昨年の事業仕分けにおいて、関西空港会社に対する補給金が仕分け対象となり、今後の関西三空港問題について方針を出す必要に迫られたことから開催された「関西三空港問題懇親会」が、伊丹存続を趣旨とする方針を出しました。
伊丹存廃、判断先送りへ 関西3空港懇トップ会合(産経新聞Webページ)
「当面は併存」関西3空港懇談会 伊丹存廃の判断先送り(朝日新聞Webページ)
この会議で、伊丹空港廃止を訴える橋下大阪府知事と、逆に伊丹空港存続を訴える井戸兵庫県知事との意見の隔たりは最後まで埋まることはなく、挙句の果てに下妻関経連会長に「ジャンケンで決めて下さい」とまで言われる始末でした。
そんなレベルの議論で出された方針なので、その内容も私から見ても納得できないレベルのものでした。
そもそも、事業仕分けで関空会社補給金の拠出について是非があったのは、狭くて需要が限られる関西地区に大規模な空港が複数存在し、スペックオーバーであることであり、これをどう整理するのかについて、地元の関西地区に疑問と解決策を投げかけた、と言えるものです。
そういう事からして、抜本的な解決策を見出さなければならないミッションがあったにもかかわらず、出された答えはこれまでどおり「三空港併存」。
一歩進歩があったとすれば、関空と伊丹の経営統一ということで、伊丹で生じた利益を関空の競争力強化にあてがうことができるようになる、ということでしょうか。
ただ、中長期的にはリニアもできることは計画として進んでいることから、それを見据えて、長期的に伊丹をどうするのか、という点まで描ききらないと、抜本的な解決策とはならないでしょう。リニアの計画確定後存廃を議論する、とありますが、それではあまりにも遅すぎる、と思うのです。
結局、次の事業仕分け(あるのか無いのか分かりませんが)にも関空会社補助金が同じように仕分け対象となり、今度は「凍結」ではなく本当に「廃止」とされかねないのではないか、と思います。
それにしても、関西経済の全国におけるシェアの低下傾向に、九州新幹線の全線開業、GCTの開発による新幹線・在来線の直通運転の実現といったように、リニア開業以外にも、関西全体の航空需要が今後減少傾向となる要因は幾つも考えられることができるのにも関わらず、この懇親会における兵庫県の予測によると、需要は引き続き拡大する、としています。
伊丹旅客数 リニア開業後「半減」 関経連試算、兵庫と隔たり(産経新聞Webページ)
こういう過大な需要予測は、これまで各地方に不相応な社会インフラを整備させた要因として厳しく批判され、現在では需要予測の妥当性が問題になっていますが、そういう「一昔前」の需要予測に依拠しているところが、いかにも「伊丹存続」という結論ありきの懇親会、という気がしました。
もっとも、兵庫県サイドの予測、といえばそれまでですが、その程度の信憑性、といった方が正解でしょう。
さてこの案、国サイドがどう捉えるのか。
国交省自体は伊丹存続の意向があるようですが(国直接管理の空港だから当然と言えば当然か)、果たしてこれで伊丹の存続が方針として定まったとしても、じゃあ関空補助金は、伊丹との経営統合で仕分けられてもよくなるのか。結局財務省や仕分人に付け入る隙を与えただけになるのでは、とも思います。
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伊丹存廃、判断先送りへ 関西3空港懇トップ会合(産経新聞Webページ)
「当面は併存」関西3空港懇談会 伊丹存廃の判断先送り(朝日新聞Webページ)
この会議で、伊丹空港廃止を訴える橋下大阪府知事と、逆に伊丹空港存続を訴える井戸兵庫県知事との意見の隔たりは最後まで埋まることはなく、挙句の果てに下妻関経連会長に「ジャンケンで決めて下さい」とまで言われる始末でした。
そんなレベルの議論で出された方針なので、その内容も私から見ても納得できないレベルのものでした。
そもそも、事業仕分けで関空会社補給金の拠出について是非があったのは、狭くて需要が限られる関西地区に大規模な空港が複数存在し、スペックオーバーであることであり、これをどう整理するのかについて、地元の関西地区に疑問と解決策を投げかけた、と言えるものです。
そういう事からして、抜本的な解決策を見出さなければならないミッションがあったにもかかわらず、出された答えはこれまでどおり「三空港併存」。
一歩進歩があったとすれば、関空と伊丹の経営統一ということで、伊丹で生じた利益を関空の競争力強化にあてがうことができるようになる、ということでしょうか。
ただ、中長期的にはリニアもできることは計画として進んでいることから、それを見据えて、長期的に伊丹をどうするのか、という点まで描ききらないと、抜本的な解決策とはならないでしょう。リニアの計画確定後存廃を議論する、とありますが、それではあまりにも遅すぎる、と思うのです。
結局、次の事業仕分け(あるのか無いのか分かりませんが)にも関空会社補助金が同じように仕分け対象となり、今度は「凍結」ではなく本当に「廃止」とされかねないのではないか、と思います。
それにしても、関西経済の全国におけるシェアの低下傾向に、九州新幹線の全線開業、GCTの開発による新幹線・在来線の直通運転の実現といったように、リニア開業以外にも、関西全体の航空需要が今後減少傾向となる要因は幾つも考えられることができるのにも関わらず、この懇親会における兵庫県の予測によると、需要は引き続き拡大する、としています。
伊丹旅客数 リニア開業後「半減」 関経連試算、兵庫と隔たり(産経新聞Webページ)
こういう過大な需要予測は、これまで各地方に不相応な社会インフラを整備させた要因として厳しく批判され、現在では需要予測の妥当性が問題になっていますが、そういう「一昔前」の需要予測に依拠しているところが、いかにも「伊丹存続」という結論ありきの懇親会、という気がしました。
もっとも、兵庫県サイドの予測、といえばそれまでですが、その程度の信憑性、といった方が正解でしょう。
さてこの案、国サイドがどう捉えるのか。
国交省自体は伊丹存続の意向があるようですが(国直接管理の空港だから当然と言えば当然か)、果たしてこれで伊丹の存続が方針として定まったとしても、じゃあ関空補助金は、伊丹との経営統合で仕分けられてもよくなるのか。結局財務省や仕分人に付け入る隙を与えただけになるのでは、とも思います。
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