阪和線の沿線から

阪和線沿線に住まう管理人による、鉄道やバスなどのブログ。

大阪市交通局

大阪市交通局、PiTaPa利用による割引率をアップ、一律1割引から

PiTaPaユーザーであろうか否か、きっと皆さんこういう割引を待っていたんだと思ったニュースが大阪市交通局より発表されました。

10月1日から大阪市営交通のPiTaPa割引率をアップします(大阪市交通局Webサイト)

大阪市交通局のPiTaPa割引には「マイスタイル」「フリースタイル」の二種類があります。
今回の割引は、更に拡充されたものとなっており、1回目の乗車から10,000円の利用までは、一般は一律10%割引、学生は一律20%割引、シニアは10%割引以上となります。(1万円以上の利用はフリースタイルの適用)
適用は平成22年10月1日の利用分からです。

これにより、回数カードを買うよりPiTaPaを利用する方が一般の場合でも安くなりますし、勿論学生の場合は、年に一回登録しておけば、特に区間の指定なく大阪市交通局の地下鉄・バス・ニュートラムを2割引で利用することができるようになります。

繰り返すようですが、利用者がPiTaPaの割引制度に求めているものは、こういうものなのではないか、と思うのです。
分かりやすくて、必ず得するという安心感。
他社局の割引がかなり分かりづらくて、なおかつ必ず得をするのかどうかが分かりづらい中、大阪市交通局のこの決断は非常に利用者本位の改正だと思いましたので、私自身としては高く評価したいと思います。
(これまで同局のPiTaPa割引施策も良い施策だと思っています)

繰り返し書いているのですが、何故にこういう分かりやすくて利用者本位の割引制度が役所から出てくるのに民間から出てこないのか、不思議やなあ、という感想も同時に抱いたニュースであります。

大阪市交通局、「利用額割引フリースタイル」の割引率を期間限定でアップする「PiTaPaでおでかけキャンペーン」を実施

関西を中心とした民鉄・公営交通局で導入されているICカード乗車システムの「PiTaPa」。
そのPiTaPa導入社局のうち、最もPiTaPaの乗車割引サービスを積極的に展開しているのは、大阪市交通局と言っても良いかもしれません。
特に利用額割引マイスタイルは、登録駅同士と登録駅・対象駅間の利用が全て、登録駅同士間の6ヶ月定期料金の1ヶ月分で済むという、従来の定期券ユーザーの行動パターンをほぼフォローし、その上従来の定期券では経路外のため乗降出来なかった駅も対象駅として乗降可能になるというおまけもつくという、なかなか優れたサービスだと思っています。
(フォローできていないのは、従来の定期券の区間内相互間の利用というパターンとなります。マイスタイルで対象駅が増えるのと、定期券の区間内相互間利用が可能なのとは、トレードオフの関係になっているようです)
ちなみに、私の知っている人の中でもこの「マイスタイル」を活用している人もおられるのですが、鉄道ファンとかそんな詳しい人ではなく、いわゆる一般の人が使いこなしているところに、びっくりしているとともに、意外とこの制度が普及していることを確認できた次第です。

今日の話題は、「マイスタイル」の陰に隠れてしまっている感もある「フリースタイル」についてです。
「フリースタイル」は、登録不要で1000円以上の利用について、割引が適用されるものですが、この割引が、平成21年7月・8月と12月・平成22年1月の期間限定ですが、最初の利用から10%割引となる「PiTaPaでおでかけキャンペーン」が実施になる旨、発表されています。

〜ICカード「PiTaPa」のサービス拡大〜「利用額割引フリースタイル(シニア)」・期間限定で「PiTaPaでおでかけキャンペーン」(大阪市交通局Webページ)

期間限定とはいえ、PiTaPaで乗車すれば1回目から10%割引となるのは、非常に大きいと思います。
これまでは、ある程度の利用があればPiTaPaという選択肢も考慮に入れて良いところがありましたが、利用の少ないライトユーザーには、まだまだ回数カードの方が割引率も高く、使い勝手も良かった訳です。しかし、このキャンペーンでは、回数カードの販売金額である3,000円未満の場合でも10%割引という恩恵にあずかれるという、メリットがあります。

大阪市交通局の割引サービスは、例えばマイスタイルの6ヶ月定期運賃の1ヶ月分といったように、太っ腹なところがありまして、類似のサービスを行っている京阪や阪急のように、区間指定割引に関しては自社系PiTaPaのみポイントを付与するのとは対照的といえます。今回のおでかけキャンペーンも、OsakaPiTaPaだけでなく、全てのPiTaPaが適用対象となっている点は、やはり太っ腹やなあ、という感じがします。

「太っ腹」といえば、フリースタイルの「学生」区分は、別に通学経路上に大阪市交通局の路線が含まれていなくとも、学生区分として登録することが可能です。
私も早速登録し、割引の恩恵にあずかっています。

逆に、いつも感じることですが、「官」の大阪市交通局がこれだけ頑張っているのに、「民」の各社のPiTaPa割引サービスに全く魅力的なものがいつまで経っても登場しないのは、何故かいな、と思うのです。民間なら、役所よりももっと顧客満足の高いサービスが提供できることは、少なくともPiTaPa施策に関しては逆なのかいな、と思うと、かつての民鉄王国はどこに行ってしまったのか、と嘆かざるを得ない情けなく思ってしまったニュースでした。

大阪市、市営交通の敬老優待パスの一部有料化を検討

先日、平松大阪市長が大阪市の財政再建素案を発表しましたが、その中に、市営バス・地下鉄等に無料で乗車できる「敬老優待乗車証」(敬老パス)の一部有料化が盛り込まれていました。

大阪市が歳出削減案、敬老パスを一部有料化(読売新聞Webページ)
「経費削減の取組について(素案)」に対する意見を募集します。(大阪市役所Webページ)
上記削減素案内、健康福祉局(経常経費)削減の内容(敬老乗車証の一部有料化は4ページ目に記載 PDFファイル)

この敬老乗車証がどういうものかというと、市役所の該当Webページに記載されていますが、70歳以上の大阪市民であれば、基本的に誰でも受給でき、またその利用については、市バス・地下鉄・ニュートラムの全線を回数等に制限無く利用できるというものです。
これまでは、このパスは磁気カードによるものでしたが、昨年頃からか、ICカードに切り替わったようです。
で、ICカードに切り替わったことで、具体的な利用実態が把握できたとのことです。それについて記載しているのはこちらの記事。
大阪市財政再建素案 市長は四面楚歌? 聖域「敬老パス」も見直し着手(MSN産経ニュース)
見直しの背景には、ICカードの導入で使用実態が判明したことがある。カード1枚あたりの平均利用額は今年7月で2470円だったが、一部には8万円以上を利用した例が発覚。カードが悪用された可能性が出てきたからだ。

一ヶ月あたり平均2470円ですが、一部には8万円以上の利用例があったとのことです。
地下鉄一区・バス一乗車の運賃が200円なので、8万円使おうと思えば単純に計算して、400回利用する必要があります。
一ヶ月に400回という事は、一日当たり13回程度利用する必要があります。
勿論、地下鉄は距離が長くなれば運賃も上がるのと、バスも乗り継ぎの場合は2回目の運賃が無料になる場合が多いので、「一日13回」という回数は変動しますが、それでも、通常の利用状態ではまずあり得ない状態であることは確かと言えるでしょう。
ということは、無駄に利用しているのか、それとも不正に利用されているのか・・・と、まあそういうことになってしまいます。
今回の素案は、このような不適切な利用を排除し、無料で利用できる上限を設定し、それを越える分については負担をしてもらうという、私からみれば当然の施策だと思っています。

ただまあ、上限が月5,000円というのは、議論の分かれるところではあります。もう少し増やしても良いのかな、という気もしますし、平均が二千円台なら、この金額でも良いのかな、という気もします。
まあ、パブリックコメントも募集していることですので、ご意見のある方は大阪市役所に送ってみても良いのかなと思います。

ICカード乗車券や電子マネーの特徴として、カード所有者の利用実態がダイレクトに把握できる、という点がありますが、今回のIC敬老パスはその特徴を生かした事例と言えるでしょう。
この例に限らず、ICカード乗車券が普及することによって、容易な利用実態の把握によって、利便性の改善や採算性の改善、はたまた今回の敬老パスのように不適切な利用の排除による適正な利用者の保護につなげてもらえれば、ICカード乗車券の話題を逐次取り上げている私としても、嬉しいなと思えるな、と思ったニュースでした。

大阪市交通局の定期観光バス「にじ号」、3月31日をもって運転終了

大阪市交通局が運行する定期観光バス「にじ号」。
2階建てバスを使用して、大阪市内の主要な観光スポットを回る定期観光バスですが、この定期観光バスが3月31日をもって営業を終了するとのことです。

定期観光バス(大阪市交通局Webページ、ページ内に営業終了のお知らせあり)

現在は一日コースと半日コースのみですが、以前はナイトコースなどもあった記憶があります。
お隣の京都のように観光スポットが沢山あるわけでもないので、投入されている車両(二階建てのネオプランバス)とは対照的にどうしても地味な印象の定期観光路線でしたが、車両の老朽化なのか、はたまた利用客の減少なのか、その理由ははっきり伝わってきませんが、ともかく3月末で運行終了との事です。

一度乗ってみたいと思いつつ、案外高い料金に二の足を踏んでいたのですが、いつのまにか終了なので、乗ってみようと思いつつ予定が空きそうにないので、ちょっと惜しいなあ、と思ったニュースでした。

大阪市交通局、「利用額割引マイスタイル」導入へ

国内で唯一、後払い方式の交通系ICカードシステムのPiTaPa。
PiTaPa導入各社局ごとに、後払い(ポストペイ)に関する割引のメニューはあるものの、概して渋い割引率のため、定期券や回数券を利用し続けている利用者も多いようです。

そんな中、大阪市交通局がユニークな割引制度を発表しました。

ICカード「PiTaPa」に新サービス「利用額割引マイスタイル」登場!(大阪市交通局プレスリリース)

概要は次の通りです。
・「地下鉄・ニュートラムの任意の2駅」「バス全線」「その双方(地下鉄・ニュートラムの任意の2駅とバス全線) 」 のいずれかを選択して登録した場合に割引を適用。
・登録の内容により、「特定利用」となる乗車が定まり、1か月(1日〜末日)のお支払
い額に上限が設定されるサービス。
・「特定利用」となる場合は次の通り。
 地下鉄・・・登録した2駅相互間の乗車、又は登録した2駅と「対象駅」間の乗車。
 ※対象駅:ある駅から登録した2駅までの区数のいずれもが、登録した2駅相互間の区数以下の駅
 バス:バス全線の乗車
・料金の計算は、「特定利用」「特定利用以外」それぞれに現在の利用額割引の割引を適用し、毎月の料金を計算。
 但し、「特定利用」に関しては、請求上限額を設け、利用額割引適用後の料金を請求上限額とを比較して、安い方の料金を請求。
・「請求上限額」は、登録内容によって定まっているが、6ヶ月定期料金の1ヶ月相当額。

何やらかなりややこしい割引のように感じる方も多いかも知れません。
むしろこちらの案内ページを丁寧に読んでもらった方が理解しやすいのかな、と思います。

言うなれば、阪急・京阪で行っている区間指定割引に、IC定期券の概念をミックスさせたもののようです。しかもいきなり初回請求より6ヶ月定期相当の割引率が適用されるため、かなりお得な内容となっています。
(ちなみに阪急・京阪の区間指定割引の場合は1ヶ月定期相当額よりスタート。継続利用すれば割引率のアップ(阪急)やポイント付与(京阪)がありますが、1ヶ月定期相当額以下の利用となると、継続利用はリセットされます。)

勿論、定期券では可能であった「定期区間内での乗り降り」が、利用額割引マイスタイルでは「登録駅以外は別計算」となることもあり、定期利用よりも高くなるケースもあり得ることから、メリットがあるかどうかは各自の利用実態を見極めて判断するべきでしょうが、定期区間の両端を単純に往復する利用がメインであれば、紛失時のフォローも含めて、利用額割引マイスタイルの方が良いとも思われます。

ともあれ、「民間企業」ではなく「役所」である大阪市交通局が発表した今回の割引。
「役所」がもっとも苦手としていたはずの顧客サービスの向上を、こういう形で実現させた大阪市交通局は、なかなかなものです。
それに引き替え、「お役所」よりも柔軟な発想が得意なはずの「民間企業」である関西民鉄他社からこういったユニークかつお得な割引料金が出てこないのは、どうしたことでしょうか。
現状の割引サービスで満足しているのであれば、それは大きな見込み違いなのではないか、とも思います。大阪市交通局のこの割引を契機に他社でもお得なPiTaPa割引を設定して欲しいと思います。

大阪市長選挙は11月18日。大阪市交通局の今後が決まる選挙になるか?

昨日11月4日に告示のあった大阪市長選挙。
現職・新人合わせて5名の立候補があり、18日までの二週間の選挙戦が始まりました。

参院選後初の政令市長選、大阪市長選5氏届け出(Yahoo!ニュース、元記事:産経新聞)

今回の選挙の焦点の一つに、地下鉄・バスを運営する交通局の民営化が挙げられます。

一連の大阪市役所の改革問題の中で、大きな目玉だったのがこの交通局の問題。
当初、経営状態の悪さとコスト意識の低さから、何が何でも民営化するべし、という論調が主だったと記憶しています。

ところが最近、その論調に少し変化があり、とにかく民営化すれば良い、と言うものでもなく、もうちょっとよく考えてみよう、という意見も少なからず出てきています。

そのことに触れた日経の記事がこちら。
大阪市の市営交通事業、黒字最高も借金8000億円・06年度(日経新聞Webページ)

その元データとなる、平成18年度の交通局決算見込みはこちら。
平成18年度大阪市交通局決算概要(大阪市役所Webページ)

大阪市交通局はバス事業(決算上では自動車運送事業)と地下鉄事業(決算上では高速鉄道事業)とに分けられていて、単年度決算ベースでは、バス事業は経常損益が約22億円の赤字に対し、地下鉄事業は約198億円の黒字。単純に合計しても、交通局交通事業で約170億円の黒字になるわけです。

この数字を見ると、これだけの黒字を生み出す交通局(特に地下鉄)を、みすみす民間に売却することもなく、大阪市が優良資産として保有していてもいいのでは、という意見も出てくるのも当然とも言えるでしょう。

地下鉄事業の場合、御堂筋線が儲け頭となって、他の路線の赤字を吸収してあまりある収益を生み出している状況ですが、これは大阪市内の繁華街の位置と、地下鉄路線図を重ね合わせてみれば当然の結果と言えます。それくらい御堂筋線は条件の良い場所を通っている事が、収支状況だけ見てもよく分かります。
他の路線では、収支比率100%超は谷町線、90%超は四つ橋線・中央線。堺筋線・千日前線は70%代の収支比率となっていて、近鉄と併走する区間が多い千日前線はともかく、堺筋線の収支比率が低いのが気がかりです。

長堀鶴見緑地線・今里筋線の収支比率が低いのはある意味当然で、この区間を「地下鉄」として建設する事が果たして良かったのかどうか、という議論があっても良いとは思います。
むしろ、これくらいの規模の軌道交通手段なら、LRTとして建設する方が良かったのでは、とも思いますが、一度交通麻痺の原因として市電を全廃してしまった大阪市(交通局が、ではなく議員や市民や市役所や、全てひっくるめて大阪市という意味)が、果たしてLRTというものを客観的に評価できたでしょうか?

一方バス事業の場合は、大阪市交通局でもバス路線は地下鉄路線のフィーダー輸送という観点もあって、収益の良い路線は少ないのが現状。とはいえ、特に市バスは大阪市の福祉事業の一環という位置づけもあり、不採算=廃止とは簡単に出来ないこともあり、短期的な収支改善は難しいのではないかと考えられます。

「交通局」といっても、全く違う二つの事業を経営する大阪市交通局。
本当に市民の足として望ましい姿はどういうものか。
現状のままの公営企業体が良いのか、それとも全て民間会社に売却して、大阪市から独立させた方が良いのか。はたまた、赤字部門を民間に売却し、黒字部門は市営のままがよいのか。それとも現在の公営企業体に民間の経営形態も取り入れたハイブリッドな経営形態がいいのか。

それぞれにメリット・デメリットがあると思います。

民営化が全ての課題に対する解決策、とも思えませんし、現在の市営交通のままでよいか、というとそうとも思えません。
ただ、一つだけ言えるのは、今後の大阪市内の交通(バス・地下鉄)を維持していくには、更なる改革によって今まで以上に経営的に強い事業体として生まれ変わる必要があるということです。

そのためにはどういう「ハコ」が望ましいのか。次の日曜までに有権者の皆様にはじっくり考えて頂きたいと思います。

残念ながら自分には大阪市長選挙の投票権がありません。
公共交通のあり方が争点の一つになる選挙というのはそうそうありませんので、個人的には投票権がない事に非常に悔しい気持ちがないわけでもありませんが、それは選挙というシステム上、仕方のない事です。

大阪市民の皆様には是非投票に行かれますよう、よろしくお願い申し上げ、本日の長い長い(けど内容はスッカラカン?)のエントリーを終わらせて頂きます。続きを読む
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