阪和線の沿線から

阪和線沿線に住まう管理人による、鉄道やバスなどのブログ。

阪堺線

阪堺線堺市内区間の現状が阪堺電軌Webサイト内に掲載される

このブログで継続的にご紹介している阪堺線の堺市内区間(我孫子道〜浜寺駅前)ですが、経営状況が苦しいことはこれまで幾度かご紹介してきたとおりです。
この経営の現況について、阪堺電軌自らがWebサイト内で主だったデータ等を掲載することとなりました。

阪堺線堺市内の現状について(阪堺電気軌道Webサイト)

上記資料では、阪堺線堺市内区間の乗客の減少はもとより、同区間の営業赤字が毎年約2億円といった内容が掲載されています。
また、この区間の存続を収支的に成立させるために、「費用の低減」(公有化)や「増収支援策等による収入増」が必要とされています。
収入の3割増は、現在の路線状況では、堺東・堺双方に結ばれていない現況、なかなか難しい面もあるのかな、と感じました。
逆に言えば、これらのターミナル駅へ直結することができれば、またバス等との連携で間接的にも結ぶことができれば、乗客の増加はできなくないのかな、とも感じました。

一方の公有化は、これがむしろ阪堺線堺市内の存続を根本的に解決する方策だ、と個人的には思うのですが、もっともこの方策そのものを竹山現市長は否定していますので、実現の可能性は、現時点では低いのかなとも思います。

ところで、上記資料の最初には、次のように記されています。
今後、引き続き当社が考える阪堺線堺市内の意義、将来に向けた展望などをご報告したいと考えております。

「将来に向けた展望」とありますが、目下の状況で、どのような「展望」が描けるのか。
もはや阪堺単独では営利企業として存続が限りなく厳しい状況が、具体的な数値データとして突きつけられています。

とすれば、行政・住民にとって、阪堺線を営利的にではなく「公共的に」存続させるか否かを判断する必要があるのか、と思います。
仮に存続するとすれば、補助金や公有化といった財政的な公的支援が避けられない。それを行政・住民が是とするか否とするか。
繰り返し述べてきているように、結局は行政・住民がその判断を下すところにきています。

今回のデータは、そういう点について、具体的なデータが出てきた点、つまりもう阪堺自体が民間企業としてこの区間を存続させていくことが事実上無理、ということを世間に知らしめた(これまではあまり具体的な議論がなされずにいた)という点では、存廃問題に一石を投じた、といってもいいのかも知れません。

続いて阪堺電軌側から出される資料がどういうトーンで書かれるのか、という点も気にしながら続報を待ちたいと思います。

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【お知らせ】阪堺線電車内ワークショップイベントが開催されます

このブログでも度々ご紹介している阪堺線の存続問題ですが、このブログからもリンクを張らせて頂いているKOALA都市創生交通ネットワーク@関西さんが下記のとおり阪堺線ワークショップイベントを開催されるとのことですので、当ブログでもご紹介したいと思います。

阪堺線電車内ワークショップイベント開催のお知らせ(KOALA都市創生交通ネットワーク@関西)

イベントの概要は次の通りです。(下記はKOALA様の記事からの一部引用です。)

イベントの概要:

名称:阪堺電車deワークショップ 阪堺電車存続のための秘訣
主催:都市創生交通ネットワーク@関西(KOALA)
日時:2010年3月14日(日) 14:40〜17:30
会場:阪堺電車天王寺駅前停留所に集合し、貸し切り電車で天王寺−浜寺駅前間を往復します。
参加方法:事前申し込み必要(Eメール・FAXを予定)
参加費:2,000円
定員:30名(定員に達し次第締め切ります)

プログラムについて:

講師に伊藤雅先生(和歌山高等専門学校准教授、KOALA顧問)を招き、市民運動によって存続に成功した和歌山電鐵貴志川線の経験についてご講演いただきます。その後、参加者全員で、阪堺線存続に対して市民が出来ることは何かについて討論します。

貸し切り電車は、天王寺駅前を15時に出発し、約45分かけて浜寺駅前へ向かいます。浜寺駅前で約20分のトイレ休憩をとり、途中我孫子道でのトイレ休憩をとりながら、17時20分ごろに天王寺駅へ戻り解散となる行程です。
(講師は先生のご都合により変更される場合があります。)


阪堺線の貸切列車は、阪堺電軌のWebサイトでも紹介があるように、約55,000円で貸し切ることができるのですが、今回のワークショップもこの貸切列車を使用したものとなっているようです。
また、実際に阪堺線を利用したワークショップですので、阪堺線の利用促進にも微力ながら貢献できるイベントともなっていると感じました。

定員が30名とやや少なめなので、興味のある方は是非早めに参加申し込みを行っていただければと思います。
なお、このイベントの詳細・参加申し込み等は上記KOALA様のサイトをご確認下さいますよう、お願いいたします。

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堺市役所、平成22年度当初予算案に阪堺電軌への補助金1億6千万円計上

この時期になると、大手新聞の地方欄に各自治体の当初予算案の記事が掲載されています。
実は今朝の産経新聞には我がまち阪南市の記事も掲載されていました。
(この記事を書いている時点ではWebにアップされていない模様ですが・・・)

さて、そんな中堺市の当初予算案が発表されましたが、その中に阪堺線への補助金が1億6千万円計上されていた旨、朝日新聞Webページに掲載がありました。

阪堺線存続問題、堺市が補助金1億6千万円計上(朝日新聞Webページ)

上記朝日新聞の記事によると、補助金1億6千万円のうち、1億2千万円は枕木・レールなどの改修、4千万円は阪堺線と道路の交差点の改良工事に充当するとのことです。

ちなみにこの予算ですが、財政課長・財政局長査定ではゼロだったものが、市長査定で予算がついたことは、下記のリンク先より確認することが出来ます。
重点施策の予算編成過程(堺市役所:平成22年度当初予算編成過程Webページ)
(6ページ目の5行目、『路面電車活性化事業』が該当します。)

ところでこちらの資料をご覧になると、この補助金が阪堺線支援の方向性が定まるまで、予算の執行は留保されるという条件付きとなっていることが確認できます。
最終査定額及び査定の考え方(堺市役所:平成22年度当初予算編成過程Webページ)
(5ページ目の8行目)

結局、予算案が通ったとしても、すぐに執行して阪堺に補助ができる訳ではなく、支援の方向性を固めないと執行できない訳でして、この事業が予算計上できたからといって、堺市役所内で阪堺線の存続方針が固まったと考えるのは早計ともいえるでしょう。

ともあれ、これはあくまで予算「案」ですので、議会に提出後、どういった議論がされるのか、21年度の補正予算の時のように、議会での議論をまたフォローできればと思っています。

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堺市、LRT計画の中止を南海・阪堺両社に申し入れ

堺市LRT計画については、先の市長選挙でLRT計画中止を訴えた竹山新市長が当選したことから、今後の動きが焦点となっていましたが、中止に関する初めての具体的な動きが報じられました。

次世代型の路面電車、堺市が中止申し入れ(読売新聞Webページ)

今回中止を申し入れたのは、公約通り東西線(堺東駅前〜堺駅前)および阪堺線(我孫子道〜浜寺公園)の各区間でして、計画ではLRT化の上、直通運転をすることで中心市街地の活性化に寄与しようというものでしたが、中止を訴えた竹山氏が当選した結果、当然のごとくではありますが中止の申し入れがなされた次第です。

この点は、選挙結果が結果だけに別に驚くべきことでもないとは、半分皮肉を込めて思っていますが、この記事では同時に阪堺線の存続に関しても次のように記していました。

赤字が続き、LRT化での経営改善を目指していた阪堺線の今後の存続策については、市と阪堺側で検討を続ける。


前にも同じことを書いているのですが、果たして、竹山市長をはじめとした市側は、この中止となったこLRT直通計画を上回る改善策を、阪堺線の存続策として立案できるのでしょうか。正直に疑問に思うところです。
すぐに廃止、ということでも無いのかも知れませんが、出てきた案があまりにも見るに耐えないものならば、即刻廃止決定、というのもあり得るのかな、と思います。

そういう意味では、市側の姿勢をゆっくり拝見させてもらおう、そう感じたりもしたニュースでした。

阪堺線堺市内の廃止検討についての記事(産経新聞)

先日の堺市長選挙で現職を大差で下し新市長となった竹山氏がマニフェストとして唱えている「堺市LRT計画の東西線中止」ですが、これがそのまま既存の阪堺線堺市内区間の廃止に結びつくというのではないか、というのは既に述べてきたとおりですが、これに関して産経新聞が記事を掲載していたので、ご紹介します。

大阪唯一の「チンチン電車」が消える? 阪堺電気軌道阪堺線(MSN産経ニュース)

記事は、これまで私や他のブログでこの問題を取り上げてきた方の投稿と同じように、阪堺電軌が堺市内区間の廃止を検討していたこと、それを受けて堺市ではLRT計画において阪堺線と一体的に整備すること(即ちそれが阪堺線堺市内の廃止に対する支援としての意味合いがあるとも言えるでしょう)、そして竹山新市長の当選により堺市LRT計画東西線の中止、そして阪堺電軌の堺市内区間の存続についても微妙な状況である点を記しています。

また阪堺電軌自体の問題として、現状の収支状況が続けば2年後にも経営破綻の可能性もあり、「しっかりした支援がないと、廃線を決断せざるをえない」(阪堺電気軌道)ともあり、阪堺線堺市内のみならず、同社自体の命運もかかっていることも記されています。

私も当ブログで記していますが、平成15年の時点で阪堺線堺市内区間の廃止は表明されていたことから、この堺市LRT計画が中止となれば、同区間の廃止が焦点になることは十分予測がついていました。
私が一つ疑問に思っていたのは、平成15年の時点での廃止意向をマスコミ自身が報道したのにもかかわらず、今回の堺市長選挙において争点の一つであった堺市LRT計画の是非について論ずる際、この問題について触れられていなかった点です。
仮に、堺市LRT計画が、阪堺線とのセットであること、そしてその阪堺線が既に廃止も検討されていた事実が市民に伝わっていれば、この計画に対する意見はもう少し違ったものになっていた可能性も皆無とは言えないかも知れません。
もっとも、そういう事実をあまり積極的に広めてこなかった堺市側にも問題があるとえばあるのかも知れません。

これはマスコミについても同様に言えることでして、勿論「堺市LRT計画中止=阪堺線堺区間廃止」と単純に結びつけることは無理ですが、堺市LRT計画とリンクして、阪堺線の廃止問題もあり、それをひっくるめて一体運営という計画になった、という文脈を報じていたマスコミは皆無と記憶しています。
なぜにこの論点をマスコミが避けていたのか、今ひとつ合点がいかない点も無きにしもあらずですが・・・

ひるがえって考えてみるに、「堺市LRT計画中止」を訴えて当選した竹山氏は、この阪堺電軌側の一連の動きを知った上で敢えて堺市LRT計画中止を訴えたのか、それともそういう深い考えは皆無で、単に現職が推進してる事業なので中止を訴えることで自分のカラーを打ち出し、無駄な計画の典型例として打ち出し易いということで訴えたのか、果たしてどちらなのでしょうか。

前者なら、もっと素晴らしい阪堺線存続プランがこれから出てくるのか。(少なくともマニフェストにはそんなことは記されていませんでしたが・・・)プランがあるのなら、勿体ぶらず早くだして欲しいものです。
一方後者なら、そもそもこういう素人でも容易に理解できる環境さえも考慮に入れずにマニフェストを作成する点、政策立案能力に疑念抱かずにはいられない、とも言えるかも知れません。

もっとも、最終的な責任は、そういう市長を深く考えずに選んだ堺市民が負うべきだ、という議論もあるでしょうが、自分自身の感想としては、都市再生や市内の公共交通網の整備の観点からの論点が十分出尽くしていないうちに選挙で選択を迫られた、とも思われ、住民自体も果たしてこういう方向性に十分納得できているのか、ちょっと気になる点とも言えます。

ともあれ、堺市としては折角LRTによる既存軌道と中心市街地の再生というまたとない都市再生プランを中止するだけでなく、既存軌道そのものが失われかねないという最悪な事態が待ちかまえています。
路面電車を都市再生ツールとして用いようという、昨今の都市再生モデルとは真逆を進もうとしている堺市。
果たしてそれがどのような結果を生み出すのかはもう少し経ってから分かることかも知れませんが、今は阪堺線堺区間の廃止が現実化したときに竹山市長がどういう施策を取るのか、という点に注目したいと思います。
それによって、公共交通のみならず、市政の他の分野でのこの新市長の力量が見えてくるとも考えられます。言わば竹山市政の試金石、あるいはリトマス試験紙とも考えていいのかも知れません。
個人的には、「リトマス試験紙」で済ませることができるような問題ではない、とは思っているのですが・・・

この問題、まだ続いて報道があるかと思いますので、逐次ご紹介したいと思います。続きを読む

竹山新堺市長、阪堺線の存廃について言及

新人の竹山氏が当選した堺市長選挙。
先日のエントリーでも述べたとおり、堺市LRT計画は中止のマニフェストを掲げての当選となりました。

そうすると、既存の阪堺線の扱いが気になるところでして、一昨日のエントリーでも、そのあたりを中心に述べましたが、竹山氏が阪堺線の存廃問題をどのように考えているのか、これまでの報道では全く触れられていませんでした。

この問題について、本日の読売新聞に恐らく始めて触れたと思われる記事が掲載されていました。

堺市長選 竹山氏に証書(読売新聞Webページ)

阪堺線について言及されている部分はこちらの通りです。
読売新聞のインタビューに対する回答です。
 竹山氏は読売新聞のインタビューに応じ(略)公約で、市中心部の整備中止を表明するLRT(次世代型路面電車)は「鉄道を1本引くだけで活性化する訳がない」と強調。市の計画には阪堺電気軌道のLRT化が含まれ、赤字が続く同軌道をテコ入れする狙いもあるが、「阪堺線はぜひ残したいし、支援策も検討するが、すべて公でやる話ではない」とした。
平成21年9月29日 読売新聞Webページ
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/osaka/news/20090929-OYT8T00067.htm

「阪堺線は是非残したいし、支援策も検討する」とあります。
しかし、既に6年前に廃止を表明している阪堺電気軌道の方針を覆すだけの支援策が果たして提示できるのか。

それに続く「すべて公でやる話ではない」とありますので、恐らくこれまでの堺市LRT計画のスキームであった阪堺線区間の「公有民営」を否定するニュアンスではないかと推測されます。
(もっとも堺市LRT計画でも、すべて公でやるわけでは無いわけですが)

ともあれ、今後竹山氏がどのような阪堺線の支援策を打ち出すのか。
また、一方の当事者である南海・阪堺グループが、堺市LRT計画中止の正式決定とともにどのような動きするのか。

堺市LRT計画は中止になると思われますが、今後の阪堺線の方針も含めてしばらく目を離すことができない話題となりそうです。続きを読む
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