阪和線の沿線から

阪和線沿線に住まう管理人による、鉄道やバスなどのブログ。

LRT

堺市役所、平成22年度当初予算案に阪堺電軌への補助金1億6千万円計上

この時期になると、大手新聞の地方欄に各自治体の当初予算案の記事が掲載されています。
実は今朝の産経新聞には我がまち阪南市の記事も掲載されていました。
(この記事を書いている時点ではWebにアップされていない模様ですが・・・)

さて、そんな中堺市の当初予算案が発表されましたが、その中に阪堺線への補助金が1億6千万円計上されていた旨、朝日新聞Webページに掲載がありました。

阪堺線存続問題、堺市が補助金1億6千万円計上(朝日新聞Webページ)

上記朝日新聞の記事によると、補助金1億6千万円のうち、1億2千万円は枕木・レールなどの改修、4千万円は阪堺線と道路の交差点の改良工事に充当するとのことです。

ちなみにこの予算ですが、財政課長・財政局長査定ではゼロだったものが、市長査定で予算がついたことは、下記のリンク先より確認することが出来ます。
重点施策の予算編成過程(堺市役所:平成22年度当初予算編成過程Webページ)
(6ページ目の5行目、『路面電車活性化事業』が該当します。)

ところでこちらの資料をご覧になると、この補助金が阪堺線支援の方向性が定まるまで、予算の執行は留保されるという条件付きとなっていることが確認できます。
最終査定額及び査定の考え方(堺市役所:平成22年度当初予算編成過程Webページ)
(5ページ目の8行目)

結局、予算案が通ったとしても、すぐに執行して阪堺に補助ができる訳ではなく、支援の方向性を固めないと執行できない訳でして、この事業が予算計上できたからといって、堺市役所内で阪堺線の存続方針が固まったと考えるのは早計ともいえるでしょう。

ともあれ、これはあくまで予算「案」ですので、議会に提出後、どういった議論がされるのか、21年度の補正予算の時のように、議会での議論をまたフォローできればと思っています。

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

堺市LRT計画、堺市が南海に計画中止を正式申し入れ

このブログでも逐次ご紹介している堺市のLRT計画・阪堺線の存続問題。
先日新しい動きがあり、竹山市長が南海電鉄に対し正式に計画の中止を申し入れました。
南海側は「中止は市長の公約であり、やむを得ないと考えている」として、これを承諾しました。
これと同時に南海側は、堺市に対して阪堺線の支援策の提示を要請しました。

市長が計画中止を正式申し入れ…どうなる、堺市のチンチン電車(msn産経ニュース)

今更正式な中止の申し入れ、というニュースを聞いて、まだ正式に言っていなかったんやなあ、と少し驚きましたが、内容は結局のところ、堺市側が存続に関する検討委員会を立ち上げ、市民や有識者の声も参考にして決めたいとしているのに対し、南海・阪堺側は公設民営化がベストソリューションだったとしており、両者の溝は狭まりそうにありません。

もう一つ気になったのは、支援策の提示までのタイムリミットです。
上記産経の記事では、次のように記されています。
 支援策の“タイムリミット”についても、竹山市長が「秋ごろまでに示したい」とするのに対し、阪堺側は「年度内にも暫定支援を」と要請。南海側も秋までに市の支援策を受けての結論を判断したい意向で、存続への危機感に温度差があるようだ。
当事者の阪堺側が年度内の提示を求めているのに対し、堺市側は秋までの提示を検討していて、これまた大きなズレがあります。

最悪、堺市の存続策を待たずに阪堺が廃止申請を行う、という可能性もなきにしもあらずでしょうか。
この産経の記事でも、「阪堺線に対する市の考えを示してほしいが、その間にも赤字が拡大する」(阪堺側のコメント)とあるように阪堺側には待ったなしの状況ですから、そういうことも大いに考えられるかも知れません。

ともかく、堺市が正式に中止を申し入れたことから、これまで以上に更に堺市の交通政策、その中での阪堺線の位置づけ、そして具体的な支援策を提示できるかどうか、という点を早急に解決しなければならなくなりました。
果たしてそれだけの覚悟を竹山市長は持っているのか。それとも交通政策はどうでもよく、ただ単に自らのマニフェストを実現できればそれでいいのか。
私も注視しておきたいと思いますが、ここは堺市民の皆様にも是非ともチェックして欲しいところだと思っています。

堺市LRT計画関連予算の減額が市議会建設委員会で否決、本会議でも否決の見込み

堺市LRT計画については、新市長当選・計画中止の経緯はこのブログでも述べてきたところですが、今回の堺市議会では計画中止にともない、当初予算にて計上されていたLRT計画実施関連の予算を減額する補正予算案が提出されていました。

「補正予算」というと、先般のエコポイント・景気対策関連予算でもイメージされるように、年度はじめの予算に対して追加計上する予算というイメージが大きいとは思いますが、逆に今回のように、年度途中で方針見直しによって執行しなくなった予算を減額することも、補正予算ではままあり得ることです。

ところでこのLRT関連減額の補正予算案が市議会の建設委員会で否決された旨、ニュースとして掲載されていました。

LRT中止 堺市議会委が予算否決(読売新聞Webページ)

市長はLRT中止を一つのマニフェストとして掲げて当選しましたが、市議会の方はLRT中止ということではなく、他に活性化の方策が具体的に見えてこないのにLRT計画を中止して予算を減額することはできない、という意向でしょうか。

これを受けて、市議会の4会派は、LRT中止に伴う減額を取りやめる補正予算案の修正案を本会議に提出するとのニュースも掲載されていました。
堺市長“公約”LRT中止、議会4会派は認めず整備費予算提出へ(MSN産経ニュース)

「民意」という点で言えば、市長も市議会議員も選挙で選ばれているだけに、これだけ見てもどっちが民意なのか捉えづらい問題とも言えます。
(勿論ここでは、市長と市議会の定員や選挙時期の違いといった点は考慮に入れず、ただ単に代表を選ぶ間接民主主義が民意を反映しているはずだ、という点から述べています)

任期はじめの本格的な市議会から出端をくじかれつつある竹山市長ですが、これからどうLRT計画中止に漕ぎ着けようとしているのか。
また、市議会の反対(ここでは反対の反対になりますね)にあい、結局何らかの形でLRT計画を実施することとなるのか。
そして、阪堺線存続への方策はどのように打っていくのか。

もうしばらく市議会と市役所との議論の行く末をみていく必要もあるのかな、と思います。
ちなみに本会議の提出は本日24日となっています。近日このニュースの続報をお届けできるかも・・・

にほんブログ村 鉄道ブログへ
にほんブログ村

堺市堺浜方面への鉄軌道、今度はニュートラム延伸という「奇策」

ことあるごとに取り上げている堺市のLRT計画を中心とした公共交通関連の話題です。
先のエントリーでは、堺浜方面への延伸について、LRTだけでなく、地下鉄四つ橋線の延伸を検討している旨、ご紹介しました。
本日ご紹介するのは、この計画についてでありますが、何とこの延伸に、ニュートラムを利用しようということを、竹山市長は言い出しています。

建設費、地下鉄の半分 ニュートラムを堺へ…堺市長が提案(読売新聞Webページ)

続きを読む

阪堺線堺市内の廃止検討についての記事(産経新聞)

先日の堺市長選挙で現職を大差で下し新市長となった竹山氏がマニフェストとして唱えている「堺市LRT計画の東西線中止」ですが、これがそのまま既存の阪堺線堺市内区間の廃止に結びつくというのではないか、というのは既に述べてきたとおりですが、これに関して産経新聞が記事を掲載していたので、ご紹介します。

大阪唯一の「チンチン電車」が消える? 阪堺電気軌道阪堺線(MSN産経ニュース)

記事は、これまで私や他のブログでこの問題を取り上げてきた方の投稿と同じように、阪堺電軌が堺市内区間の廃止を検討していたこと、それを受けて堺市ではLRT計画において阪堺線と一体的に整備すること(即ちそれが阪堺線堺市内の廃止に対する支援としての意味合いがあるとも言えるでしょう)、そして竹山新市長の当選により堺市LRT計画東西線の中止、そして阪堺電軌の堺市内区間の存続についても微妙な状況である点を記しています。

また阪堺電軌自体の問題として、現状の収支状況が続けば2年後にも経営破綻の可能性もあり、「しっかりした支援がないと、廃線を決断せざるをえない」(阪堺電気軌道)ともあり、阪堺線堺市内のみならず、同社自体の命運もかかっていることも記されています。

私も当ブログで記していますが、平成15年の時点で阪堺線堺市内区間の廃止は表明されていたことから、この堺市LRT計画が中止となれば、同区間の廃止が焦点になることは十分予測がついていました。
私が一つ疑問に思っていたのは、平成15年の時点での廃止意向をマスコミ自身が報道したのにもかかわらず、今回の堺市長選挙において争点の一つであった堺市LRT計画の是非について論ずる際、この問題について触れられていなかった点です。
仮に、堺市LRT計画が、阪堺線とのセットであること、そしてその阪堺線が既に廃止も検討されていた事実が市民に伝わっていれば、この計画に対する意見はもう少し違ったものになっていた可能性も皆無とは言えないかも知れません。
もっとも、そういう事実をあまり積極的に広めてこなかった堺市側にも問題があるとえばあるのかも知れません。

これはマスコミについても同様に言えることでして、勿論「堺市LRT計画中止=阪堺線堺区間廃止」と単純に結びつけることは無理ですが、堺市LRT計画とリンクして、阪堺線の廃止問題もあり、それをひっくるめて一体運営という計画になった、という文脈を報じていたマスコミは皆無と記憶しています。
なぜにこの論点をマスコミが避けていたのか、今ひとつ合点がいかない点も無きにしもあらずですが・・・

ひるがえって考えてみるに、「堺市LRT計画中止」を訴えて当選した竹山氏は、この阪堺電軌側の一連の動きを知った上で敢えて堺市LRT計画中止を訴えたのか、それともそういう深い考えは皆無で、単に現職が推進してる事業なので中止を訴えることで自分のカラーを打ち出し、無駄な計画の典型例として打ち出し易いということで訴えたのか、果たしてどちらなのでしょうか。

前者なら、もっと素晴らしい阪堺線存続プランがこれから出てくるのか。(少なくともマニフェストにはそんなことは記されていませんでしたが・・・)プランがあるのなら、勿体ぶらず早くだして欲しいものです。
一方後者なら、そもそもこういう素人でも容易に理解できる環境さえも考慮に入れずにマニフェストを作成する点、政策立案能力に疑念抱かずにはいられない、とも言えるかも知れません。

もっとも、最終的な責任は、そういう市長を深く考えずに選んだ堺市民が負うべきだ、という議論もあるでしょうが、自分自身の感想としては、都市再生や市内の公共交通網の整備の観点からの論点が十分出尽くしていないうちに選挙で選択を迫られた、とも思われ、住民自体も果たしてこういう方向性に十分納得できているのか、ちょっと気になる点とも言えます。

ともあれ、堺市としては折角LRTによる既存軌道と中心市街地の再生というまたとない都市再生プランを中止するだけでなく、既存軌道そのものが失われかねないという最悪な事態が待ちかまえています。
路面電車を都市再生ツールとして用いようという、昨今の都市再生モデルとは真逆を進もうとしている堺市。
果たしてそれがどのような結果を生み出すのかはもう少し経ってから分かることかも知れませんが、今は阪堺線堺区間の廃止が現実化したときに竹山市長がどういう施策を取るのか、という点に注目したいと思います。
それによって、公共交通のみならず、市政の他の分野でのこの新市長の力量が見えてくるとも考えられます。言わば竹山市政の試金石、あるいはリトマス試験紙とも考えていいのかも知れません。
個人的には、「リトマス試験紙」で済ませることができるような問題ではない、とは思っているのですが・・・

この問題、まだ続いて報道があるかと思いますので、逐次ご紹介したいと思います。続きを読む

竹山新堺市長、堺浜地区への四つ橋線延伸について言及

昨日に引き続き、竹山新堺市政におけるLRT計画等について報道記事が出ていましたので、ご紹介します。

竹山・次期堺市長、LRT計画全面見直し(日経新聞Webページ)

大小路通り(堺東駅前〜堺駅前)は中止、というのは読売新聞の記事と同じです。問題は次の部分。
計画区間のうち地元の異論や採算面から市街地の堺東駅―堺駅間を中止するほか、シャープの液晶パネル新工場が立地する堺浜―堺駅間についてはLRTと並行して、大阪市営地下鉄の延伸による整備を検討する。

平成21年9月29日 日本経済新聞Webページ
http://www.nikkei.co.jp/news/retto/20090928c6b2802r28.html

「大阪市営地下鉄の延伸?」
もしかして住之江公園から四つ橋線を延伸させてくるのでしょうか。他に選択肢がありそうにもないので、恐らくそういうことでしょうか。

それにしても政策のセンスを疑ったのは、なぜに地下鉄?しかも大阪市内から直接延伸(つまり堺市にはメリットが少ない)なのか?といった点です。

自明の通り、距離あたり建設費用ではLRTよりも地下鉄の方が高くつきますし、恐らく維持費用も地下鉄の方が高くつくでしょう。
LRTのLRはライト(軽い)レールの略で、対する概念がヘビー(重たい)レールといいますが、ライトとヘビーの差は、建設・維持コストにそのまま跳ね返ってくることくらい、御存知だとは思うのですが・・・

もしかしたら、「地下鉄建設には国庫補助が適用されるので、堺市の負担はこんなに少なく済みますよ」なんていう論理を導き出そうとしているのでしょうか。
それはそれで、隠れた堺市民の負担(堺市民は国税も払っているわけですから)と批判される点といわざるを得ないでしょう。
また、LRTにしてみても、全額堺市負担という訳でもなく、一部国庫補助が使える余地はあったのですが、そんな議論が生まれることは決してありませんでした。
参考:国土交通省 LRTシステム整備費補助(PDFファイル)

ちなみに、地下鉄建設のための国庫補助は、地下高速鉄道整備事業費補助等がありますが、詳細は、こちらのページを見て頂ければと思います。

もう一つ疑問に思うのは、この地下鉄は「大阪市交通局」四つ橋線(正式には高速電気軌道3号線と呼ぶそうです。出典:Wikipedia)でして、大阪市が運営している路線であること。
仮に建設するとなると、大阪市との協議が必要ですし、それは費用負担の問題も絡んできます。
LRTでも済む程度の需要予測に対し、四つ橋線(6両編成)の延伸したとしても、運営が苦しくなるのは目に見えているわけでして、いくら堺市からのオファーがあったとしても、大阪市としては易々と乗りたくないのは確かでしょう。

仮に建設費の地方公共団体負担分を大阪市が拠出せずに済んだとしても、運営に関して大阪市交通局が担うとすれば、収入から費用の差額が赤字の場合はどう対応するのか。
まさか大阪市交通局の内部補助で、ということになると、大阪市はまず黙っていないでしょう。
その辺の懸念に対する詰めも甘すぎる、しかも他の基礎自治体が絡んでくるのに、と言う話です。

また、堺市内の活性化という観点では、住之江公園から直接延伸延伸してきたとしても、堺市内北西部をちょっとかすめるだけになり、堺市内の主要部への面的ネットワークは期待できないでしょう。それこそ、「シャープ地下鉄」と揶揄される元となりかねません。

別にシャープのために交通手段を整備するのは悪くないのですが、同じ整備するんだったら、シャープ以外の堺市民にも便益が供される整備手法があるわけですので、自治体の首長としてはそういう「一石二鳥」を考えて政策提案するのが当然なのに、四つ橋線の延伸は、そういう志向に真っ向から反するのでは、と思ってしまうわけです。

LRT計画について大小路通りの中止は、住民説明会でも反対意見もあり、それを根拠に中止をマニフェストに掲げる、というのはまあ分かります。
しかし、当選後、堺浜地区の交通整備に関してこういう考えを提示してくるとは、この新市長の交通政策に関するセンスを疑いたくなるようなお話です。

四つ橋線の延伸がどこまで本意で話しているものなのか、知るよしもありませんが、ともあれ、マスコミに対してこういう話をするという政治家のセンス自体、一事が万事、と思ってしまった、今日の記事でした。

堺市長選挙の続報。立候補予定者のWebページが全て揃ったようです

衆議院議員選挙・阪南市議会議員選挙と選挙がらみのエントリーが続きますが、こうもこのブログに関係する選挙が続くというのも偶然なのか何なのか分かりませんが、今日は堺市長選挙の関連エントリーです。

このブログでもご紹介しているとおり、堺市長選挙は9月27日に実施されますが、今回の市長選挙では、堺市LRT計画が選挙の争点の一つになることはほぼ確実と思われます。
以前のエントリーで、市長選挙立候補予定者の顔ぶれをご紹介しましたが、しばらくこちらの情報もフォローしていないうちに、4立候補予定者のWebページが全て出そろっていたので、改めて取り上げます。

堺市長 きはら敬介 ウェブサイト

井関たかし公式サイト

堺市 竹山おさみ(竹山修身)21世紀フェニックス都市を創造する会

堺市長選挙 小林ひろし | 住みよい堺市をつくる会

各立候補予定者の政策は上記Webページをご覧いただければと思います。

前回エントリー時以降の動きを簡単にご紹介します。

橋下知事、堺市長選の相乗りを批判 「なぜ戦わぬ」(朝日新聞Webページ)

 大阪府の橋下徹知事は8日、9月の堺市長選についてで「政治、行政で最悪なのは、なれ合い。自民党、公明党、民主党は国政で戦っているのに、なぜ堺市で戦わないのか」と述べ、与野党が相乗りで木原敬介市長を推そうとしていることを批判した。

 橋下知事はこの日、市長選に立候補表明している元大阪府部長の竹山修身氏の応援で街頭演説。「戦いのないところは緩む。政治や行政は戦い続けなくてはならない」と訴えた。この発言に対し、市議会の与党会派は「国政と市政は違う」などと反発している。
平成21年8月9日 朝日新聞Webページ
http://www.asahi.com/kansai/news/OSK200908090021.html


橋下府知事は、もと部下の竹山氏支持のようです。自公民相乗りで木原現市長を推す動きに対する批判しています。

衆議院選挙が終わると、こちらもヒートアップしてくると思いますが、逐次情報をフォローできればと思います。

堺市LRT計画、住民との合意形成に難航中。明日3ヶ月半ぶりに住民説明会実施

このブログでも逐次ご紹介している堺市LRT計画。
このブログの堺市LRT計画関連カテゴリーの過去記事を読んで頂ければ、計画の概要はお分かりいただけると思います。
計画案も明らかになり、平成21年度の執行予算も可決され、いよいよ目に見えて動き出すのか、と思いきや、地元地区の説明会で合意形成に難航している旨は、こちらの記事にてご紹介しました。

今日の話はその続きで、2月に一度だけ実施された説明会ですが、今月の6日、即ち明日に再び実施するとの記事が出ていました。

堺のLRT 道のり険し 採算性や交通規制...疑問視(産経新聞Webページ)
堺市LRT 沿線住民の調整難航(読売新聞Webページ)

6日の説明会は、前回2月に説明会を実施した市(いち)小学校校区で、更に参加者を絞って線路沿線の自治会を対象に実施するとのことです。

前回の議事録は私も見てみました。難航している理由は、「LRTそのものの事業効果」「一方通行化に代表されるような道路交通の制限に対する不満」という2点に代表されるのかな、と思います。

前回の同じ問題でも論じたように、最終的には地元住民が決定する問題ですので、外野の私がとやかく言える立場ではないことは十分承知の上ですが、やはり大小路通地区の活性化のためにはLRTという「武器」で「武装」して、郊外商業施設に「戦う」必要があるのではないか、そのまたとないチャンスでは、と思います。何だか武装とか戦うとか、えらく戦闘的な表現になっていますが、人口減少のトレンドの中、街の活性化は他の地域からどれだけ人を呼び込めるか、まさにゼロサムゲームの戦いなわけです。

それだけの危機感を持ってこの問題を考えている住民がどれだけいるのか、というのも疑問がつきますし、また逆に堺市当局にしても、それだけの戦略的なプランを練って説明することが大事だと思います。
実際、特にヨーロッパではLRTと街づくりとを有機的にリンクしている例はあります。不幸にも各種メディアでは、ヨーロッパのそんな姿はあまり日本では紹介されることがないこともあり、日本人にとってはいまいち実感が湧かない点はあるかと思います。それだけに市当局には明確かつ丁寧な説明が必要だと思います。トータルで街の価値が上がれば、多少の不便は受容してもよい、そんな計画であり、そう思わせるアプローチでないと、合意形成は難しいのかなとも思います。
<6月5日追記:とはいえ、どういう不便が受容でき、受容できない不便は何かを整理し、計画を修正していくことも必要と思います。>

勿論、住民の側も、街が活性化するまたとない機会ですので、この際徹底的に研究し、堺市の言うところは認める、ダメなところはダメ、とはっきり理論的・具体的に指摘していけば、計画案の修正も無理な話ではないと思います。(あくまでも「案」ですので・・・)

ただ、議事録を読んでいると、皆が皆反対、というものでもなく、LRTがまちづくりの戦略的手段ということを理解して発言されている方も見受けられました。ただ、この事業の妥当性はともかく、その進め方に対する堺市の姿勢について疑念を持たれていた方もおられました。
一方で、堺浜(シャープの工場が建設されます)への路線建設を早期化する必要があるとの声もあり、なかなかそういう意味では興味深い議事録でした。

ともかく、この問題は、単に堺市だけの問題でなく、同じような中心市街地空洞化の問題を抱えている地方都市でのLRT導入が広まるかどうかの試金石にもなってきているので、市当局・住民双方が同じ方向性を共有して、その中で解決すべき問題を建設的に話し合ってほしいと思います。
法的効果を持つのは、法定協議会が出来てからオフィシャルなものとなるとも思われますが、それが建設的なものになるよう、今からでも遅くはないのですが、決して早くはない、ボタンの掛け違いを修正していくべきと感じました。

追記:
以前の記事でトラックバック送信したのですが、何故か反映されていないようなので、リンクを張っておきます。
堺市の交通まちづくりを考える(楽天ブログ)
続きを読む

LRTについての話題、2題

Yahoo!の地方交通ニュースカテゴリーで、こういう記事を見つけました。

【明解要解】路面電車、減るか増えるか 世界では復活傾向(Yahoo!ニュース、元記事:産経新聞)

記事の内容は、富山ライトレールと名鉄岐阜市内線の例を元に、国内で検討されているLRTと、逆に廃止された路面電車もあるという切り口で、昨今のLRTに関する話題をまとめているというものです。

このブログでも堺市LRT計画をもとに述べているように、LRTとは単に道路上に線路を敷いて低床車両を走らせることが目的ではなく、少子高齢化が進む中、従来型の郊外へ広がるまちづくりでは社会的コストの負担が重荷となるため、逆に中心市街地へまとまるまちづくり、いわゆる「コンパクトシティー」のまちづくりのための手段の一つといえるでしょう。
そういう意味では、日本のLRTに対する議論は、まだ「路面電車」の延長線上で止まっているものが多いような気がします。ただ、前述の富山市のように、富山ライトレールの建設時にそういうところまで踏み込んで議論してきている地域では、住民の理解度も高いとは思われます。

勿論、上記のような考えでLRTを設置するわけですから、採算性を重んじる収益事業、という観点よりはむしろ都市の機能の一つとしての公共インフラ事業という考え方を取らざるを得ないわけでして、勿論事業収益性を無視するわけにはいきませんが、だからといって収益が上がらないので無駄な事業、と決めつけられるものではありません。
ただ、そのためには、建設・運営のための社会的な合意が必要かな、とは思っています。
それがどのような形で取られることが必要なのか、市議会の議決で良いのか、住民投票まで踏み込むのか、それともまた別の形があるのか、それは各々の地域で判断するべき問題なのかな、とも思います。

さて、そんな風に、日本の国内でもLRTというまちづくりのシステムに対する議論が深まれば良いな、と思っていたら、同じカテゴリーにこんなニュースを見つけました。

LRT:「白紙撤回を」 29日に宇都宮で、反対する会が総会 /栃木(Yahoo!ニュース、元記事:毎日新聞)

宇都宮市でもLRTの計画があることは知ってはいましたが、既存の路線バス事業者との調整が難儀している(LRT計画区間が随一の収益路線である)というのは聞いたことがあります。
この「反対する会」は、そういう観点からの反対とはまた別で、ネット検索で引っ掛かった主張を要約すれば、公共事業の一種であるLRTは無駄でもっと他に税金を使うべきでは、という論調のようです。

私なりのとらえ方からすれば、LRT事業自体「公共事業」という認識をもっているので、それだけに、LRTだけでなく、今後の地域のまちづくり自体をどのように考えているのか、というのが論点と思っています。
先に述べた「コンパクト化」を目指すのに必ずしもLRTが必要、というわけではなく、それは都市の規模や他の交通機関の整備状況、その他地理的条件により必要か不要か判断していくべき問題で、単に「無駄な公共事業」という一点で計画を無に帰するのは、まちづくりの目指す方向性にもよりますが、稚拙な結論とも言えます。

もっとも、私自身が、JR宇都宮駅に降りたのは烏山線と日光線に乗りに行く際に途中下車しただけということからも分かるように、宇都宮市のことについては全く分かっていません。
まあ、その程度の知識の人間が書いている戯言、と思って頂いてもいいとは思いますが、ともあれ、LRTとは従前の路面電車とは違うものという認識が定着すればいいな、と思ったりもしたニュースでした。

他の鉄道関係ブログはこちらから。
にほんブログ村 鉄道ブログへ

堺市役所、LRT視察旅行の参加者募集中(但し明日締め切り)

いやはや、明日締め切りのニュースを今になってエントリーするのは、何やら夏休みの宿題を始業式前日に慌てて済まそうとしている学生の姿にダブって見えるのは、十分承知の上でのエントリーです。

平成19年度 ヨーロッパLRT市民視察 参加者募集(堺市役所Webページ)

平成17年度より実施している市民参加の視察旅行ですが、今回は3回目の募集という事です。
訪問する都市はフランスのストラスブールとドイツのフライブルグ。どちらもLRTが発達している街で、特にストラスブールは、LRTが新規に建設された都市という事もあり、視察が絶えないという話を聞いた事があります。

さて、応募の資格は次の通りです。
1:堺市在住、満20歳以上(堺市職員は除く)
2:パスポートを取得済の方(または取得可能な方)
3:視察後に報告書の作成が可能な方

2、3はともかく、私の場合1の条件でアウトとなってしまいます。(以前は確かに堺市民でしたが・・・)

冒頭でも書いたとおり、締め切りは明日の16日に堺市役所必着で、1200字以内の論文を同時に提出して、これが第1次審査となります。
第2次審査の面接を経て参加者が決定されるとの事です。

ちなみにこの視察旅行、費用は約40万円ですが、半額は堺市が負担します。
逆に言えば、自己負担が約20万円発生するとの事。
しかも、公費を使った旅行という事もあるのか、かなりタイトなスケジュールとなっていてて、LRT関係の見学等を除くと殆ど自由時間というものは無さそうです。

ですので、申し込みする側も、それなりの覚悟、と書くと大袈裟かも知れませんが、ただの物見遊山ではないことを肝に銘じて応募する必要はありそうですね。

繰り返しますが、締め切りは、明日16日必着です。
当ブログのTwitterアカウント
ブログ「阪和線の沿線から」のツイッターアカウントです。更新情報の通知やコメントの受付などはこちらのアカウントをフォローして下さい。
記事検索
「鉄道コム」登録ブログはこちらをクリック
鉄道コム
Archives
Categories
にほんブログ村
PVアクセスランキング にほんブログ村
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

  • ライブドアブログ