昨日11月4日に告示のあった大阪市長選挙。
現職・新人合わせて5名の立候補があり、18日までの二週間の選挙戦が始まりました。

参院選後初の政令市長選、大阪市長選5氏届け出(Yahoo!ニュース、元記事:産経新聞)

今回の選挙の焦点の一つに、地下鉄・バスを運営する交通局の民営化が挙げられます。

一連の大阪市役所の改革問題の中で、大きな目玉だったのがこの交通局の問題。
当初、経営状態の悪さとコスト意識の低さから、何が何でも民営化するべし、という論調が主だったと記憶しています。

ところが最近、その論調に少し変化があり、とにかく民営化すれば良い、と言うものでもなく、もうちょっとよく考えてみよう、という意見も少なからず出てきています。

そのことに触れた日経の記事がこちら。
大阪市の市営交通事業、黒字最高も借金8000億円・06年度(日経新聞Webページ)

その元データとなる、平成18年度の交通局決算見込みはこちら。
平成18年度大阪市交通局決算概要(大阪市役所Webページ)

大阪市交通局はバス事業(決算上では自動車運送事業)と地下鉄事業(決算上では高速鉄道事業)とに分けられていて、単年度決算ベースでは、バス事業は経常損益が約22億円の赤字に対し、地下鉄事業は約198億円の黒字。単純に合計しても、交通局交通事業で約170億円の黒字になるわけです。

この数字を見ると、これだけの黒字を生み出す交通局(特に地下鉄)を、みすみす民間に売却することもなく、大阪市が優良資産として保有していてもいいのでは、という意見も出てくるのも当然とも言えるでしょう。

地下鉄事業の場合、御堂筋線が儲け頭となって、他の路線の赤字を吸収してあまりある収益を生み出している状況ですが、これは大阪市内の繁華街の位置と、地下鉄路線図を重ね合わせてみれば当然の結果と言えます。それくらい御堂筋線は条件の良い場所を通っている事が、収支状況だけ見てもよく分かります。
他の路線では、収支比率100%超は谷町線、90%超は四つ橋線・中央線。堺筋線・千日前線は70%代の収支比率となっていて、近鉄と併走する区間が多い千日前線はともかく、堺筋線の収支比率が低いのが気がかりです。

長堀鶴見緑地線・今里筋線の収支比率が低いのはある意味当然で、この区間を「地下鉄」として建設する事が果たして良かったのかどうか、という議論があっても良いとは思います。
むしろ、これくらいの規模の軌道交通手段なら、LRTとして建設する方が良かったのでは、とも思いますが、一度交通麻痺の原因として市電を全廃してしまった大阪市(交通局が、ではなく議員や市民や市役所や、全てひっくるめて大阪市という意味)が、果たしてLRTというものを客観的に評価できたでしょうか?

一方バス事業の場合は、大阪市交通局でもバス路線は地下鉄路線のフィーダー輸送という観点もあって、収益の良い路線は少ないのが現状。とはいえ、特に市バスは大阪市の福祉事業の一環という位置づけもあり、不採算=廃止とは簡単に出来ないこともあり、短期的な収支改善は難しいのではないかと考えられます。

「交通局」といっても、全く違う二つの事業を経営する大阪市交通局。
本当に市民の足として望ましい姿はどういうものか。
現状のままの公営企業体が良いのか、それとも全て民間会社に売却して、大阪市から独立させた方が良いのか。はたまた、赤字部門を民間に売却し、黒字部門は市営のままがよいのか。それとも現在の公営企業体に民間の経営形態も取り入れたハイブリッドな経営形態がいいのか。

それぞれにメリット・デメリットがあると思います。

民営化が全ての課題に対する解決策、とも思えませんし、現在の市営交通のままでよいか、というとそうとも思えません。
ただ、一つだけ言えるのは、今後の大阪市内の交通(バス・地下鉄)を維持していくには、更なる改革によって今まで以上に経営的に強い事業体として生まれ変わる必要があるということです。

そのためにはどういう「ハコ」が望ましいのか。次の日曜までに有権者の皆様にはじっくり考えて頂きたいと思います。

残念ながら自分には大阪市長選挙の投票権がありません。
公共交通のあり方が争点の一つになる選挙というのはそうそうありませんので、個人的には投票権がない事に非常に悔しい気持ちがないわけでもありませんが、それは選挙というシステム上、仕方のない事です。

大阪市民の皆様には是非投票に行かれますよう、よろしくお願い申し上げ、本日の長い長い(けど内容はスッカラカン?)のエントリーを終わらせて頂きます。続きを読む