金)13時〜1月16日(木)17時
(1月17日当選発表)
第2次(先着順):
1月22日(水)15時〜2月3日(月)17時
(第1次申込の抽選後に空席が生じたプランの残席を受付)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



JR西日本の関西本線・亀山〜加茂間は、現在キハ120形が運行するローカル線ですが、かつては名古屋から大阪方面への在来線ルートの一つとして優等列車が運行されていました。

民営化後も、急行「かすが」として名古屋〜奈良間で運行されていたこの区間の優等列車も、2006年3月のダイヤ改正で廃止となりました。
(参考)


一方、この区間では従前より少なかった利用者が更に減少しており、2023年度の平均通過人員(輸送密度)は942人/日と、大量輸送としう鉄道としての特性が十分に発揮できていない状況にあります。

これを受けて沿線地元の自治体を中心に「関西本線活性化利用促進三重県会議」という会議を設置し、線区の活性化や利用促進に取り組んでいます。

今回この利用促進会議が、沿線地域外の大都市からの潜在需要の取り込みについての検証を行うことを目的に、名古屋と伊賀上野を結ぶ直通列車の運行を実施することとなりました。

この直通列車に充当される車両は、何とJR東海のキハ75形であります。
かつて、急行「かすが」として運用されていたキハ75形が19年ぶりに亀山以西の関西本線に再び足を踏み入れることとなります。

団体列車としての運行ですので、乗車にはツアーの参加が必要となり、往復のみのプランの他、関や伊賀上野で観光等が楽しめるプランが用意されています。
鉄道ファン向けには特に、伊賀鉄道の車庫が見学できるプランも用意されており、今となっては貴重な、名古屋〜伊賀上野の直通乗車と併せて楽しむことができるのではないのでしょうか。

久々にJR西日本エリアの線区に踏み入れるキハ75形。
ダイヤも公開されていることから、運行当日は多くのファンが沿線に集まるのではないかと思われますが、あくまで運行の目的は「利用促進に向けての潜在需要取り込み」。
この直通列車以外の列車の利用も増えるよう、現地の見学には関西本線の列車を利用する等、ファンとしても沿線地域の取り組みへの応援を、「行動」という形で示していきたいところですね。

P8314206_R
▲鳥羽駅に停車中のJR東海キハ75形。
現在は専ら快速「みえ」に充当されていますが、今回団体臨時列車としてJR西日本エリアに久々に乗り入れることとなります。


CIMG4804_R
▲伊賀鉄道の車庫(2014年伊賀鉄道まつりで撮影)
今回の団体列車のプランには、こちらの車庫見学プランも用意されています。

【JR西日本】QRチケットサービス開始(2025.1.19〜)2028年以降順次磁気きっぷをQR乗車券に移行

JR西日本では、2024年下期以降に「QRチケットサービス」を導入することを発表していました。
(参考)


今回、このQRチケットサービスのサービス詳細とともに、関西地区の各鉄道事業者と協働によるQR対応企画乗車券の発売が発表されました。

QRチケットサービスがはじまります。:JR西日本

概要は以下のとおりです。

【QRチケットサービス】
・サービス開始時期:
2025年1月19日(日)〜

・サービス提供エリア
下記のとおり
2025010823-01-091
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250108_00_press_qrticket.pdf)より引用)

【取扱商品】
●「KANSAI MaaSワンデーパス」
・発売期間:
2025年1月27日(月)〜3月27日(木)
・利用期間:
2025年2月27日(木)〜3月27日(木)
・発売額:
3,000円
・内容:
関西の4都市(大阪、京都、神戸、奈良)を巡る、7社の路線がQRコードで乗り降り自由
・利用可能エリア:
2025010823-02-063
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250108_00_press_qrticket.pdf)より引用)

●「大阪スマートアクセスパス」
・発売期間:
2025年1月10日(金)〜2025年10月31日(金)
・利用期間:
2025年1月19日(日)〜10月31日(金)
・発売額:
1,200円
・内容:
Osaka Metro、JR大阪環状線、JRゆめ咲線、JR京都線の新大阪〜大阪間が1日乗り降り自由
・利用可能エリア:
2025010823-02-233
(上記発表資料(https://www.westjr.co.jp/press/article/items/250108_00_press_qrticket.pdf)より引用)

【今後の展開】
・大阪・関西万博に向け、関西民鉄と連携した企画乗車券や訪日外国人旅行者も利用できる企画乗車券をQRチケットとして発売
・現在券売機で発売している磁気近距離きっぷについて、2028年以降、順次QR乗車券への移行を進め、磁気券の削減を図りつつ、持続可能な鉄道サービスの提供を実現
・将来的には、インターネット予約で購入したきっぷについても、QR 乗車券で利用できるよう、更なるチケットレス化を目指す。


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



冒頭の過去ブログ記事でもご紹介しているように、JR西日本では今年度下半期以降でQRチケットサービスを開始することとしていましが、その詳細が本日発表されました。

まずは、大阪市内を中心としたエリアで開始されますが、同時に在阪他社と共同の企画乗車券も、QRチケットサービスで利用できるようになります。

更に、3月中旬にはサービス提供エリアが大幅に拡大されるのを機に、更に商品が拡充される予定となっています。
4月からは「大阪・関西万博」が開催されますので、万博への来場者向けに、おトクで便利なQRチケットサービス向け商品が用意されることを期待したいところです。

加えて今回、磁気乗車券からQR乗車券への移行についても発表がありました。
これによると、2028年以降順次、QR乗車券への移行を進めるとのことですが、加えて将来的にはネット予約の切符もQR乗車券で利用できることとなり、更なるチケットレス化が実現することとなります。

QR乗車券は、紙だけでなくスマホに表示することでも利用可能となりますので、今後どのような使い方が示されてくるのか、またどんな商品が用意されるのか、磁気券、交通系ICカードに加え、新たな乗車券フォーマットである「QR乗車券」が、どのように進化していくのか、阪和線利用の一ユーザーとしても、その発展をじっくり見ていきたいと思ったニュースでありました。

DSC06458-2_R
▲阪和線の225系快速列車。
阪和線でのQRチケットサービス対応は、今年3月中旬以降となることが示されています。
どのような企画乗車券がラインナップされるのか、楽しみにしたいと思います。

【JR西日本】観光列車「花嫁のれん」運転再開(2025.3.7〜)団体臨時列車で再開へ

JR西日本では、令和6年能登半島地震発生以降運休となっている観光列車「花嫁のれん」について、貸切乗車ツアーなどの団体臨時列車として運転再開することを発表しました。

観光列車「花嫁のれん」運転再開のお知らせ:JR西日本

概要は以下のとおりです。

【運転再開日】
・2025年3月7日(金)
日本旅行による関西発の旅行商品

・2025年3月8日(土)
JR東日本びゅうツーリズムによる貸切乗車ツアー

【出発式・お出迎え】
運行初日の3月7日(金)には、金沢駅で出発式、和倉温泉駅でお出迎えを実施

【その他】
運転再開以降も、不定期にて旅行会社による貸切乗車ツアーを予定


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



昨年の元日に発生した「能登半島地震」から1年となりました。
半島の先端部という地理的に厳しい地域での大規模な地震災害に加え、その後に発生した能登半島豪雨でも再び甚大な被害を受け、現地の復旧・復興はこれまでに見舞われた災害とは比べものにならないほどの厳しさであることは、地域外に住んでいる私にとっても容易に推察できるところです。

そんな中でも復旧・復興に向けた動きは着実に進んでいて、地域随一の温泉地である「和倉温泉」でも、旅館の営業が順次再開し、観光客の受け入れ体制も徐々に回復しているようですが、今回七尾線の観光列車「花嫁のれん」の運転が再開されることとなりました。

ただ、震災前とは異なり、まずは団体専用の臨時列車として、不定期に運行するということですが、今後、条件が整えば、震災前と同じく定期運行・個人利用可能になるのではないか、ということですので、今後の復興に引き続き期待したいところです。

20231118_162528_R
▲和倉温泉駅に停車中の「花嫁のれん」。
今年3月より、団体臨時列車として運転再開となります。




不定期の団体臨時列車という形ではありますが、「花嫁のれん」の運転再開が発表された今、次なる願いは、のと鉄道の観光列車「のと里山里海号」の運転再開でしょうか。

こちらは、七尾〜穴水間を走る観光列車でありますが、七尾より先は、先の震災の被害が更に大きい地域でもありますので、「花嫁のれん」以上に受け入れ体制の復旧に課題が多いことは確かでしょう。

そのため、「のと里山里海号」の運転再開も、そう簡単ではないのは百も承知ですが、やはり地域に再び賑わいを取り戻すには、観光列車による集客も求められるものの一つでありましょうから、決して慌てることなく、しかし確実に運転再開への道のりを歩んでほしいな、と思うところです。
(参考)




2025年の撮り初め(南海本線・紀ノ川〜和歌山市)「めでたいでんしゃ」を撮影してきました。

2025年の撮り初めとして、本日は南海本線の紀ノ川〜和歌山市間「紀ノ川橋梁」で撮影してきました。

DSC05630-2_R
▲紀ノ川橋梁を渡る「めでたいでんしゃ かい」(水色)

DSC05570-2_R
▲同、「めでたいでんしゃ かしら」(黒色)

「めでたいでんしゃ かい」は、折り返し加太行きの様子も撮影してみました。

DSC05654-2_R
▲「めでたいでんしゃ かい」を後追いで撮影。
恒例の「謹賀新年」ヘッドマークもきっちり記録できました。

昨年7月から運用開始となっている2000系「めでたいでんしゃ かなた」も初めて迎える新年で、ヘッドマークも用意されているようですが、この時は運用に入っていませんでしたので、改めての機会に記録できればと思います。


本年もこのように、鉄道写真については、お手軽に記録していければと思っています。
どうぞよろしくお願いいたします。

【阪急・JR西日本】阪神・淡路大震災から30年の取り組みを発表。阪急ではヘッドマーク掲出

JR西日本及び阪急電鉄では、来る1月17日に阪神・淡路大震災発生から30年を迎えるにあたり、発災当時の被災状況や復旧までの過程などのパネル展示や、ヘッドマーク掲出などの取り組みを実施することを発表しています。

阪神・淡路大震災から30年を契機とした取り組みについて :JR西日本
阪神・淡路大震災 30年 西宮北口駅管区の取り組み | 阪急電鉄からのお知らせ | 阪急電鉄

概要は以下のとおりです。

【JR西日本】
・パネル展示:
2025年2月下旬ごろまで、六甲道、新神戸、三ノ宮、新長田、鷹取の各駅で展示。

・自治体等主催イベントへの参加
「ひょうご安全のつどい」(1月17日)、第30回神戸ルミナリエ(1月24日〜2月2日)

【阪急電鉄】
・震災パネル展:
2024年12月19日(木)〜2025年1月31日(金)に、西宮北口駅構内 駅長室前で実施

・1.17震災メモリアルウォーク(事前申込制)
2025年1月17日(金)に、西宮北口駅〜夙川駅でメモリアルウォークを実施

・ヘッドマーク掲出
2025年1月10日(金)〜1月31日(金)予定
神戸本線を運行する8両編成1編成に掲出
ヘッドマークデザイン:
hankyu_earthquake30th_hm
(上記発表資料(https://www.hankyu.co.jp/topics/detail/013756.html)より引用)


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



年が明けて来月の1月17日には、阪神・淡路大震災発生から丁度30年となります。

当時、神戸市灘区内の大学に通っていた私は、その日も授業に向かおうと起きようとしていたところ、尋常ではない揺れで飛び起きたのですが、しばらくしてテレビの画像に映し出された神戸市内の様子に目を疑ったことを、ついこの間のことのように覚えています。

勿論、大学はその日から休校となり、後期試験はレポート提出または平常点で単位付与となりましたが、そのレポート提出も、郵便事情が疑わしいこともあったので、大学まで直接持参したりしました。

年度が明けて、JR神戸線が全線で運転再開となり、通学は可能となったものの、最寄りの阪急神戸線が完全復旧するのは6月まで待たなければなりませんでした。


そんな、丁度阪神・淡路大震災とその後の状況をリアルに体験した一人としては、あれから30年の月日が経過したのだな、と思うばかりであります。

この震災から30年を振り返る企画として、JR西日本及び阪急電鉄でパネル展示などの取り組みを実施していますが、どちらも震災当時の様子を後世に伝えていこう、という意図が伝わってきます。

また、阪急電鉄では、神戸線の列車1編成にヘッドマークを掲出するとのことで、これまた震災から30年を、鉄道ファンを含む多くの人々に伝える方法の一つとして、面白い取り組みだな、と感じました。

ヘッドマーク掲出時期は20日ほどで、また編成も1編成のみとのことですので、記録するのは難しそうですが、震災から30年の節目ですので、何らかの機会を見つけて記録できればいいな、と思っています。

【阪堺電気軌道】運賃改定(値上げ)を発表。230円⇒240円へ10円値上げ(2025.4.1)

阪堺電気軌道(阪堺電車)では、2025年4月1日(火)より軌道旅客運賃を改定するための届出を行ったことを、本日発表しました。

軌道旅客運賃の改定について|阪堺電気軌道

概要は以下のとおりです。

【改定予定日】
2025年4月1日(火)

【改定内容】
・普通運賃(大人):
現行230円⇒改定後240円
※国から認可されている上限運賃(250円)の範囲内での引き上げ

・普通運賃(小児)、通勤定期、通学定期
現行どおり

【改定率】
普通旅客運賃(大人) 4.34%

【主要プロジェクト】
・軌道更新工事
・車両延命及び大規模工事
(老朽化している主制御装置、補助電源装置、運転状況記録装置等の更新及び製造30年以上経過し劣化した内外装を修繕、最新機器搭載改修工事を行い、省エネ化、車両故障等のリスクを回避するとともに安全性を向上)
・簡易改札機(運賃箱)及び関連機器の更新工事
・南海本線(堺市)連続立体交差事業に伴う移設工事


詳細は、上記発表資料をご覧下さい。



阪堺電車では、2020年9月に運賃値上げを実施しましたが、その後電車動力費等の高騰等による費用の上昇に歯止めがかからず、厳しい経営環境が続くことを予想しています。

今回の値上げでは、前回値上げ時に申請した上限運賃(250円)での範囲内での変更で、大人運賃230円を10円値上げするものとなっています。

今回の発表で気になったのは「車両延命及び大規模工事」で、該当車両は4両、そして製造30年以上経過した車両が対象となっているようですので、1980年代後半から1990年代中盤にかけて導入された「モ701形」が対象になるのではないか、と思われます。
DSC02748-2_R
▲阪堺電車モ701形。

工事の効果として「省エネ化」が挙げられていることも考えると、例えば制御装置のインバータ化も考えられそうな気もします。
このプロジェクトに、総額6億5千万円で、対象が4両ですので1両あたり約1.6億円と、なかなか手をかけるリニューアルになりそうです。

果たしてどの形式がリニューアル対象となるか。
また、既に長年運行されてきた「モ161形」「モ351形」などは今後どのような扱いとなるのか。
今後の車両の動きにも注目しておきたいと思います。

当ブログのTwitterアカウント
ブログ「阪和線の沿線から」のツイッターアカウントです。更新情報の通知やコメントの受付などはこちらのアカウントをフォローして下さい。
記事検索
「鉄道コム」登録ブログはこちらをクリック
鉄道コム
Archives
Categories
にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ