阪和線の沿線から

阪和線沿線に住まう管理人による、鉄道やバスなどのブログ。

Suica

「Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命」を読む

このブログでもその動向を逐次フォローしている交通系ICカードですが、その代表格は何と言ってもJR東日本が中心となって普及させている「Suica」と断言して良いかと思います。
現在の発行枚数は約2,800万枚、交通系の利用可能エリアはJR東日本の首都圏・仙台・新潟地区だけでなく、他陣営との相互利用でICOCA・TOICA・PASMO・Kitacaエリアでの利用が可能ですし、電子マネー機能でもJR東日本の駅キオスク・コンビニ・駅ナカ店舗に始まり、各種コンビニやスーパーでも利用可能な上に、PASMO・ICOCA電子マネー取り扱い店舗での利用も相互利用による利用が可能となっていて、まさに東日本地区での生活に密着した交通系ICカードとなりつつある、そんな印象を持っています。

今回ご紹介する書籍は、そのSuicaのプロジェクトスタート時からサービスイン、そして相互利用と言ったSuicaの質・量の拡大展開に、まさに携わってきたJR東日本の社員(執筆当時の役職名はIT・Suica事業本部 副本部長)によって書き下ろされたものです。

Amazon.co.jp: Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命: 椎橋 章夫: 本

内容は、Suicaの開発プロセスやその拡大が中心となりますが、その中でSuicaがどのような位置づけで、またどのような将来像を持ってプロジェクトを進めていったのかが分かるところ、交通系ICカードに関心のある私にとっては、非常に興味がありました。
この本を読んで改めてSuicaが単なる乗車券の置き換えだけでなく、その背後にはJR東日本の抱える問題をどのように解決するか、またその解決策としてのICカード乗車券を会社としてのプロジェクトとしてどのように進めてきたのか、という生々しい内容が紹介されている点も、単にICカード乗車券の話としてではなく、企業・組織の一員として仕事をどのように進めていくのか、ということのケーススタディという観点としても読んでみても面白いかと思います。

詳細な内容はお読みただくとして、この本で関西の交通系ICカードの「ICOCA」「PiTaPa」に紹介されている節がありました。
ICOCAは交通系・電子マネー系いずれもSuicaが域外の交通系ICカードとの相互利用を初めて行った相手先です。そこでは、国鉄の分割民営化でバラバラになったJR各社が、ICカードで再び手を組むとは、歴史の繰り返しというか、感慨深いものだと記していましたが、そういう感慨深さを感じ取ることが出来るのも、筆者の国鉄時代の苦労があってからこそだと感じることができます。
また、PiTaPaに関しては、「画期的なカード」としながらも、「少し進みすぎている」としています。
これは勿論「ポストペイ」についてでありまして、定期券の買い換えが無くなるのは画期的だが、利用者が理解して、実際利用するためには地道なステップアップが必要としています。またポストペイを採用したのは、関西民鉄の投資環境、そして意地という表現で分析されていますが、それは関西在住の筆者からしても納得できる部分はあります。

ともあれ、発展を続ける交通系ICカード、書物になった時点で古い情報となることが多いなかで、その代表格のSuicaのこれまでの軌跡を理解する上で、参考になった書籍でした。

データ
書籍名:Suicaが世界を変える JR東日本が起こす生活革命
著者名:椎橋 章夫
出版社:東京新聞出版局
定価:1,200円

PASMO相互利用先拡大に難問。ところでPiTaPaのSuica相互利用はどうなった?

首都圏の民鉄・バスが加盟しているICカード乗車券・定期券である「PASMO」。
約2年前のサービス開始当初よりSuicaとの共通利用を前提としたシステムということもあり、発行枚数も順調に伸びていて、既に一千万枚以上発行されているようです。

ところで、このPASMOですが、現在相互利用できる相手先がSuicaエリアだけとなっていますが、それを他にも広げるかどうか、PASMO加盟各社間での意見の違いが表面化しているとの記事を見つけました。

首都圏「パスモ」エリア拡大に難問…大手と中小が平行線(gooニュース、元記事:読売新聞)

記事の概略としては、現在Suicaのみの相互利用先を拡大して欲しいとの利用者の声が、大手民鉄を中心に寄せられているものの、システム改修費用や、主に中小の会社からは関東以外のエリアの相互利用に対する必要性に対する疑問の声もあり、PASMO陣営内でまとまっていないとの内容です。

確かに、例えばICOCA利用者である私が、東京メトロや京急、東武や西武といった鉄道会社を利用することはままあると思われますが、では関東ローカルのバス会社の、それも空港バスや都市間バスならともかく、一般路線バスを利用する機会があるかというと、よっぽどのことが無い限り無さそうというのは単純に想像できます。

ただ、PASMOという枠組みで例えばICOCAとの相互利用を開始すると、それと同時にPASMO加盟各社全てでICOCAの受入ができるようにする必要があることが、この問題をさらにこじらせているとも言えます。

ともあれ、こうなると簡単に解決の糸口も見いだせないことは確かで、あり得るとすればシステム開発費の低減くらいで何とか折り合いが付く、くらいの着地点しか今現在では無さそうです。

ところで、この記事を敢えて取り上げようと思った理由、それはこの一文を見つけてしまったからでした。
これに対し、パスモと同様に関西地方の私鉄などで使え、JR西のイコカとも互換性のあるICカード乗車券「PiTaPa(ピタパ)」の発行会社「スルッとKANSAI」(大阪市)では、「利用エリアを関西圏から拡大する方針は、加盟社間で合意に達している」としている。

この「PiTaPaの相互利用先の拡大」は、5年ほど前にこちらのプレスリリースで発表されています。

「Suica」・「ICOCA」・「PiTaPa」の相互利用を進めます(スルッとKANSAI協議会他プレスリリース)

実はこれ以降、ICOCAとSuica、ICOCAとPiTaPaの交通部門における相互利用は開始され、特にICOCAとSuicaは電子マネー機能でも相互利用が開始となりました。
一方、PiTaPaとSuicaの相互利用は、5年経てども一向に音沙汰が無く、立ち消えになってしまったと思われても仕方のない状況だっただけに、上記の記事の内容が気になったのです。

「合意には達しているが、実施には達していない」状態が5年も続いているようであれば、相互利用のやる気があるんかいな、と本気で思ってしまったニュースでした。

ANA VISA Suicaカードの募集開始は10月22日から。

以前こちらのエントリーでもご紹介したとおり、ANAカードとSuicaの両方の機能が搭載されたカードが発行されるとのことでしたが、その内容が発表されました。

JR東日本とANAの提携サービスの開始について(JR東日本プレスリリース PDF)

この中で、新たに発行されるカードは「ANA VISA Suicaカード」となるとのことです。
募集開始は10月22日からとのこと。
内容としては、現在のANA-VISAカードにSuicaが搭載されたようなものになる模様です。
ですので、現在のANAカードで可能なマイル積算やSkipによる搭乗サービスや、Suicaによる鉄道利用が可能になっています。

気になるクレジット利用に関してですが、どうやら「三井住友カード」のワールドプレゼントポイントが付与されるとのこと。
このポイントは、最近プログラムが改定となり、会費有料で10マイル/1,000円か、会費無料で5マイル/1,000円かのいずれかを選択することとなり、以前よりも旨味が減ったのは事実です。

あと気になるのが、「ワールドプレゼントポイント」の規定ではポイントの付与対象外になっている「モバイルSuicaへのチャージ利用」ですが、今回の「ANA VISA Suica」では、モバイルSuica以外にも、Suicaカード本体へのオートチャージや、ビューアルッテ(JR東日本の駅のATM)を利用しての自己チャージが可能となっています。
これらのチャージの際のポイントの扱いがどうなるのかも、ちょっと注目したいと思います。

とはいえ、関西地区在住の私とすれば、むしろ今回の提携で、羽田空港のANA FESTAでSuica電子マネーが使えるようになった方が朗報でしょうか。
幾度かご紹介しているとおり、SuicaとICOCAは電子マネー機能で相互利用が可能となっているので、羽田空港のANA FESTAでもICOCAが利用可能となります。
現在、ICOCAのチャージ元にマイル積算が可能なクレジットカードを指定していることから、これを利用することでマイルが貯まるという事になります。

航空と鉄道との競合関係から、JR西日本エリアでこのような密接な提携を望むのは難しいとは思っていますが、それならなるべく利用できる範囲で東日本エリアでの提携のメリットを享受したいなと思っています。

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JR東日本、連絡定期券の発売範囲を拡大

昨年3月のPASMOとの相互利用開始以降も、順調に発行枚数を増やしている、JR東日本のICカード乗車券「Suica」
発行枚数の多さは、首都圏の利用客の多さもさることながら、PASMO相互利用開始当初より他社線との連絡定期をSuicaで発行出来る点も挙げられます。
そのSuicaですが、連絡定期券として発行出来るエリアが拡大するとの事です。

連絡定期券の発売範囲を拡大します(JR東日本Webページ)

上記ページの各項目をざっと見たところ、かなり様々なパターンの連絡定期券が発行できるようです。しかも磁気定期だけでなく、Suicaでの発行も可能となっています。
それだけ首都圏の鉄道ネットワークが充実していることの証左、とも言えますし、また、ICカード定期券の普及による各種業務の効率化も推進される事でしょう。

翻って、こちら近畿圏を眺めてみると、相変わらずPiTaPa側のICカード定期券に対するスタンスが各社まちまちなせいもあり、首都圏のような統一された動きが見えてきません。
首都圏以上に各種コストの削減や投資対効果の充実をはかるべき近畿圏の民鉄各社局がこの様子では、ちょっと気がかりにも思えてきます。

個人的には、近鉄(鶴橋)や南海(新今宮・三国ヶ丘)のように、JR接続駅との乗り換え客が多い会社との連絡定期券の発売を急いで欲しい、と思います。
折角ICカードの設備投資を行っているわけですから、もっと活用してほしい、と思わざるを得ない、隣の芝生が青く感じるようなニュースでした。

ICOCA・TOICA・Suicaの乗車券機能の相互利用開始は3月29日より

以前こちらのエントリーにてご紹介したICOCA・TOICA・Suicaの相互利用。
来年春のサービス開始に向けて3社で合意に達したところでしたが、この度相互利用開始の正式なプレスリリースがありました。

「IC相互利用サービス」を開始します(JR西日本プレスリリース)

概要は次の通りです。
●ICOCA・TOICA・Suicaいずれか1枚で、それぞれのエリア内の各駅を発着する在来線を利用可能。
●「IC乗継サービス」の導入に合わせて、ICOCA・TOICA・Suicaを利用して新幹線駅まで乗車して、新幹線の乗り継ぎ改札で、新幹線の紙のきっぷとICOCA・TOICA・Suicaを自動改札機にそのまま投入・タッチすることで乗り継ぎ可能に。
●上記のサービス開始は平成20年3月29日(土)の始発列車より
●相互利用開始を記念して、記念ICカードを発売。

前回のエントリーには無かった話題を中心に取り上げます。

まず、新幹線乗り継ぎ改札において、IC乗車券と紙きっぷを投入・タッチして精算と同時に入出場処理が可能となります。
タッチ・投入の順番は、南海・JRの三国ヶ丘駅や近鉄・JRの鶴橋駅できっぷカードとICカードを併用するときの順番と同じで、紙きっぷ→ICカードの順番となります。

また、この相互利用を記念して、記念ICカードが発行されるとの事です。
各発行社によって、図柄が微妙に違う(ペンギン・ひよこ・カモノハシの位置)ので、これらを三種類集めるという猛者も出てくるのでしょうか・・・

さて、前回のエントリー時、もう一つの目玉として取り上げられていた東海道新幹線の新幹線のICカード利用については、改めてご紹介したいと思います。

Suica・Kitaca相互利用開始は2009年春に決定

JR北海道が2008年秋よりサービスを開始するICカード乗車券「Kitaca」。
サービス開始自体はこちらのエントリーでも既に触れていますが、その中で、JR他社、特にJR東日本のSuicaとの相互利用は、国内航空路線屈指の輸送量を誇る羽田・千歳線を擁する新千歳空港へのアクセスを担っているJR北海道にとっては、早急な対応が望まれるところでした。

その対応が、まずはSuicaについてサービス開始後、早い段階での対応が実施されるとのプレスリリースが、JR東日本より発表がありました。

IC乗車券・電子マネーの相互利用サービスを開始します。(JR東日本プレスリリース)

内容は次の通りです。
・JR東日本とJR北海道は、両社の発行する(予定)のICカード乗車券について、相互利用を2009年春を目処に開始する事に合意しました。
・同じく2009年春を目処にKitaca電子マネーのサービスを開始するが、こちらもSuicaでの利用が可能になります。

SuicaとKitacaの相互利用が出来るようになるのは、予想の範囲内ですが、ここで注目すべき点は「Kitaca電子マネー」
私の知る限り、JRのIC乗車券で、電子マネー対応済みはJR東日本のSuicaとJR西日本のICOCA。これにJR北海道のKitacaが加わるわけですが、既にIC乗車券のサービスを開始しているJR東海のTOICAよりも先にKitacaが電子マネー対応を表明したことは意外でした。

先行2社と同じく、まずは駅ナカの売店・コンビニ等からスタートとなると思われますが、首都圏からの利用者も多いことから、サービス開始段階でSuicaとの相互利用が出来ることは、利用者にとっても便利な事は確かでしょう。

ANAとJR東日本が提携?

日経新聞に、こんな内容の記事が出ていました。

全日空・JR東日本が提携、カードを一体化(日経新聞Webページ)

これに対するJR東日本のお知らせはこちら。
11月29日付日本経済新聞「全日空・JR東日本が提携」について(JR東日本Webページ)

JR東日本によると、まだ検討段階なので、あながち日経の記事も全く嘘、と言うわけでもないのですが、いかにも最終決定したような書き方をするのは、マスコミの常というものでしょうか・・・

そういうことは置いといて、JR東日本とANAが提携して両社のサービスを一体化したカードを出すということですが、一体どんなものが出来るのやら・・・

素人が単純に考えると、ANAマイレージクラブカードにSuicaを追加したものだとか、JR東日本のビューカードにANAマイレージクラブ機能を追加したものとかになるのでしょうか。
これで、羽田空港までの鉄道・モノレールと、ANAの航空機搭乗が1枚のカードで可能となり、かなり便利になるとは思われます。

ところで、JR東日本はJALと提携していて、既にJALカードSuicaというものを発行しているだけに、JALのライバルであるANAとも提携するところに興味を持たないわけにはいきません。
参考:JALカードSuica(JR東日本)

そういえば、私の知っている限りですが、貯めたポイントをJALにもANAにも、どちらかのマイルに交換出来る仕組みがあるのは、PiTaPaのショップdeポイントと、KANKU CLUB CARDのフライトポイントの二つでしょうか。

さて、日経新聞によると、ANAは、JR東日本以外のJR各社との提携も検討しているようです。
ただ、実際に提携するとなれば、航空機と直接競合する区間が少なく、航空路線を補完する関係にある北海道・四国・九州の三社の方が先になり、東海道・山陽新幹線のように航空路線と競合する関係が高い東海・西日本との提携の可能性が薄いような気がします。

というわけで、関西地区のANAマイレージクラブ会員かつJR西日本利用者である私にとっては、取り敢えずAMC-VISAカードでICOCAをみどりの窓口でチャージするという現状の維持でよい、といったところでしょうか。

ともあれこの提携話、(今後出てくるのであれば)続報を追いかけたいと思います。
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