今年3月15日のダイヤ改正で、惜しくも廃止となった寝台特急「あかつき」・「なは」、寝台急行「銀河」。
特に寝台特急「あかつき」は、このブログでも幾度も記しているとおり、私が幼少のころから何度も乗車してきた、数ある寝台特急の中でも、個人的に一番思い入れのある列車であっただけに、この列車の廃止が、ひとつの時代の終わりと思えたくらいでした。
そこらへんの事情は、以下のエントリーを見ていただければと思います。
寝台特急「あかつき」にまつわる思い出話(2006年6月14日)
「ありがとう」そして「さようなら」。寝台特急「あかつき」ラストラン(2008年3月16日)

もう二度と時刻表の上に時刻が載ることもなく、また、レールの上を走ることもなくなった「あかつき」ですが、それでも模型や映像の中といったものでいつでもその姿を再現することができるので、いまさらながらの感はありますが、そういうものを集めていければな、と思っていて、既に「あかつき」「彗星」の鉄道模型セットを購入していることは、こちらのエントリーで記したとおりです。

今回は、そういう商品のご紹介で、鉄道関係のDVDソフトを中心に製作しているビコムから、「あかつき」「なは」「銀河」の廃止直前の姿を記録したDVDが販売されていましたので、購入して視聴してみました。

Amazon.co.jp: 惜別、駆け抜けた寝台列車たち なは・あかつき・銀河 [Blu-ray]: ビコム想い出の中の列車たちBDシリーズ: DVD

内容は、「あかつき」「なは」「銀河」の3列車を中心に、歴史や使用車両の紹介、「あかつき」「なは」の下り列車の乗車ルポ、そして、運転最終日の長崎駅の様子や、最終日の出発の様子、そして最終運転を終えて役目を終えた車両の回送のシーンまで収録した、何とも盛り沢山な内容です。

各列車の歴史では、貴重な資料映像を用いているだけでなく、たとえば阪神大震災時に福知山線・播但線を迂回運転した「あかつき」のシーンが収録されていたりと、単なる歴史だけでなく、ポイントを捕らえた構成という点、唸らずにはいられない内容です。

乗車ルポでは、始発駅の京都から終着駅の長崎・熊本まで、列車そのものだけでなく、その車掌や乗客といった人間模様にもスポットを当てて、これまでのビコムのDVDではあまり見かけられなかった、新しい方向性も打ち出しています。
その方向性は、運行最終日の長崎駅の様子でも感じ取ることができ、特に歴史ある関西ブルトレの嚆矢として活躍してきた「あかつき」の最後を飾るにふさわしいものとなっています。

最終日の発車シーンは、沢山の見物客の中での苦心の末の撮影のようで、果たして列車を写しているのか、それともそれを見ている客を写しているのかが分からないくらいに混乱した様子でしたが、それはそれで、沢山の人に見送られての発車という、ひとつの記録という意味では、価値のある映像だと思っています。

更に普通は収録されることもないであろう、回送シーンの収録まで追いかけている点、このDVDの内容の濃さに圧倒されてしまいました。
まあ私のように思い入れの強い人にとっては、廃止回送シーンは見ていて心痛む点がなきにしもあらずですが、それはそれで、ここまで徹底して「あかつき」「なは」を追いかけたソフトは他にないのでは、と思える内容です。

ビコムの鉄道関係DVDは、映像の美しさと、ファンの心を掴む編集内容が魅力と思っていますが、今回のDVDもそれに違わない内容でした。
否、自分が特別の思い入れのある列車である「あかつき」の最後を記録した映像ソフトとしては、文句のない出来栄えだと思っています。

私は「あかつき」の記録、という視点で購入・視聴し、このように感想も書かせていただいていますが、同じく「なは」の記録、という点で、「なは」に思い入れのある方が購入しても、大いに満足できる内容に仕上がっていると言えるでしょう。

「あかつき」「なは」に何かしらの思い出・思い入れのあるファンにとって、是非とも手元にそろえておきたいソフトだと思いました。

<データ>
タイトル:惜別 駆け抜けた寝台列車たち なは・あかつき・銀河
製作会社:ビコム株式会社
収録時間:98分
製品紹介Webページ:惜別 駆け抜けた寝台列車たち なは・あかつき・銀河(ビコムWebページ内)

他の鉄道関係ブログはこちらから。
にほんブログ村 鉄道ブログへ