10月になり、大学院の授業の課題作成等で忙しくなり、あまりこの件はウオッチしていませんでしたが、その間にこんな状況になっていたとは、各ブログでこのニュースが取り上げられるまで気がつきませんでした。忙しさにかまけて迂闊だった・・・

名松線の今後の輸送計画について(JR東海プレスリリース)

10月8日に上陸した台風18号による被害で普通が続いていた名松線の家城〜伊勢奥津間について、JR東海は復旧したとしても災害の再発や運行規制が避けられない、ことから、鉄道を廃止してバスによる輸送に切り替えることを、沿線自治体に提案していく旨発表しました。

災害による路線廃止は高千穂鉄道の事例が記憶に新しいところですが、一方で、越美北線姫新線・三江線、また当のJR東海管内に於いては高山本線のように、災害による被害を受けながらも長期間に渡る復旧工事を経て運行再開となった事例もあります。
私自身、このような自然災害による廃止や復旧の分かれ目は、母体になる運行企業体の体力の有り無しによるところが多いのかな、と思っていました。

ところが、今回の名松線では、東海道新幹線という収入源を持ち、リニアを自前で建設しようとしている「JR東海」が廃止を打ち出したと言う点、これまでのケースとは違ってくるのではないのかな、という考えを持っています。
もっとも、今回の廃止区間は、一日5.5往復の運行で一日の利用者が約90名と、僅少な利用者であること、また終点の伊勢奥津は行き止まり駅であり、鉄道網のネットーワークを寸断するような事態にはならない点も、「鉄道復旧」ではなく「バス転換」となった理由とも言えるのかも知れません。これは、JR西日本管内で可部線の可部以遠が廃止となったのにもかかわらず、三江線や芸備線が災害等で長期運休されたにもかかわらず復旧された理由なのかな、とも個人的には思っています。

この名松線は、旧国鉄の特定地方交通線として、第2次廃止対象線区に選ばれましたが、当時は代替道路網の未整備が理由となり、廃止されなかった経緯がありますが、それから約30年を経て、道路網の整備によりこの障害がなくなり、廃止とうい選択肢が現実に取り得るものとなりました。

JR東海がこの区間を廃止することには、「仕方ない」という意見もあれば、「リニアにつぎ込む余裕があるんやったら・・・」という意見もあるようです。私が危惧することは、「あのJR東海さん」が災害で路線を廃止したという前例が他の鉄道事業者に与える影響、といえるでしょうか。

このような、災害を受けやすい鉄道路線はやはり地方ローカル路線が多く、その運営母体はJR各社を除けば、経営余力の小さい地方ローカル鉄道が主なものとなっています。こういう鉄道が仮に災害による被害を受けた場合、復旧後も更なる厳しい経営が避けられない状況の下で、先に「JR東海」という「リニアを自前で建設しようとしている大企業」さえもが災害被害で鉄道路線を廃止した前例ができてしまったいま、果たして復旧しようというインセンティブを持ち得るでしょうか。

勿論、地方ローカル線といっても色々あり、採算的には厳しくとも、社会的に必要なインフラとして公的援助されることもあるでしょうし、そういう仕組みを災害時でなく平常時に作っておくことが重要だ、というのが私の意見でして、JRであろうが民鉄であろうが、地域と鉄道との関わり合いが財政的な面でも避けられないとは思います。
財政的な面が必要、ということは住民の同意を得るということとイコールとも考えられ、そのために地域住民・行政は日頃どのように関わるべきか、という点について、全国のローカル鉄道沿線自治体で常に考えていくべきことなのかな、と思いました。

JR東海の今回のプレスリリースでは、これから廃止を沿線自治体に提案していくとの姿勢です。
沿線自治体としては、廃止やむなし、但しJR東海の路線として運賃水準は据え置いてね、というスタンスとなることが予想されます。とすれば、かつての国鉄士幌線のような形になるのかも知れないな、と思いつつ、もう少し自分のゆとりができればこの件についてもフォローしたいな、と思います。

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